yamatoへ…Ⅳ
一日の半分のを訓練で過ごす日々を一年間送った頃相原に辞令が出た
「あのね、実は辞令が出て…地球に戻ることになったんだ」
いつものように5人一緒に夕食を食べていると相原が突然そう告白した。
「地球?」
島が慌てて口の中の食べ物を胃に押し込んでそう叫んだ
「うん、地球。戦艦がいくつかできて地球の通信員が減って忙しいから月から一人派遣
してほしいって事になって…大した仕事してないから僕が送られることになったんだ。」
「大した仕事してない、なんて事あるわけないだろ?いっぱしに他の人と同じように仕事
してるんだろ?よかったじゃないか!」
山本がそう言うと
「そうかなぁ…みんなそれぞれ仕事があるから一番仕事が少ない僕が出されたような
気がするんだけど…」
相変わらず気弱な相原だ
「まぁいいじゃないか。両親も心配してるだろ?」
進がそう言うと
「そうだ、お母さんとお父さん安心させてやれよ。おまえ実家遠いからなかなか会えない
かもしれないけどよ。おばあちゃんとおじいちゃんみたいなもんだろ?お前んち。」
加藤がそう言うと相原は食事の手を止めた
「…僕さ、黙ってたけど…お父さんとお母さんと…何て言ったらいいか分からないんだけど
お父さんもお母さんも子供が出来ない体で…どこのだれかもわからない受精卵をおかあ
さんの体に付けて出来たのが僕なんだ。僕さ、この話聞いたの予備生として呼ばれた
事がきっかけだったんだ。自分の元から離れて行く僕にちゃんと真実を話しておかないと
いけない、って思ったらしくって…今思うとすっごい優秀な人の受精卵だったのかなって
思ったりするんだけど…みんなに付いて行けたからね…
一年前地球を出発する前に見送りに来てくれて…忙しくてなかなか実家に帰れなくて
それを理由に二年も自由にさせてもらえて…ちょっと親不孝しちゃったかな?って
後悔してたんだよね。こんど地球に戻ったらちゃんと時々帰ろうって思ったんだ。」
「お前一人っ子だろ?すごい寂しがってると思うぜ?でもなんでお前の両親予備生に
上がった時トウキョウシティーい出てこなかったんだ?いくらでもいい条件で好きなところ
に住めただろ?」
島が不思議がって聞くと
「やっぱり住み慣れた所から離れたくなかったんだって。親から代々受け継いだ大事な
土地を守らないといけない、と思ったらしい。まぁその地下に住んでるんだから受け継ぐ
も何もないけど…でもやっぱり頭の上に自分の先祖代々の土地があるって、思うと少し
安心するらしいよ。それに老体だから今から新しいところで生活全般始める事にやっぱ
り不安もあったみたい。秋田と言っても秋田の中心に近いところだから不便な事ない
みたいだし」
「そうだよな、うちもトウキョウシティーの中心の治安のいいところ案内されたけどやっぱり
住みなれた近所の人のいるところで、ってお願いしちゃったもんな。」
島が自分の実家を思い出してそう言った。進は三浦の地下都市がどうなってるか少し気になった。
「展望室から見る地球はどんどん赤くなってるしな」
山本の言葉通り時々展望室で宇宙空間を見上げると以前は部分部分まだ青いところがあったのにいつの間にか真っ赤になって火星に近い色になりつつあった
「ところでいつここを発つんだ?」
進が聞くと
「うん、勤務はあと5日。それから2日間休暇が入って…次の日出発かな。」
「一週間後か…出発当日休みがもらえるかみんな聞けよ。全員で相原送り出してやろう
ぜ!」
島がそう言うと
「了解!明日早速お願いしてみよう」
そう言うと食事を再開した