yamatoへ…Ⅳ
瞬く間に一週間が過ぎ艦載機チームのシュミレーションも随分様になって来た。そこで無重力空間でシュミレーションに沿って飛ぶ訓練が始まった。時間が惜しいので士官を一人ずつつけて月基地の広い空間を利用して各々行う事になった
「古代、OK?」
進の担当はアメリカ育ちの日本人だった。進は短く“OK”と答えるとまずは昨日と同じシュミレーションのプログラムを思い出し離陸するために滑走路を走った
少しの助走の加速のGを心地よく感じ一瞬ふわっと浮いた感じがした。
(無重力空間で飛んでるんだ…)
しっかりベルトで固定しないと足もともおぼつかに状態になる。しっかり操縦桿を握り上とも下ともわからない状態を実感する
(四方じゃなく八方から攻められる…って事だよな。)
艦載機の無防備さを改めて実感するのだった。
<古代、ドウダ?>
英語なまりの混じった日本語を聞きながら
「OK,異常なし。不思議な感覚で言い表すことが出来ません。」
<OK,タクサンシャベレル。大丈夫。シュミレーションへGO、OK?>
「OK。」
進は短くそれだけを言うと早速昨日行ったシュミレーション通りのフライトを見せた。シュミレーションのパターンはいくつかあって進達はすべてのパターンを頭に叩き込んでいた。それは基本的な編隊のシュミレーションが多かった。
<古代、パーフェクト!!>
士官は手をたたきながら進を褒めた。おそらくこの辺りが欧米人なのだろう。
<古代機、帰還セヨ>
「ラジャー」
まだフライトの訓練だけなので編隊を組み多少のアクロバット飛行を行うシュミレーションの5パターンを終えた進がドッグに戻ってきた
「スバラシイ!初メテトハ思エナイ。少シ休憩シナサイ」
進は敬礼するとヘルメットを取って大きく息を吸った。グローブを外すと指先がしびれていることに気がついた。
(緊張して呼吸が浅かったか?)
すっかり冷えてしまった指先をこすり合わせるように温めていると士官が暖かいお茶を持ってきてくれた。
「ウーロンティー」
「ありがとうございます。頂きます」
進は立ち上がって頭を下げてからウーロン茶を手に取ると手全体で包みこむようにして指先を温めた
「キミハ古代守サンノ弟。」
「ハイ」
「スバラシイヒトデス。艦載機乗ラナイ。モッタイナイ。彼ハ一級先輩。」
「そうなんですか、兄の後輩になるんですか。」
「私ヨリイイ腕シテル。今地球ニイマスカ?」
「はい、今地上勤務です」
「ソウデスカ。厳シイ人デシタ。」
そう言って士官は笑った
「落チ着キマシタカ?」
進は指先のしびれがなくなったことに気がついた
「最初ハ緊張シテ皆同ジ。私ハ足モシビレタ。古代度胸アル」
「いえ、そんな事ありません。かなり緊張しました。」
進はそう言うとウーロン茶を飲みほして空になったコップをダストボックスへ入れた
「デハしゅみれーしょんノ確認ヲシマショウ」
そう言ってモニタールームへ移動した