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yamatoへ…Ⅴ

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火星に来て3カ月が過ぎたころ生活物資の中に進宛の手紙が入っていた。連絡が取れず
兄、守が紙媒体を利用して送ってきたものだった。

  


  進へ

    久し振りにペーパーとペンを握っている。特別訓練とかで連絡が取れなくて
    こうするしかなかった。お前が元気でいることと信じてる。
    
    兄さんは今火星基地にいてこれから最期の冥王星会戦に向けて全地球軍が
    集結してるところだ。今までこれだけの戦艦が集まった事があるだろうか、と
    いうぐらい日本だけでなく世界中の戦艦が集結している。

    今艦長同士のミーティングが終わったところだ。連合軍の総指揮は沖田さんが
    執ることになっている。何度か一緒に戦った事があるがとても信頼のおける
    人だ。この人になら全てを預けられるしこの人がいる限り地球は大丈夫だろうと
    思うほどの人だ。

    兄さんたちが無事戻って来たらもう地球に遊星爆弾が降ることはないだろう。
    お前たちが訓練してるのも無駄になるかもしれない。そしたら笑顔で迎えて
    くれな。

    島くん、同い年のキミと比べて悪いが出来の悪い弟だがこれからもよろしくな。
    どうも親父もおふくろも甘く育ててしまったようだ。それにこの私も絡んでるとは
    わかっているが今となってはどうしようも出来ない。手のかかるやつだがすまん
    がよろしく頼むよ。

                                        古代 守




  「兄さん…行くんだ…」

島は一緒にその手紙を見ていた。言葉を考えて書いたのであろうその手紙には兄守の
複雑な気持ちが見てとれた

  「古代…」

島が進の肩に手を置いた

  「…大丈夫だ、きっと兄さんは大丈夫だ。」

しかし進は今までは“何があっても帰ってくる”と言っていたその一言がないことに気付き
とても気になっていた。でもボロボロになっても“ゆきかぜ”は帰ってきた。進はそれを今回
も信じるしかなかった。

  (もう…兄さんたちは出発しただろうか…)


島はそっと部屋を出て進をひとりにしてやった
作品名:yamatoへ…Ⅴ 作家名:kei