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yamatoへ…Ⅴ

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  「チーフはどうして秋山さんだけは“さん”をつけるんですか?」

進は以前からどうしてだろうと思っていた事を聞いてみた

  「純さんはね、私より先輩なの…本当はね。彼女一度結婚して軍から離れてるのよ。
   でも残念な事に彼が…遊星爆弾に巻き込まれて…それで戻って来たのよ。子供も
   いなかったし…」
  「そうだったんですか…」
  「多分…とてもつらい思いをしてると思うわ。時々無茶な飛び方することがあるから
   後を追ったりしないか心配でね。」
  「秋山さんはその亡くなった方の事…」
  「きっと忘れられないと思うわ。誰にも慕われて…素敵な方だったから。立派なパイロット
   だったわ。聞いたところによると宇宙空間で遊星爆弾に遭遇して真正面から主砲を
   撃ったけど何もダメージを与えられずそのまま遊星爆弾につぶされてしまったの。
   どうして進路に入ってしまったのか…今となっては判らないけど…艦長の判断だったの
   でしょう…。私たち艦載機のパイロットは艦底に身を潜めたまま自分の使命を果たせ
   ないままその艦と一緒の運命を辿るかもしれない。」
  「水田チーフ」
  「私にできる事はたくさん一緒の演習をして艦載機がどれだけ役に立てるか…それを
   アピールすることなの。この戦艦の艦長はそれを理解してくれているわ。」

水田はそう言うとコクコクコク、と飲み物を少し飲んだ。そして立ち上がると進の横のデ
スクに軽く腰掛けて進の肩の手を乗せてさらに続けた

  「私は古代くんにいつか先頭に立って戦闘の指示をする時に艦載機もうまく使いこなせる
   人になってほしいのよ。解ってくれるかしら?誰も失いたくないの…」

水田はそう言って涙を流した。そして進の背後から抱え込むように泣き崩れた。進はどうし
たらいいのか解らなかったがイスを降りて水田の肩をしっかりつかむと

  「チーフ泣かないでください。」

と言うのが精いっぱいだった







  「古代、いるか?」

島が部屋を訪ねて来た。進が部屋を開けると島と一緒に山本も立っていた

  「お前出かけちゃったから山本と一緒にモールに行ってお前の服勝手に買って来たぞ。」

そう言いながら島が進の部屋にずかずか入りこみ壁にはめ込んであるベッドを出すと買って
きた服を並べ始めた

  「山本先生が選んでくれたからバッチリお前に似合うはずだ。ただし会計は明朗でな。
   あとでチップ移動かけてくれよ」(島)
  「いつも悪いな」(進)

いつも島が勝手に買ってくるのとは違って幾分モノトーンでまとまっているのがわかった

  「ちょっといつもと違うな。選んでくれる人が違うとこうも変わるのか?」(進)
  「童顔のお前が着るとなるとちょっとアンバランスになるかもしれないけど…まぁその
   辺はご愛敬で…な。」(山本)
  「古代お前なんかヘンじゃねぇ?調子悪いのか?病院行ってるか?」

島が少し慌てたように言ったが

  「なんでもないよ、ちょっと昼寝しちゃって…昼寝しすぎると頭痛くなるだろ?…そう、
   それだよ、それ。だから大丈夫だから…」(進)
  「そうか?薬飲まなくて大丈夫か?」(島)
  「寝すぎで頭痛薬なんてヘンだろ?今晩寝れば治るから大丈夫だよ。デスクで寝てた
   から肩とかあちこち痛いし…」(進)
  「そうか?じゃぁ晩飯の時…な。チップ忘れるなよ。」(島)
  「了解」

進は島と山本を何とか部屋から追い出した

  (…怒っていないだろうか…チーフ…)

進は携帯を握りしめてそう心でつぶやいた






作品名:yamatoへ…Ⅴ 作家名:kei