yamatoへ…Ⅴ
最近遊星爆弾が落ちると同時に火星付近にも未確認飛行物体が時々確認される
様になっていた。しかし撃ち落とそうにも動きが早くロックオンする事が出来ず基地から発
せられるビームなどの火器のエネルギーは宇宙の彼方に飛んでいくかはじかれてしまっ
ていた
木星空域で時々敵の駆逐艦を発見するも主砲で撃破する事が出来ないので結局発見し
てもやられてしまう事が多かった。その為地球艦隊の戦艦は減る一方だった
訃報は毎日電子掲示板で報告されるようになっていた。進はその訃報の中に守の名前
がないことを祈りながら毎日を送っていた。守は艦長になっていて時々木星空域の監視
に出かけていた。
「良かったな、と言っていいのか分からないが…」
その訃報を見ながら島が進に小さな声でつぶやいた。島もいつも守の名前を必ずチェック
していたのだ。
「…そうだな…そう思っちゃいけないって思ってるけど…俺も同じ気持ちだよ。」
そう言うと二人は加藤と山本が夕食中のテーブルに向ってトレイを持って歩きだした
「大編隊を組んで土星付近を通過してでっかい会戦をするって噂を聞いたが?」
島が聞いた
「そうなんだよな…いつでも出撃できるのに…きっと連れて行ってもらえないさ。」
進がつまらなさそうに言う。そして“おつかれ”と声をかけながら加藤と山本の隣に座った
「毎日…やられすぎじゃないか?」
ボソっと加藤がつぶやいた
「でも新しい火器じゃないと勝てないぜ?」
島がパンをちぎりながら更に小声で話す
「次郎兄さんが木星空域の警備に行く、ってメール来る度に心配でさ…」
加藤が珍しく肩を落としていた。その正面で山本がどう言葉をかけたらいいのか分からず
進を見た
「加藤、俺も同じだ。兄さんが出航するたびに心配でさ。でも兄さんに言うと“バカ”
って言われちゃうから何も言えないんだけど。」
進はそう言って唐揚げをつついた
「幸運を祈るしかないよな」
加藤が自分に納得させるようにつぶやいた