yamatoへ…Ⅴ
次の週噂通りに大編隊を組んで火星基地を飛び立ち冥王星空域へ向かった事が軍内部
のニュースで流れた。その中に守の戦艦のゆきかぜもあった。
「次郎兄さんも一緒に行ったよ。無事帰ってくれればいいんだけどな。」
加藤はニュースを見ながら進に言った。進はうなずくことしかできなかった。
(火星から冥王星空域まで無事に到着できるんだろうか…)←進
当時はまだワープシステムもなく地球上に光速を超える乗り物は存在していなかった
「水田チーフの艦隊も向かったんだよな。」
山本が加藤に向かって聞くと
「向かったよ…出撃命令が出ればいいんだけどな…」
山本がそう返事をした
「火星では第二陣、第三陣と続々と大編隊を構えて出発を待ってるって話だ。」
随分前に冥王星から遊星爆弾が発射されるのを確認している。冥王星空域で相手を殲滅
出来たらそのまま遊星爆弾発射装置を破壊することができる…地球防衛軍はそう考えた
のだ。出来るだけ地球から遠いところで戦った方が市民の安全を守ることにもつながる…
「俺たちの出番を待ってる頃…戦艦は残っていると思うか?」
進が小声でそう言うと
「あと一年なんとか持ってもらって…そしたら出撃できるだろ?」(加藤)
「一年か…」(島)
「長いな…」(山本)
みんな食事の手が止まってしまった
一年もの長い間あんな遠くから地球をめがけて遊星爆弾を落としてくるヤツら相手に主砲
が通用しない地球の戦艦が持つだろうか…
頭では無理と思っていても古代守が、加藤次郎が戦っていると思うとそれを口にすることは
出来なかった
「でも俺は信じてる…兄さんたちが何とかしてくれるって…そしてそれが無理でも何とか
一年持って…俺たちの初陣を待っててくれる、って…」
進も無理なんじゃないかと思ったがそう自分に言い聞かせる事で納得させた