yamatoへ…Ⅴ
進たちが月基地へ来て2年の月日が流れた
部屋の呼び出しのアラームの音がしたので誰だろうと思い扉を開けた
(島たちだったらノックだから…誰だろう?)
すると扉の先に黒縁の眼鏡をかけた背の高い男が立っていた。
「こんにちは、私今日月基地に来た南部康雄と申します。先日訓練学校を繰り上げ
卒業してそのままこちらに来ました。寮母さんが同じくらいの年の子がこの並びに
いると聞いたので挨拶に、と思ってきました、よろしく。」
育ちの良さそうなおっとりした感じのその背の高い男はそういいながら右手を差し出した。
進もつられて右手を出して軽く握手をした
「私は戦闘科出身なんですがあなたは?」
「私も戦闘科出身です、当時の専科は艦載機パイロットコースでしたが今は砲手に
転向しています。」
「そうですか!私のシフトはBなんですが…」
「同じですね、Bです。」
二人は握っていた手をそっと離した
南部はじっと進の顔を見ていた
「失礼と思いますが表にKodaiとありましたがひょっとしてあの古代守さんの関係者の
方でしょうか?」
「はい、古代守は私の兄です。」
進はいつもと同じように胸を張って少し表情も柔らかくなってそう答えた。ごくまれにだが
イヤミをもってそう言ってくる者がいたが南部の言い方はそうでなく憧れを込めたような
言い方だったのだ
「やっぱり!ラッキーだな!いや、ほんとこれからよろしく!」
今離したばかりの右手をもう一度改めて南部は握りなおすとブンブン振り回した。
と、そこにもう一人背の低いぽっちゃり体系の男が近づいてきた
「南部、何してるの?もうあいさつ回り?」
南部は進の手を離すとその男の方を振り返るとその男を前に出して
「こいつは太田健二郎、ずっと同期でパイロット希望なんだ。同じシフトでB。ついでに
よろしくな!」
人あたりの良さそうなちょっとおぼっちゃまっぽい南部と言う男を進は唖然と見ていた
「太田健二郎です。南部がすみません、こいつちょっと世間離れしてる所があって…
悪いやつではないのでよろしくお願いします。」
「古代進です。同期で戦艦のパイロットしてるのいますよ…いるかな?」
進は軽く太田と握手をすると隣の部屋の島をノックした
島が扉を開けると進が“ちょっと出て来いよ”と言ったので廊下に出ると進が南部と太田を
紹介して島も南部と太田と握手をした
(結構人見知りの激しい古代がなぁ…)
島が不思議そうに南部と太田を見ていたら太田がふと笑いながら
「こいつすぐ人を自分のペースに乗せちゃうんです。悪いやつじゃないので…」
そう島にしか聞こえない声で小さく言った。
「ねぇ古代くん、他に繰り上げ卒業した同期いないの?」
南部は今会ったばかりなのに次の事をもう要求している。その勢いに負けそうな進を見て
島は笑いそうになった。南部はすでに進を自分のペースに乗せているのだ
「古代、加藤と山本読んで来いよ。せっかくだから食堂に行こう。」
島がそう言うと進は助かった、とでも言うようにあからさまにほっとした顔をして“じゃぁ”と
いいながら加藤と山本の部屋をノックして二人を呼び出して一緒に食堂に向かった