GANTZ Paradise Lost 田中星人篇
第三話・カァァァァァァッッ!!
「・・・あの・・・」
場から消えゆく西丈一郎を見て帝人が震える声で言う。
「僕ら・・・あの田中星人とか言うのと戦うんです・・・よね・・・?」
他のメンバーも同様の事を考えていたらしく、ガンラックからひとしきり使えそうなものを取り出したり帝人のようにこれから我が身に何が起こるのかと怯えていたりした。
ちなみに俺の場合は後者の方に該当している。
いくら星人との戦いに経験があるとはいえ、再びガンツに呼ばれるとは思っても見なかったのだ。
―――どうすりゃいいんだ・・・・―――
俺は頭を抱えた。
・・・と、ここで俺はスーツの存在に気づく。
「そうか!スーツだ!!」
俺は腕に引っ掛けていたスーツを見る。
皮ともつかない、ゴムともつかない材質でできた機械的なスーツ。
これを着ていれば星人から身を守れるかもしれない。
「そういえば、これ以外にも何着かあったはず・・・」
俺はガンツの後部ラックに回った。
そこにはガンツスーツが入ったアタッシェケースのラックがあり、俺の想像通りに今部屋にいる人数分のアタッシェケースがあった。
「秀吉、マミ」
俺はとりあえず前回のミッションで生き残った二人を呼ぶ。
「何じゃ、ナオ?」
「どうしたんですか?」
「前回、俺がミッションの時着てたスーツ、覚えてるか?」
「ああ、あの黒いスーツか・・・」
「あれがどうしたんですか?」
俺は二人にアタッシェケースを手渡した。
「この中に多分それと同じスーツが入ってるはずだ、そいつを・・・」
「着ろ、というワケかの?」
秀吉が俺の言葉を遮って言った。
「わかっておる、ワシも最初からそのつもりじゃった」
秀吉はそう言って『猿』とプリントされたケースを手に取った。
「あ、私も・・・」
マミもそれに続いて『きょにゅう』とプリントされたケースを手に取る。
どうやらこの二人は最初からそのつもりだったらしい。
「じゃ、着替えるか・・・」
「でも・・・どこで着替えるんですか?」
そうだ、ここには着替える場所が無い。
俺の場合は男だからここで着替えても問題は無いのだが、問題は秀吉とマミである。
「まあ、俺はここでも大丈夫だけど・・・お前らの場合はなあ・・・」
「お前“ら”って何じゃ!?“ら”って!?ワシは男じゃぞ!!」
「え!?秀吉さんって男だったの!?」
「当たり前じゃろうが!!第一ワシのどこが女じゃと言うのじゃ!!」
「私、今まで秀吉さんって女の子だと思ってたわ・・・」
「ワシは男じゃ!!女ではないわ!!」
―――ミッション開始直前だというのに、こんなに和やかな雰囲気で良いのか・・・―――
俺が心の中でツッコんでいると・・・
「う、うわああああ」
「あららら、みかぷーの頭が消えてる・・・」
「いやいやいや、狩沢さんも人の事言えないっすよ?」
「ゆまっちも、でしょ?」
「ゲッ、俺までかよ・・・」
「ヒィッ・・・」
「あ、外だ・・・」
他メンバーも転送が始まったらしい。
こんなんでは悠長なことは言っていられない。
「・・・とにかく、俺はここで着替えるから、お前らはどっか人目の無いところで着替えてくれ・・・」
「だ!か!ら!ワシは男じゃ!!!!!」
作品名:GANTZ Paradise Lost 田中星人篇 作家名:プラスチッカー