GANTZ Paradise Lost 田中星人篇
「・・・でも、あの部屋って何だったんだ・・・」
それから数分後。
俺と彼女はダイニングに居た。
「あそこに居た人は全員死んでるみたいですけど・・・」
彼女は俺の淹れたコーヒーを少し呑みながら言う。
―――あの後色々と話を聞いたのだが、俺の名前や住所を知っていたのはどうやら生徒証を見たかららしい。
言われてみれば、俺はいつも生徒証や財布を学ランの内ポケットに突っ込んでいる。
それがアイロン掛けするときに出てきたようだ。
ちなみに先ほど彼女が赤面しながら沈黙したのは生徒証にお守り代わりとして挿んでいたグラビア写真を見たからだそうだ。
俺の彼女か何かの写真だと思ったのだろうか?
「って事は君も・・・?」
俺もコーヒーを口に含む。
「まあ、死んでいるようなものなのかもしれませんね・・・」
「ふーん・・・」
とにかく彼女も死んだ、という自覚そのものはあるようだ。
後で言っていたのだが、どうやら彼女も車に撥ねられたらしい。
「でも、本当にこんな事があるなんて・・・」
「・・・何か死人還りみてーな話だな・・・」
俺はふと巷やネット界隈を賑わせている有名な都市伝説の名を口にした。
死人還り、とはその名の通りだが一度死んだ所を目撃されている人間がその翌日に何食わぬ顔で生活している、という都市伝説としては非常にありがちで非常に陳腐なものだ。
―――まあ、俺はそんなもの信じちゃいないが・・・―――
「・・・ゴシップ記事も、たまーに侮れねえな・・・」
俺はテーブルの上に無造作に置かれた三流雑誌の表紙を一瞥しながら呟いた。
その雑誌にはこう書かれていた。
『またも発生した死人還り!彼らは人間?それとも幽霊?はたまた死んだ人間に擬態した宇宙人?謎のヴェールに包まれた怪現象を追う!!』
作品名:GANTZ Paradise Lost 田中星人篇 作家名:プラスチッカー