GANTZ Paradise Lost 田中星人篇
見滝原線車内座席・・・
先ほど直人と別れたマミは電車に揺られていた。
午後2時30分発の急行見滝原方面行きだ。
―――工藤さん、かぁ―――
マミは車窓から流れていく景色を見ながら心の中で呟く。
―――優しそうでちょっと物憂げで・・・何だか、パパみたいな人だな・・・―――
死んだ父親と直人を重ね合わせているのだろうか、目を細めるマミ。
―――・・・そう言えば、昔パパがよくコーヒー飲んでて、幼かった私はそのコーヒーを欲しがってたっけ・・・ちょっと飲んでみたけど、苦くて、よくこんなもの好き好んでるなって思ったなぁ―――
幼い頃の自分を懐古する。
幸せに満ちた家族との日々、優しかった両親・・・
しかし、そんな幸せな日々はもう二度と戻ってはこない。
それは彼女が一番よく理解していた。
―――・・・私はこれで良いのかな・・・―――
と、ここで彼女はふと今考えていたこととは別のことを思案する。
―――私が魔法少女だって、言うべきだったのかな・・・工藤さんなら笑わずに聞いてくれたかな・・・―――
そう、彼女は普通の人間ではない。
正確に言えば、特殊な力を授かった人間、と言えるだろう。
彼女は、魔法少女なのだ。
魔法少女とは、その名の通り魔法使いの少女で、魔女と呼ばれる異形と人知れず戦う事を運命付けられた少女達の事だ。
ぶっちゃけた話、彼女の死因も車に撥ねられたのではなく、魔法少女として戦っている最中に魔女に首を食い千切られた事によるものだ。
―――鹿目さんや美樹さんにも事情を説明しなきゃいけないだろうし・・・―――
彼女は後輩の二人の顔を思い浮かべる。
―――キュゥべぇにも何て言えば良いのか・・・―――
と、ここでマミは同居(?)している白い生命体の顔を思い浮かべる。
―――ソウルジェムも壊れてるみたいだし・・・驚くかしら・・・―――
そんな事を考えていると・・・
『間も無く、見滝原中央、見滝原中央、終点です』
車内のスピーカから次の駅を告げるアナウンスが流れる。
「あ、降りなきゃ」
マミは座席を立ち、隣のドアの前に立った。
作品名:GANTZ Paradise Lost 田中星人篇 作家名:プラスチッカー