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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第70話

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  俊 「しばらくここで暇潰したら桜高いこうぜ。俺達も歌詞作りに協力しようじゃん!」  

  涼 「いいですね!それ!」



  その頃、澪達三年生はロミオとジュリエットの劇の練習をしていた。台詞読みの練習だ。紬が脚本を書く係りとなっている為に、監督さながらに澪と律にダメだしする。

  澪 「おお・・・ど、どうしたんだい・・・じゅりえっとっ!」

  紬 「澪ちゃん、カット!恥ずかしがっちゃダメ!」

  澪 「うう〜・・・。」

  律 「ああ〜ロミオ、あなたにどうしてもあいたくて〜・・・。」

  紬 「はい!カット!律っちゃん、棒読みしすぎ!」

  律 「なームギ、ひょっとしてただカットって言いたいだけじゃないだろなー?」

  紬 「・・・・えへ〜、ばれちゃった?」

  律 「おまえなー・・・。」

  だが実際に普段からボーイッシュな律には、ジュリエット役は厳しいものがあった。澪も、以前彼氏である勇士朗に励まされたが、未だに持ち前の恥ずかしさが抜けていなかった。

  唯も唯で木の役に徹していた。ずっと固まったまま静止する練習だ。実は簡単なようで難しい。装飾を作りながら和と姫子が見ている。二人とも唯の保護者的な存在だ。

  姫子 「がんばれー、唯ー!」

  和 「唯、簡単なものほど実は難しいのよ?木の役だからって気を抜いちゃダメよ?」

  唯 「うん!わかってる!ふんす!」

  姫子 「でも、かれこれ30分はずっとこのままよね?なんかスゴイよ、唯!」

  和 「唯は、一度集中すればスゴイコなのよ。」

  姫子 「へ〜・・・確か、真鍋さんて唯とは幼馴染なんだよね?」

  和 「うん。幼稚園の頃から一緒だよ。昔から変わらないコだけど、軽音部に入ってから少しずつだけど成長してる気がする。」

  それは和がこれまでの学校生活を通して感じていた事だった。姫子的にはそれを聞いて、もっと早く唯と出会っていればまた違う味の人生になっていたんだろうと感じた。

  姫子 (私も唯の幼馴染になりたかったな・・・なーんて!でも実際、一緒にいて楽しい。このクラスになってよかった!)




  部活に切り替えていつもの部室でティータイムをする軽音部メンバー。ここから劇の練習に続けて更にライヴの練習に勤しむのだ。

  律 「はぁ〜疲れた・・・ずず・・・。」

  澪 「ほんと・・・・ところで劇とは別に新曲の歌詞作りは進んでるのか?」

  律 「発案者の私は・・・・・何もつくってましぇーん☆」

  澪 「おい、発案者!!えーと、律は置いといて・・・梓はどうなんだ?」

  梓 「私は書いている最中なんですけど、やっぱり難しいですっ。そこをいくと澪先輩の歌詞作りのセンスはすごいと思いますよ。」

  澪 「そ、そうか?私は歌詞を作るのは好きだけど、センスがいいとかは思えないな。」

  律 「確かにな〜。澪の書いた歌詞、読んだだけだと歯が浮くに浮いてむずがゆくなるからな〜。やってらんねー。」

    ゴン!

  律 「いたいなーっ!!」

  澪 「聞き捨てならないなっ!!最後の言葉!!」

  律 「ごめーん・・・ゆるちて☆」

  澪 「ごまかすな、律ぅ!!」

  幼馴染同士のけんかを始めてしまう二人の隣で、梓はティーカップやら壁やら部室の至る所に可愛気なシールが張られていることに気づいた。けんかを収拾させようと、そのコトを使ってみせる。

  梓 「(あ・・・また始まっちゃった・・・けんかしてる場合じゃないのに・・・)なんか、色んな所に妙なシールが張られているんですけど・・・。」

  唯 「かわいいでしょ〜?今、マイブームなんだぁ〜。」

  梓 「・・・・みっともありませんから剥がしてくださいよ。」

  唯 「ふえええ〜あずにゃんのいけずーっ。」

  シールを貼っていたのは唯だった。また意味の違う熱中症が始まったようだ。そこへ紬が笑顔でケーキを持ってくる。今日はプリアラモードだった。

  紬 「みんな、今日のケーキよ〜。」

  人数分のケーキが配られ、机の上に置かれていく。いつものようにはしゃぐと、唯は嬉しそうにケーキを口にする。浮かぶ満面の笑み。

  唯 「おいし〜・・・やっぱりムギちゃんのケーキは最高だよ!」

  紬 「そう?よかった〜・・・あ、そうだ!チョット待ってて。」

  紬は思い出したかのようにカバンが置いてある椅子の方へと向かう。しばらくごそごそとカバンの中を探す。戻ってきた紬は、歌詞が書かれたフリーペーパーを手にしていた。

  紬 「私、新しい曲を作ったの!みんなで見てみて!」

  気を取り直し、ティータイムをしながら歌詞を拝見する一同。キーボード担当だけあって、キーボードにまつわる歌詞だった。

  梓 「・・・・キーボードがテーマの曲なんですね!いい歌詞です!この曲を入れましょうよ!」

  澪 「そうだな!早速、この曲だけでも練習しようよ!な?!」

  律 「よーしッ、そんじゃあムギの作ったこの曲採用して練習始めるかー!!」

  紬 「よかったぁ!私この曲作るのにがんばったんだぁ〜!」

  実はこの歌詞は夕べ菫に協力してもらいながら作詞と作曲を手がけてきたのだ。

  練習を始める放課後ティータイムのメンバー。音楽室に五つの楽器のメロディーが鳴り始める。



  一方、聡は撫子を連れて桜ヶ丘を琢磨達と周っていた。

  聡 「それでー・・・ここが商店街!これで俺達の行動範囲内の桜ヶ丘は案内できたかな!」

  撫子 「街を案内してくれてありがとう!聡君!」

  聡 「え?!あ、いや〜・・・。」

  蛇怪の呪いから解き放たれて以降、撫子は別人のように明るい少女になっていた。全てはヘビの呪いによるものが影響していたのだろう。

  笑顔の撫子に感謝され、デレッとなる聡。横から當哉がどすっと殴ってつっこみを入れる。

    どすっ!

  聡 「いって!!なんだよ、當哉!!」

  當哉 (急に仲良くなり始めやがって!!一体何があったんだぁ!?)

  聡の耳元に小声でひがみ度MAXなことを言ってくる當哉。

  聡 (なにひがんでんだ?!別に何もねーよ!!)

  當哉 (もったいぶるなぁ!!)

  聡 (だああああ!!うっさいなっっ!!!)

  撫子 「・・・・??」

  二人の妙なやり取りに「?」となる撫子。聡は、幾らツレとはいえこればかりは言えなかった。


  数日前―――


  聡 「呪い?!!」

  撫子 「うん・・・前の学校のクラスのコにかけられたの・・・。」

  聡 「な、なんでそんな・・・。」

  撫子 「私を好きだった男の子がいたんだけど、そのコが友達の好きな男の子だったから私は告白されても断ったんだ・・・・だけど、その男の子がフラレタ腹いせにヘビの呪いを・・・・!!!」

  聡 「なんだそれ?!!腹いせだなんて・・・!!!」