貴音「あなた様は命よりも仕事のほうがだいじなのですか?」
P「ああ、ちょっと会場の下見と細かいセッティングの確認にな」
春香「わかりました!皆にもいっておきますね!」
P「頼んだ。あと、今日はみんな午前中しか仕事を入れてないから、夕方までは事務所で休むといい」
P「あんまりハードスケジュールだとレッスンもうまくいかないしな。…音無さん」
小鳥「はい?」
P「すみませんが、今日のお昼ご飯、全員分手配しといてもらえますか?」
P「あ、俺は昼に帰ってこれるかわからないんで、人数からはぶいてください」
小鳥「わかりました」
春香「あ、それなら私何かつくりましょうか?」
P「?」
春香「こうみえても私料理けっこう好きなので、せっかく皆で食べるのなら作ろうかなあって」
P「ああ、そういう事か。うん、まあ好きにしてくれていいぞ。それじゃ俺は出てくるから、みんなによろしくな」
春香「はーい。いってらっしゃいませー」
小鳥「いってらっしゃいませ」
ガチャ
春香「……」
小鳥「春香ちゃん、お昼何にする?事務所は簡単なキッチンしかないから作れるものは限られてくるけど」
春香「…プロデューサーさん、体大丈夫なんでしょうか…?」
小鳥「!?」
春香「昨日、私の撮影現場に差し入れ持ってきてくれたときも、どこかくるしそうな顔を時折みせるんです」
春香「それだけじゃない、千早ちゃんや美希も…みんなプロデューサーさんがおかしい、って」
小鳥「………」
春香「なにか聞いてませんか?もしかしたら小鳥さんや律子さんは知ってるかな、とおもって」
春香「律子さんも聞いてないらしくて心配してました…」
小鳥(アイドルは勿論、律子さんもけっこう取り乱しそう…だからかしら…)
小鳥(私だって最初に聞いたときは怒って出ていっちゃったし)
小鳥「春香ちゃん…お昼。みんながいるときに…話すわ…」
ガチャ
オヨウゴザイマース
オハヨウナノー
ウッウーオハヨウゴザイマース!
ハイサーイ
小鳥「みんな来たみたいね。この話はいったんおしまい、ね」
春香「あ、はい…」
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22日・昼 ライブ会場
P「ここがアリーナか。モニターの角度によってはすこし見ずらいな…」カキカキ
P「音響はリハーサルで調整するとして…あとは通路の確保もしっかりしないと」
P「今頃…音無さんアイドルに俺のこといってるかもなぁ…」
P「あの人も、なんだかんだで口が軽いし」
P「まあ、気遣ってくれてるんだろうけど…」
P「でも貴音とか律子あたりは感づいてるかもなぁ」
P「しかし、俺は誰がなんと言おうと入院なんかしないぞ」
P「あと10日だってのに、休んでられん」
P「ゲフッ…」ボタッ
P「……なんといおうとな」
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同じ頃・765プロ事務所
律子「ただいまもどりましたー」
亜美「ただいまーもうへとへとだYO−」
伊織「亜美が余計なことして律子を怒らせるからじゃないの」
亜美「でもでもー、やっぱりおかしーじゃん?」
あずさ「ただいま〜」
小鳥「あ、竜宮小町ももどりましたね」
春香「それじゃあ…お昼にしましょうか」
亜美「あり?ねえねえ真美、なんでみんなしめっぽいの?」
真美「うーん、なんか皆ではなすことがあるって、ピヨちゃんが」
伊織「へえ、ライブの打ち合わせ?今日のレッスンとか」
律子「それは私も聞いてないわね。なんの話ですか?」
真「ライブの話なら、プロデューサーがいないとだめなんじゃないんですか?」
響「それもそうだなー。プロデューサーすごいやる気だもんなー」
貴音「……そうです、ね。」
小鳥「そのプロデューサーのことなのよ…。雪歩ちゃん、美希ちゃん起こしてくれる?」
雪歩「は、はい。わかりましたぁ」
春香「あ、私お茶いれてきますね」
千早「春香、私も手伝うわ」
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雪歩「美希ちゃん、おきて」ユサユサ
美希「むにゃ…あふぅ。そろそろお昼なの?」
雪歩「うん、だけどね、ちょっとみんなでお話するから…」
美希「うーん、ミキ、難しいハナシは苦手だからパスなの」ボスン
美希「あふぅ…zzz」
雪歩「え、ええ!?」
伊織「起こしたそばから寝てるんじゃないわよ」ビシッ
美希「いたいの!…あ、デコちゃんだ。おはよう」
伊織「デコちゃんゆーな!…あんたの好きなハニーのハナシよ。」
美希「ハニーの…はにー…」
真「ほら美希、ちゃんと起きなって」ヨイショ
春香「みんなーお茶がはいったよー」
やよい「あ、春香さん、千早さん、手伝いますー」
小鳥「…これは、もうみんな気づいてるとは思うんだけど…」
小鳥「2週間くらいまえから、プロデューサーさんが体調悪いのに気づいたと思うわ」
春香「……」
貴音「はい。あの方が足をお怪我なさったころからでしょうか」
伊織「…たしかに、ここ最近アイツたるんでるわね」
あずさ「伊織ちゃん〜そういう言い方はだめよ〜?」
律子「そうよ、伊織もプロデューサーのこと気遣ってたじゃない」
亜美「そうそう〜、あいつはどこいったのかしら〜って」
真美「ちゃんとごはんたべてるのかしらね〜って」
伊織「ちょ、そんなことまでいってないでしょ!」
真(いま亜美真美の声が完全に伊織だった)
やよい(げいたっしゃだなあ…)
小鳥「…で、誰かプロデューサーさんがどういう状態か知ってる人いるかしら」
美希「ううん、聞いてもハニーは大丈夫だ、心配するなっていうだけなの」
響「自分もしらないぞ。この間もすごく顔色わるかったから、心配だぞ」
真「たしかに、ここ最近はボクたちが帰ってからも事務所にいるんだよね」
雪歩「ええっ、そうなの?」
真「うん、忘れ物を取りに来たとき、まだデスクで仕事してたんだ」
雪歩「ううぅ。プロデューサー、ちゃんと寝てるのかなあ…」
千早「私達は夕方になるとすぐ帰るように言われるのに…」
貴音「小鳥嬢、もしやあの方はなにか病気にかかっておられるのではありませんか?」
やよい「えええっ!びょうきですかー?」
美希「そ、そんなわけ……ないの…」
小鳥「実は…私も口止めされてるんだけど…これ以上は私一人で悩んでられなくて」
小鳥「そのとおりよ、貴音ちゃん…プロデューサーさんは、今…病気らしいの」
律子「やっぱり…隠してたのね…」
春香「それで……いったい何の病気なんですか…小鳥さん」
千早(春香……?)
小鳥「みんな驚かないでね……プロデューサーさん、…ガンらしいの」
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P(すっかり遅くなっちまったな、レッスンが始まる17時には間に合わなかったか)