灰色
よろしくその一言が
川島さんに、メールを送ってみた。
随分と遅れたけど高尾だから宜しく、みたいな内容で。
返信はすぐに返って来なかった。
まあ、そんなもんだろ普通。
手付かずの夏休み直前に配られた課題。
やる気も当然出ず、無気力にベットにうな垂れた。
なんだよ緑間の奴
俺が川島さんを好きとか、何言い出すんだって感じだわ本当。
そもそもだ、そもそも。
俺が最後に恋なんてもんをしたのは一体いつだ?
覚えてねーくらい昔なんだぞ?
つか初恋すらまだかもしんねーのに、そんなアッサリ恋とか調子乗んなー。
ブー、ブー、ブー、
聞き慣れたマナーモードの振動音
手を伸ばして携帯を取り、受信メールを確認する。
「おお、川島さんからか」
川島さんからのメールは案外シンプルなもので、一言「よろしく」と書かれただけだった。
デコメなんて一つも使ってない。
絵文字も顔文字もない、本当にシンプルな言葉。
今時の女子こーせーのメールが眩しいものだと勘違いしていた俺はドラマの見過ぎなのかもしれない。
なのになんで、
こんなにも内心ちょっと喜んでる?
たかがメール。
されどメール。
ああもう、意味、わっかんね