灰色
さようならを
それからの事は、よく覚えてない
気づいたら自分の部屋で朝を迎えていて、空空寂寂な自分に嫌気が差す。
出るものと言えばただただ涙と乾いた笑いで。
ケータイのディスプレイを慣れた手つきで触って打つ『さようなら』
送信者は決まっていた。
川島夏生
送信完了の文字を確認して布団の中に携帯を押し込む。
バッシュと、タオルと、ユニフォームと、部活に必要なものを鞄に詰め込んだ。
部活に出て、バスケして、気持ちを切り替えれば元の俺に戻ると信じて。
『さようなら』はどうしてこんなにも辛いんだろう?
重い玄関のドアを開けて今日も俺は部活へと向かう道を歩んだ。