灰色
残酷な武器
時として、
言葉とはとても無残に
そして残酷な武器として
存在してしまうのだ。―――
* * *
「体を拭け、風邪をひく。」
ずっと探し続けていた、答えは何れにせよ自分で遠ざけていると気づいていた。
それをどう受け入れるか、悩んで迷って苦しんで。
結局、俺はまたここへとたどり着いてしまうのだ。
どうしたものか
彼女はあいつのモノなのに。
俺が手を伸ばしてはいけないと、知っているはずなのに。
突き放したのは自分
だけれど雨の中泣き崩れる彼女に手を伸ばした感情に、罪悪感があるかと問われれば
『無い』、と答えるだろう。
「しんた、ろ」
俺を見たその瞳は、美しくも艶やかに、だがしかし曇を伴っていた。
「わかん、ないよ」
「・・・」
「どうしたらいいの、私」
そばにいて欲しいと、
会いたいのだと、
願ったのは、紛れもない自分
「わからないよ・・・!」
“会いたい”のその一言に彼女は
これ程に心をボロボロにして
あいつと俺で悩んだと言うのか。
・・・・・・馬鹿にしてくれるなよ。
俺はまた
“言葉”という武器で
彼女を傷つける―――。