灰色
根に持つ
「来週から、合宿に行く。」
「まっじスか大坪っさん!!」
「まあ、格安宿で自炊だけどな」
自炊って。
俺はともかく真ちゃんできんのか?
あんだけ指のケアしてるわけだし。
「当然高尾が俺の分を作るのだよ」とか言い出しそうで怖い。
あ、それかジャンケンで負けたほうが作るとか。
よし今からジャンケン修行しておこう。
「自炊ジャンケンは負けねーぞ?」
「当然高尾が俺の分を作るのだよ」
「うわデジャヴ」
そしていつも通り練習が始まったが、真ちゃんから俺に近づいてくる事はこの日なかった。
練習後、何となく自販機の横の長椅子に腰掛けて真ちゃんを待ってみた。
そういえば川島さんにメール送ってねーなー。
今送り忘れたらまた忘れそうだし、今送っとくか。
女子にメール送ることなんか滅多にない俺が新鮮に思える。
あれ?つか俺むしろ女子は川島さんのメアドしか入ってなくね?
ガサガサと音が聞こえて向こうを見れば、真ちゃんが丁度帰る所だったので俺は重い腰を上げて真ちゃんに近づいた。