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【銀魂】短文まとめ【銀妙】

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【お気に入りの傘を持って】2008.10.18


お気に入りの傘が返ってきた。
ウサギの柄が入った、あのお気に入りの傘。
あの時貸したあの傘が。
「返すの遅くなっちまってゴメンな。」
もうかれこれ一年近くも彼の元にあった、お気に入りの可愛いウサギの傘。
「なかなか返すタイミングが掴めなくてよ。」
そう言って彼はぎこちなく傘を私の手のひらへと置く。
久しぶりに持った傘は以外と重くて、手の位置が少しだけ下がる。
私は傘をじっと眺め、そしてゆっくりと握る。
それから彼の方へと視線を向けると、丁度目が合った。
すると彼は困ったように視線をそらし、ポリポリと首筋を二~三回かいて、再び視線を絡ませるとゆっくりと口を開く。
「お妙さん。」
「…何ですかいきなり。」
突然呼ばれた、いつもと違う呼び名にドキリとしたのを悟られないよう、強気で返すと、いきなり手をつかまれて彼の頬に置かれる。
フワフワとした髪が指先に当たってくすぐったい。
「な…何して…」
「ね、“おかえり”って言ってよ。」
私の手を握る彼の手に力が籠る。
「せっかく傘も返したんだし…ね?言ってよ。」
そう微笑まれると、もう何も言えなくて。
おかえりなさい、そう言ったつもりなのに、声が掠れて出ない。
それでも彼は満足そうな表情を浮かべ、掴んでいた手をグッと引く。
ふと気付くと彼のたくましい腕が私の背にまわっていて、私たちの距離はゼロになっていた。