二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【銀魂】短文まとめ【土ミツ】

INDEX|3ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

【38℃の指先】2008.10.19

何だかとっても暑いわ、そう思った瞬間に揺れる地面。
気が付いたら真っ白な天井が見えた。
頭がぼーっとするけど、ゆっくりと体を起こして周りを見回す。
どうやらここは通いなれた保健室のようだ。
「あ、起きたわね。」
ベッドの周りに掛かっているカーテンを少しだけ開けて、保健室の先生が苦笑いをしながら覗いてきた。
「もう、アンタは身体が弱いんだから。無理しちゃダメでしょ。」
「あの…私…」
先生は小さくため息を吐き、私がクラス対抗リレーの応援中に倒れたのだと教えてくれた。
「ま、とりあえず安静にしてなさい。担任の先生には伝えておくから。」
そう言って保健室の外へ出ていった。
「そういえば…誰がここまで運んでくれたのかしら。」
その呟きに返事をする者は誰もいなくて、騒がしい運動場からの声にかき消されていった。

次に目を覚ました時には、もう部屋中がオレンジ色に染まっていた。
今は一体何時なんだろうと思い、時計を見ようと体を起こすと、ベッドの右側に違和感を感じた。
「え…」
違和感の正体はなんだろうと、視線をそこに向けると、あったのは見慣れた男の頭。
その男はベッドに頭を乗せ、すやすやと眠っている。
さらに男の左手は、ミツバの右手を緩く握っていた。
「と…うしろうさん…?」
その名前の持ち主は、「んー」などと小さく唸って、瞼をゆっくりと開けた。
「あ…あァ…目覚めたのか。」
「えぇ…。」
彼はあくびをして、ベッドの隣に置いてあるパイプ椅子に今一度座り直した。
「あの…どうしてここに?」
「あ?いや、何か近藤さんとかが行けっていうからよ…来たんだけどお前寝てるし。そしたらこっちまで段々眠くなってな。」
それからもう一度あくびをする。
「体育祭、結果どうなりました?」
「あ?あー、3年はB組が優勝だ。」
「そうなんですか。お疲れ様でした。」
そう言って微笑むと、差し出される右手。
「え?」
「え?…じゃねェよ、手だ、手。立てるか?」
「は…はい」
ふと彼の格好を見ると、まだ体操服を着ていた。
「おばさん…お前んちの母さんが車で迎えに来てるみたいだ。総悟も待ってる。行くぞ。」
どうして総ちゃんじゃなくてあなたが来てくれたの?体育祭が終わってからずっといてくれたの?
聞きたいことはたくさんあったけど、どれも声にならなくて。
発熱して熱くなっているはずの私の手よりも熱いあなたの手を少しだけ強く握ると、あなたもよりしっかりと握り返してくれて。
保健室を出て、校門の近くに止められた車が見えるまでの数十メートル、なんだかとても幸せを感じた。
彼の耳が真っ赤になっているのを見て、自然にこぼれる笑み。
「十四郎さん、ありがとう。」