剣ノ一声
第五章 宣戦布告
俺達は悔しくも次の授業へ集中しなくてはならない。だが、俺は気分と同時にかつてない不愉快さを感じ、そのまま机に伏せて居眠り三昧だ。真耶が慌てて俺を起こそうとするも俺はぐっすり
眠っているためそう簡単には起きてやらない。
「つ、鶴来君・・・・・・・?起きてください、今は授業中ですので・・・・」
「ZZz・・・・・・・」
俺は鼾と共に机へ伏せて完全に居眠りへと突入した。すると、千冬が冷静に俺へと出席簿の第二派を浴びせた・・・・・・・・・が。
「ZZz・・・・・・!」
出席簿が俺の頭上に見事命中・・・・・・のはずが、俺はさらにいびきをうるさくして眠り込んでしまった。今まで自分の出席簿シューターで生徒達をたたき起してきたというのに、こ
こに初めてこうも頑固な、それも生徒でもない、しかも男がいたとは・・・・・・・・
「おい、誰かそいつを起こせ・・・・・・・!」
千冬が殺気立ち、俺の周辺に居る生徒へ起こすように指示するが、誰も俺に近づこうとしないので、清二が代わりに俺を揺さぶって起こしてくれた。
「おい、一斉!」
「・・・・むにゃ?」
「授業中に居眠りとはいい度胸だな?鶴来」
白い目で千冬が俺の寝起きを除いている。だが、そもそも俺達が授業け手も無意味なんですけど・・・・・・・・・・
「無意味だとしても、この学園の生徒となった以上は学園の授業は集中しろ!」
「無意味だけどな・・・・・・・・・」
「何か言ったか?」
「何もないであります・・・・・・あ、山田先生?」
俺はぐったりとした目をしながらも黒板で一生懸命にISの講義を行っている真耶へ目を向けた。彼女も俺に初めて声を掛けられて目を丸くしてしまった。
「えぇと・・・・・・前々から質問があるんですけどいいですか?」
「あ、はい!ISに関する質問でしたら何でも聞いてください、私は先生ですから」
と、自信過剰にそう言っているのだが、これから一斉が質問を問いかける内容は元日本代表の彼女でも思わず唸ってしまう内容であった。
「ISって弱点はありますか?」
そうシンプルに一言、真耶は思わず口を歪ませ悩みこくってしまった。
(あ、ISの弱点・・・・・・・?)
今までISを乗りこなして以来、そんなことはいちいち考えてもみなかった。そもそも、ISには操縦者を守るというシールドバリアーが自動的に生じるため、そのシールドがゼロへ削
られていき、その削られたシールドの残量で勝敗がきまるのだ。今ではISは競技種目としてでもジャンルに入っているらしい。
「ミサイル一発ぶちかましても死なないんですか?」
「え、ええ・・・・・・・ISには操縦者の身を守るシールドバリアーというものがありまして、ミサイルの単発なら軽微になると・・・・・・・・・」
「ちっ・・・・・そう簡単にはくたばらねぇのか・・・・・」
「え?何か言いました?」
「あ、いえ!全然、そうですか・・・・・・ISってミサイル一発じゃ死なないんですね?じゃあどうすれば倒すことが?」
「えぇっと・・・・・・そのシールドバリアーを全て削り取れば・・・・・・・ISは防御機能を失うので・・・・・・・・」
「一筋縄では殺られないのか・・・・・・・・・」
「あの・・・・・何か喋っていません?」
「あ、いえ!自分なりに納得しているだけです、ありがとうございました!」
「は、はい・・・・・・・・」
生徒全員が一斉を目に不安と好奇心な視線を向け始めていた。その後、二時間目の休憩となり他の組から織斑一夏と今回学園へやってきた例の三人を見に大混乱が起きていた。
「聞いた?あの子!世界で初めてISを動かせた男子って」
「でも、もう二人男子がいるよ?誰だろう?」
「もしかして、新たな男性操縦者だったりして!」
「そうかな?ひょっとしたら私達目当てでもぐりこんだ不審者だったりして・・・・・・・・」
そういった不安や興味のある会話が飛び交い、男子三名は緊張し続けている。
「そういえば一夏、あのオトコオンナに屋上へ呼び出されたんだろ?」
「ん?箒のことか?」
「ああ、オトコオンナって言ったらあいつしかいないだろ?」
「はははっ・・・・・・でも、箒ってああ見えて女の子らしいところもあるけどな?」
「さあ・・・・どうだかな?もしかすると男じゃないのか?」
「ちょ、ちょっと!一斉・・・・・・・・・」
裏で箒の悪口を連破していると、いつか耳に聞き届いて襲ってくるぞと一斉が慌てて止めようとするが。
「なぁに、あいつは今トレイに言って留守だ。トイレで立ちションとかな!それに、武人ムンムンだからきっとパンツじゃなくてフンドシとかはいているんだろうよ?」
「ちょっとよろしくて?」
会話にシモネタの花が咲いている最中、誰か俺たちに声をかけたのかもしれない気がしたが、俺は気にせずスルーして会話を続けたが。
「それでさ・・・・・・・・・」
「ちょっと!人を話を聞いていますの!?」
「あ?あんた誰?」
と、俺は真顔でそう言い返した。そこには金髪のロングヘアーに欧州系統、西洋の少女がこちらへ歩み寄ってきたのだ。
「わ、私を知らないですって!?イギリス代表候補制のセシリア・オルコットを!?」
「知らねぇよ・・・・・・・それでよ?」
「知らない」だけ返して俺は再び会話に戻った。見る程度この少女は女尊男卑に毒されて相手を乱し、威張り散らしたコウマンチキ女としか言い様がない。こういう女は勿論嫌いだし敵視したっておかしくはない。
勿論清二と一夏だってセシリアを完全無視。
「人の話は最後まで聞いて頂けます!?」
耳鳴りのする黄色い声で怒鳴られたので俺はイラついて怒鳴り返した。
「うるせぇよ!用があるならさっさと言え!」
「ちょっと一斉、いくらなんでも言いすぎじゃ・・・・・?(うわっ可愛いなぁ・・・・・)」
清二はいくらISの女性が苦手でもこのセシリアだけは何故だかきらめいて見えていた。
「そうですわよ!そもそも、貴族に対してその無礼は好ましくありませんわ!」
「貴族ねぇ・・・・・・?ベルサイユの何とかじゃあるまいし、貴族やら王族やらウゼェよ?」
「な、何ですって!?」
「あ、あのさ?ちょっといい?」
一夏である。彼は彼女が発した用語の一つが気にかかって問いかけてきたのだ。
「何か?」
「その・・・・・代表候補制って何だ?」
ギャフン!
その一言で一斉と清二を除く周囲の人間が一気に滑り落ちた。
「あ、あなた・・・・・・本気で言っていますの?」
「ああ、何だ?その代表候補制っての」
「一夏、恐らく読んで字の如くだ」
と、俺がそうつぶやく。一夏も俺の囁きが答えとなってようやく納得した。
「つまり、国の代表候補に挙げられたIS操縦者っていうんだろ?」
「ええ!つまり、エリートなのですわ!」
まぁ、代表候補だからまだ代表とまでは至らない存在なのだろうが、いざなろうとするのなら並大抵のことじゃないだろう・・・・・・・・・・
「へぇ?凄いね!君」
と、この場を和やかにしようと清二が出て彼女に声をかけたが。
「誰ですの?あなたは」