剣ノ一声
「あ、俺は勝山清二、こっちは友達の一斉。色々とあってこの学園の生徒になったんだ・・・・・・・・」
「ISに乗れますの?」
「え・・・?」
「だから、あなたとそこの御友人もこの一夏さんのようにISへ搭乗できますの?」
「あ、その・・・・・・」
セシリアは必要以上に俺と清二へきつく言い掛けてきた。
「そもそも、男子のくせに、それもISに乗れないあなた方が、どうしてこの場に居らっしゃるの?」
「そ、それは・・・・・・政府からの事情でうまく話せないんだ・・・・・・・・・」
清二はこれだけは嘘をついていないという顔でセシリアへ証明させようとした。
「まぁ、日本の政府とは本当に何を考えているのかしら?それに、あなたのような太った男性がISに乗れるわけがありませんものね?」
「・・・・・・・・・・」
これだけは言いすぎじゃないの?と、清二は切ない顔に。確かに自分は肥満気味だが、別にIS以外の目的でこの学園に嫌でも入ることになったんだ。誰かにどうこう言われる筋合いは
無いのに・・・・・・・・・・・・
「おい、言いすぎじゃないのか?」
だが、そんなセシリアの言葉を一斉は許さなかった。
「あら?不審者がいい度胸ですわね?」
「不審者と思うなら勝手にしろ。だがな、俺のダチを悪く言う奴は許さねぇぞ?」
「まぁ、東洋のお猿さんが何を仰っているのかわかりませんわ?」
こいつ、完全に人を馬鹿にしている、いや、俺どころか日本事態を見下して嫌がる。俺の中に眠る大和魂と日本男児の本能がこいつを許さないでいる!
「席につけ!授業を始める!」
だが、丁度運悪く千冬が受け持つ授業が始まってしまった。あと数分さえ時間があれば仕返ししてやれるのに・・・・・・!
「ま、精々誤魔化し抜くことですわね?」
それだけ言うとセシリアは席へつきなおした。だが、授業を始める前に千冬は今後とも行われる「クラス代表」についての推薦が行われた。クラス代表とはいわば一年の各組とトーナメント
で試合をしたり、または学級委員のように面倒な雑用や色々なことをやらされる面倒な役目。それも交代なしで一年間ぶっ続けでやり通さなくてはならないらしい・・・・・・・・・
「・・・・・・・と、いうわけで誰か代表を務めたい奴はいないか?それか推薦したい奴は?」
「はい!織斑君がいいと思います!」
と、千冬の声にこたえて一人の女子が一夏の名をあげて高々と手を挙げた。
「はい!私も織斑君がいいと思います!」
「でも、鶴来君だって捨てがたいと思うので鶴来君に一票!」
「あ、私は優しそうな勝山君がいいと思います!」
「え、ちょ、ちょっと!?」
清二はまさかの展開に周りをキョロめいて。一夏は目を丸くしてテンぱり、俺は完全に否定の声を上げていた。
「おい!俺はそんなクソ面倒な役割は嫌なんですけど!?」
「推薦された奴には拒否権がない!その三人のうちどちらかだな?」
「だから!俺は・・・・・・・・・」
「納得がいきませんわ!?」
「・・・・・・・・・・?」
俺の真後ろの席から机をドン!と叩いて立ちあがった女子が一人、セシリアなんたらとかいう候補生だ。あいつ、また喧嘩でも売るつもりか?
「男子がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!大体物珍しさに男を選ぶなんてどうかしています!このセシリア・オルコットに一年間もその屈辱を味わえと!?大体、文化とも後進
的な東洋諸国でISの技術を学ぶなど耐えがたい苦痛で・・・・・・・!」
「何だ、こいつ。自分を威張り上げることしか言っていねぇ・・・・・」
俺がそうつぶやいた途端、前の席に座る一夏が立ち上がり。
「イギリスにだって大した御国自慢はないだろ?まずい料理で何年の覇者だよ?」
「そうだ!それに、有名と言えば、そのゲテモノ料理とスピットファイアぐらいか?ま、スピットファイアなんざ、零戦の足元にもおよばねぇがな?」
俺も嫌みを込めた口調で一夏に加勢する。
「い、イギリスにだって美味しい料理はありますわ!それにスピットファイアは優秀な戦闘機です!あなた方!私の祖国を侮辱しましたね!?」
「先に俺達の祖国を馬鹿にしてきたのはどこのどいつだよ?」
すると、セシリアも堪忍袋の緒が切れ。その細い人差し指をビシッと俺達へ差し向け。
「決闘ですわ!もし負けたりしたら私の駒使い、奴隷にしてさしあげますよ!?そして、そこのあなた!」
今度は俺に向けてセシリアの文句が炸裂した。
「大体、男の分際でIS学園に足を踏み入れていいと思っていますの!?」
「俺だって好きでこんな女だらけの巣に自を投じたくねぇわ!」
「無礼な!私はイギリスの代表候補制、東洋の猿達と一緒にされては困りますわ?それに、その野蛮性・・・・・きっと育てた親も猿なんですわね・・・・・・・」
ドカッ!!!
俺はいつの間にか、頭に血が上っており、軽々と机を持ち上げてセシリアへ投げつけた。幸い、机はセシリアの頭上ぎりぎりを外れ、壁に激突。女子全員が点目で俺の姿を目にした。
「テメェ・・・・・・そんなにここが嫌なら国へ帰ったらどうだ?」
俺は逃げようとするセシリアの長い金髪を引っ掴んで、こっちへ引き寄せた。そして、じたばたする彼女の胸倉をつかんで勢いよく怒号を上げた。
「代表でもねぇくせに堂々と威張ってんじゃねぇ!それに、俺に親は・・・・・・・・!!」
「は、離しなさい!汚らわしい・・・・・・・」
「うるせぇ!黙れぇ!!」
俺は彼女を投げ飛ばして黒板へと叩きつけた。女子全員が俺の行動を目に泣きじゃくって恐怖する。
「よせ!鶴来!!」
千冬は慌てて俺の背後へ回り込み、両腕を捕まえるのだが、俺は目障りな千冬をも。
「邪魔だ!引っこんでろ!!」
勢いに乗って千仏の片手を掴んで彼女をも投げ飛ばした。千冬も相手がただの男子かと油断し、そのまま体制を整えることなく背から床へ落ちて行った。
「ひ、ひぃ・・・・・・っ」
黒板の隅へうずくまり、泣きじゃくるセシリアへ俺が鉄拳を振るが、そこで千冬の一声で俺の動きが止まった。
「待て!鶴来・・・・・・・・それほど気に食わないのなら、来週の月曜、第三アリーナを開けてやろう?そこでオルコットと決闘させる。それでどうだ?」
「・・・・・・・・・!」
俺は歯を食いしばり、どうにか怒りを抑えることができた。そして、気が付いたら俺は清二と弥生に身体を止められていた。
「一斉君!落ち着いて?」
「ここで候補生をボコボコにしちまったら国際問題になるぞ!?」
「くぅ・・・・・・・・・!」
俺は暴れようとする腕をどうにか押え、この怒りを静めた。
「いいだろう・・・・・・・・テメェの喧嘩、買ってやるぜ!」
「そ、そちらこそ、ISが使えないのだから負けを認めるのであれば今のうちですわよ!?」
「ケッ・・・・・・・俺にはISさえ屈する強力なバックがあるんだよ」
俺は腰へ下げた軍刀をセシリアへ見せつけた。
「そんな剣でどうするおつもりですか?」
「俺は、ISが使えない。だからこの肉体のみでお前をぶっ倒す!」
「あなた!私を馬鹿にしておりますの!?」