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剣ノ一声

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第六章 模擬戦 







それから放課後、俺達は適当に授業を済ませて昼飯もすませ、寮へ帰宅することになった。俺は未だに気に入らない顔で不機嫌が続いていた。無理もない、俺の場合執念深い所があるか

から、おそらく来週のアリーナまではこの恨みは留まる事を知らないだろう・・・・・・・・・・・・

「ったく・・・・・気にいらねぇな、あの金髪ロール・・・・・・!」

「仕方ないよ・・・・・・喧嘩沙汰になるよりも決闘で勝負がつくんだから(はぁ・・・・・セシリアちゃんって、案外キツイ子だな?)」

「・・・・・・・・・ところで、さっきから気になっていたんだが?」

「ん?なに?」

「清二、お前ひょっとして・・・・・・・いや、あり得ないと思うが・・・・・・・」

「何だよ、言ってみなよ?」

もったいぶるつもりじゃないのだが、一様本題を発した。

「・・・・・・あの金髪ロールが気になるのか?」

「ギクッ・・・・・・・!?」

「清二?」

「な、な・・・・・何を言っているのかな!?俺は・・・・・・別に?」

成る程、何かごまかしているか?まぁ、その様子じゃ図星だな。

「今日の放課後までずっとセシリアを見つめていたんだから。隣に座る俺ならわかるさ」

「・・・・・・・・・・」

「おい、あの女。見たところ絶対イクメンの馬鹿女だぜ?いかにも童貞は受け付けません!っていうような面だ」

「別に俺はそういうことで・・・・・・・」

「ふん、ああいう女は絶対いつか、いい男に騙されるっていう感じがするぜ?」

「そうかな・・・・・・・?俺からしてみれば、何だか寂しげな目をしていた気がする」

「ま、所詮女なんかにそう深く執着するとロクなことがねぇ・・・・・・・・・・最悪のばあい、染まりきって「お姉系」になっちまうぞ?」

「確かに、肥満男はもてないからね?」

「見た目じゃねぇ、肝心は中身だ・・・・・・・まぁ、そのうち俺達もいつしか童貞卒業の日も来るさ?」

「だといいんだけど・・・・・・・・・」

「そうさ・・・・ん?」

寮の通路を移動中、なぜか後ろから人の気配がする。それも誰かに見られているような・・・・・・・・・・?

ガバッ・・・・・・・・

「・・・・・・・・・!?」

「「あ・・・・・・・」」

明らかに女子の大半が俺と清二の後を付きまとっていたようだ。つい十数秒前に、そんな気がしてならなかった。全く、そんなに男が珍しいのかよ?

「おい、出て来いよ?いるのはわかってんだぞ?そこの数人・・・・・・・・・・」

「え、えへへ・・・・・」

すると、壁の裏から三人の女子がおとなしくその姿を見せた。

「何か用かい?」

清二は三人に問い尋ねるが、三人はなにやら緊張しあって素直に話してくれない。ま、大体見当はついているけど?

「あの・・・・・・どうしてIS学園に来たの?」

と、一人の女子が口をあけてくれた。

「それは秘密事項、政府の口からじゃないと言えないらしいんだ」

清二はそう返答。しかし、その答えはもう聞いているので別の答え、つまり本当の答えが知りたかった。

「本当に気になるのよ?授業の合間でも集中できなかったんだから・・・・・・・・・」

「ま、来週の決闘までのお楽しみにしておいてくれ?」

俺はそれだけ言っておいて、三人の女子と別れて部屋へ向かった。清二は俺が最後に発した言葉が気になる様子だ。

「なぁ?もしかして、戦空士へ変身するところを皆の前で見せるのか?」

これも、まずいんじゃない?と、思うのだがここまできた以上、戦空士の力ではないとあまり自信がない。しかし、戦空士になったのは当初の一戦、篠之ノ神社のときと学園へ乱入した

ときとこの二回しかない。

「明日から特訓だ、お前も手伝ってくれ?」

「ああ、いいよ?」

                                             *

それから翌朝、俺は清二と弥生に付き添ってもらい、変身した俺は戦空士での鍛錬を行った。一様清二にも戦空士へ変身方法も教えて、演習相手になってもらった。

「だから、軍刀を引き抜いて・・・・・・・こうやって上空へかざすんだ」

「えぇっと・・・・・こうか?」

大体形にはなっている。だが、いくら上空へかざしても何の変化も見当たらない。何が足りないんだ?

「おかしいな?何が足りないんだろ?」

「何かポーズが異なるんでしょうか?」

弥生の意見も当たりっぽい。だが、それ以外で俺の知っていることは・・・・・・・・・あ、そうだ。

「・・・・・・・・・・・」

軍刀を厳しく見つめた。前回も、その前の初戦も、この刀から声が聞こえていたよな?

「・・・・・・おい、聞こえるか?」

俺はまさかと思いながらも軍刀へ向けて声をかける。最初はあり得ないと思ったのだが・・・・・・・・・・・・

(助言か・・・・・・・?)

「・・・・・・!?」

その声は俺と清二、弥生にも聞こえた。

「お、おい!その声って・・・・・・・軍刀から!?」

「もしかして、元戦空士の英霊の声かしら・・・・・・・?」

「本当に、お前なのか・・・・・?」

(いかにも、清二殿の軍刀には・・・・・・・・確か、「紗江」が宿っておったな?」

「紗江?」

(軍刀に宿る元戦空士の英霊だ。また、私は戦空士隊長「竜蔵」である・・・・・・・・)

「でも、その紗江って人の声が聞こえないんだけど?」

すると、清二の質問に竜蔵はため息をついた。

(・・・・・・いつもの事だ、おそらくまだ意識は眠っているのだろう?清二殿、そなたの軍刀をたたき起こしてくれ?)

「たたき起こす?」

(怒鳴っただけでは効果が薄い、壁か岩にでも叩きつけてみてくれ・・・・・・・・・?)

「は、はい・・・・・・えぇと・・・・それ!」

清二はなるべく手加減して軍刀を軽く壁へぶつけた。すると、ぶつけた瞬間、色っぽい女性の声が聞こえたのだ。

(いったぁい・・・・・・もう、人がせっかく気持ちよく寝ていたのに・・・・・・・?)

「う、うわぁ・・・・・女の人なの?っていうか、何だか色っぽいな・・・・・・・・?」

(あら?そこの坊やが私のご主人?)

軍刀「紗江」は薄い光を発して清二に問いかけた。

「え、うん・・・・・・・・」

(あ!ごめんね・・・・・・?もしかして、私が目を覚ますまで待っていてくれたの?)

「えぇっと・・・・・はい」

(そっか・・・・・それじゃあ、またしちゃったお詫びに早速変身させてあげるわね?)

その声と共に清二の体は光に呑まれ、俺と同じ戦空士の姿へと変わり果てた。

「こ、これが・・・・・・・俺?」

「お!似合っているぞ?清二」

(当然よ!私のご主人ですもの。ね?坊や)

「は、はい・・・・・!」

(紗江は昔から大の男好きでな?清二どのは運が悪い・・・・・・・・)

(まぁ!失礼ね?私は勇ましく戦い、ときには優しく癒してくれる柔らかい男の子を溺愛しているだけよ?)

(・・・・その割には結構な遊び人だがな?)
作品名:剣ノ一声 作家名:伊波鷹元