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剣ノ一声

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「そんなことはありません。前々から巫女様には憧れを抱いておりましたから、それに舞の稽古も楽しいものです。もしよろしかったら練習を見に来てください」

「いいよ、あのオトコオンナもいないから安心して神社に踏み入ることができるよ」

あの箒がIS学園へ入学したおかげで嫌な奴の顔を見ずに済んだのは幸いだった。

「オトコオンナ・・・・・・・・・?」

「いや、こっちのことさ。今度練習見に行くよ?」

「はい!ありがとうございます。あと、最後にお二人へお尋ねしたいのですが・・・・・・・・・」

「俺たちに?」

俺と清二にまだ何か?

「あの・・・・・・・・近頃、篠ノ之神社で「声」が聞こえませんでしたか?」

「「・・・・・・・・・・・!?」」

俺達はあの神社から聞こえてきた声、「・・・・目覚めよ・・・・」の声を思い返した。あの声は今日の朝、神社を横切った際にふと耳元に入った。

「あ、うぅ・・・・・・」

言おうか言わまいかで俺達は戸惑いが生じたが。

「ご正直にお話しください、誰にも言ったりはしませんから」

「・・・・・・・・・・うん、何となくだけど」

「本当ですか・・・・・・・!?」

「ああ、そうだけど?それがどうかしたのか?」

「あの、鶴来さん!勝山さん!」

「「は、はい!」」

突如、真剣なまなざしへと変わった彼女に俺達は背筋を伸ばした。弥生はさらに真剣に伝えておきたい言葉を伝え続けた。

「・・・・・・本日学校が終わり次第、篠ノ之神社へ出向いて頂けないでしょうか?お願いします・・・・・・・・」

「え、どうしたの?」

「私も、あなた方と同様にその声が聞こえるんです」

「君も・・・・?俺達は神社から「目覚めよ」とか何とかって聞こえたけど・・・・・・・・・・」

「やっぱり・・・・・・・私は父から私と同じ能力を持つ方達がこの里の学園にいると伝えられましたからお会いするようにと転向してきたんです」

「待ってくれ、まだ頭の中の整理が出来ていない・・・・・・」

俺は頭を抱えて何が何だか混乱した。

「ちなみに、君はどう聞こえたんだ?神社で」

清二は気になる弥生へとお告げを尋ねた。

「私は神社の際具典前で「残された戦士を探せ」・・・・・と、告げられました」

「神社で?「残された戦士」、「目覚めよ」、なんだか本当にわからないや」

「唐突にこんなことを言ってごめんなさい・・・・・・・・・でも、時は一刻を争います!本日の放課後、神社でお待ちしております・・・・・・・・・あと、このことは誰にも言わない

でくださいね?」

そういうなり、弥生は俺達の席から離れて行った。残された俺と清二はあんぐりと口をあけることしかなかった。その後も午後の授業は弥生のことで頭がいっぱいになり、集中できなかった。

掃除中も、綾香から「弥生ちゃんから何の話をしたの?」と、尋ねられたが弥生が言ったように誰にも言わないでくれと言っていたので、とりあえず適当なことを言って誤魔化した。

授業と掃除が終わり放課後へとなった。俺と清二は弥生が言っていた篠ノ之神社へ行こうかどうかと悩んでいる。彼女が俺達をからかっているようには見えない。そもそも、真剣なあの瞳

で言われたのなら信じてしまう。

「おい、清二・・・・・・・お前はどうするよ?」

「うん、弥生ちゃんの話は本当にマンガみたいな展開だね?でも、面白そうだから行こうかな?」

「そうか、俺も家に帰っても何もすることがないし・・・・・・・・・行ってみるか?」

俺達はそう気軽な気持ちで篠ノ之神社へ向かうことにした。あたりはもう夕暮れ、その光景が緊張を高める。それと同時に昼休みに弥生が言っていた言葉を回想する。

(時は一時を争います!本日の放課後、神社でお待ちしております・・・・・・・・・・・・・)

と、その言葉はどうも遊び感覚で発した口調ではない。本当に彼女が言うように何かとんでもないことが起きようとしているのか?いや、それ以上考えたらマンガみたいな展開に繋がり

そうだからあまり考えないでおこう・・・・・・・・・・・・

「久しぶりに神社へ行くな?あの時以来、俺は負けて二度とここへ来ることはなかった。祭りの縁日でも維持を張って行こうとはしなかったな・・・・・・・・・・?」

幼少時代を思い返していたとき、鳥居の前で一人の巫女の少女が誰かを待ち続けていた。式波弥生である。彼女の姿に俺達二人は顔を赤くしたのだった。

「あ、鶴来さん!勝山さん!こちらです」

大きく手を振りこちらへ目を向ける彼女に俺達は石段を駆け上がって彼女の元へ辿り着いた。

「ごめんね?待ったかい?」

息を切らす清二に弥生は慌てて「いいえ!丁度私も来たところです」と返答したらしい。

「ところで、俺たちに話って何だ?」

「ええ、こちらです・・・・・・」

そういうと彼女は俺達を神社の際具典へ案内した。ここは年に一度しか開かないし埃だらけの汚らしい物置小屋だ。

「この際具典へお二人にお見せしたい物が・・・・・・・・」

「見せたい物?」

「ええ、お入りください・・・・・・・・」

「けど、おばさんに見つかったりしたら・・・・・・・・・」

清二は不安げにそう告げた。確かに、いくら汚れているとはいえ際具典は神社の神主がそれに関連する人間しか立入ってはならない。

「それはちゃんとおば様にもご説明しました。あの方も私や式波家のお話を信じてくださっています」

「ならいいんだけど・・・・・・・・」

「さ、お入りください」

俺達は彼女の言われるままに遠慮なしで際具典へと入った、祭りの飾りや催し物など、祭りの用具しか置いていない。最初はそう思ったのだが・・・・・・・・・・・

「な、なんだ・・・・・・・・!?」

俺と清二が際具典へ足を踏み入れた直後、際具典の奥が薄青く光りだしたのだ。一人でに、それもボォ・・・・・ッと光りだしたのだのだ。

「す、すげぇ・・・・・・・」

俺達はただ、あんぐりと口をあけることしかできなかった。そして、弥生も。

「信じられない・・・・・・・・・本当にこのお二人が選ばれし者なの?」

「ど、どうすりゃあいいんだよ?」

「お二人とも、あの光の元へ向かってください。そこに・・・・・・・・・・」

俺と清二は彼女の声を信じ、恐る恐るもその光へと歩み寄る。そこには、横一列に並べられた二刀の軍刀が札と鎖で封印されている。これは一体・・・・・・・・?

「刀・・・・・だよな?」

「そうだね?でも、どうして刀が際具典に?」

顔を見合せながら俺達二人はその刀へと歩み寄った。半分恐怖もみられたが、何だか妙に安心感があり、身体の奥底から力が込みあがってくる。

「お二人とも、その軍刀をお取りください。あなた方ならその刀の封印を解くことができるはずです」

「刀・・・・・」

俺達は恐る恐るもこの軍刀に手を触れる、俺は鞘に「零」と書かれたこの軍刀を、清二は「雷」と書かれて鞘を手始めに手に取ろうと、剣に触れた。すると・・・・・・・・・

「・・・・・・・!?」
作品名:剣ノ一声 作家名:伊波鷹元