剣ノ一声
第三章 戦士の復活
「この力は一体・・・・・・・・?」
戸惑い、俺は自分の両手を見つめる俺の身は飛行装備着に包まれ、飛行帽にゴーグル、そして白いマフラーの覆面をし、手足にアーマーが装着されていた。自分が想像していたようなアー
マーフル装備のメタル的なヒーローではなかった。しかし、力だけは本物であった。
「こ、これが・・・・・?これが俺!?」
「す、すげぇ・・・・・・・・・」
清二は立ち上がる暇もなくただ、俺の変化した姿に見とれることしかできず、弥生も目を丸くすることしかなかった。
「この力・・・・・・!ああ!臭う!?この力・・・・・・戦空士!?」
「・・・・・・?」
いつの間には髑髏の化け物はいきなりの怯えようで震えていた。そして、憎しみのこもる口調で俺へと叫ぶ。
「お前!戦空士か!?・・・・・・戦空士、日本軍負けて全て死に絶えた。何故居る!?」
「戦空士・・・・・・・・?」
因縁があるのか?どうやらこの化け物は俺の姿を知っているようだが?
「し、死ね・・・・・死ねぇ!」
髑髏は興奮してダブルパンチを俺へ振り下ろした。しかし、俺はその攻撃を腕二本で意図も軽く耐えて見せたのだ。本来ならば地面が砕け、生身の人間などひとたまりもないところだろう。
「・・・・・・・・・!?」
俺は今一度自分の両手を見つめた。本当に・・・・・・・・俺がやったのか?
「一体、何が起きたんだ・・・・・・・?」
だが、行ける!この力なら、たぶん・・・・いや!この化け物を倒すことができるかもしれない。
「こ、殺すぅ!戦空士死ねぇ!!}
「・・・・・・・・!」
俺は髑髏の拳をものともせず、その拳へ己の拳を激突させた。すると、俺の拳は髑髏の拳を打ち砕き、髑髏の頭骸骨へと貫いた。
「ぬ、ぬおおおぉ・・・・・・・!?」
「や、やったか!?」
清二は目の前の覆面ヒーローが持つ圧倒的な破壊力に口をあんぐりあけて見続けていた。そして、覆面ヒーローこと俺の拳によって頭部が半壊した髑髏は呻くように苦しみだした。
「が、ああぁ・・・・・・!?」
髑髏が苦しみばれ、腕に捕えていた弥生を振り飛ばした。俺はとっさに投げ飛ばされた彼女をしっかりと抱きうけた。
「大丈夫か!?」
「え、うん・・・・・・」
助けられたにせよ、今男性に抱き上げられていることに顔所は顔を赤くしているが、俺はそんなことをそっちのけでとっさに彼女の安否を確認した。
「怪我はないようだな?よかった・・・・・・・」
俺はゆっくりと彼女を地面へとおろすが、弥生は先ほどの恐怖によって足がすくみ、地面へとへたりこんでしまった。
「お、おい・・・・・・?」
「だ、大丈夫・・・・・・・怖かったから・・・・」
一方、髑髏は苦しみ続けた果てに、頭部に巨大な皹が生じて意図も脆く崩れ落ちたのだった。しかし、あの巨大な髑髏の化け物は一体何者なんだ?
「清二は大丈夫か?」
俺が清二へ振り向いた瞬間、再び俺の体内に変化が起き、光に包まれてまた元の学ランの姿へ戻った。先ほどの飛行装備着の姿はどこへやら。そして、俺の片手には「零」の軍刀が握られ
ていた。
「俺よりも、一斉は大丈夫か?」
ようやく立ち上がることができた清二は慌てて俺の元へ駆け寄ってきた。とくに身体には何の異常もない俺は「ああ、大丈夫・・・・・だと思う」と答えた。
「それより、あの化け物は何なんだよ・・・・・・・?」
「妖魔よ?」
「え・・・・・?」
その声は石段のほうから、篠ノ之神社のおばさんだった。あの人はこの化け物の正体を知っているのか?
「おばさん?」
「鶴来君と勝山君が戦空士に選ばれた青年だったのね・・・・・・・・・そして、弥生ちゃんも」
「おば様・・・・・・・・」
「おあばさん、あの化け物の正体を知っているんですか?それとこの刀も」
清二は軍刀を見せながらおばさんへ問い尋ねた。
「ええ、知っているわ。いずれ時が来たらあなた達に話そうとしたの。私の家へいらっしゃい?そこで詳しく事情を説明します」
俺達はおばさんに連れられて神社の自宅へお邪魔することになった。そこでおばさんに妖魔に関する詳しい事情を聞く。
「まずは・・・・・・何から説明したらいいかしら?」
「じゃあ、この刀についてお願いします」
まずは、俺からの質問。
「その軍刀ね?昔、これは旧日本軍の話なの。いえ、今では都市伝説よ?当時、帝国軍は銃弾に撃たれても死なない不死身の強化戦闘服を開発したの。それが、一斉君が変身した
あの姿よ?あの正式名所は「帝国海軍汎用迎撃戦空士・零式」、終戦後に戦空士達は戦争や戦国の戦で死に絶えた悪霊達を討伐し、今までに至る平和な世界へと築き上げたの」
「じゃあ、その悪霊っていうのがさきほど一斉が倒したあの骸骨の化け物なんですか?」
清二である。
「ええ、恐らく違いないわね?あの悪霊は「妖魔」と言って、それも女性を主食として襲う妖怪なの」
「え、じゃあさっき弥生が襲われたのも・・・・・・・・・」
「女の子である弥生ちゃんが目当てだったのね?さっきも言ったように妖魔は女性を中心に襲ってくる化け物なの」
「そんな・・・・・・じゃあ、弥生ちゃんは妖魔に狙われる的じゃないか?」
清二は弥生を見た。弥生もまた、恐怖する顔へと一変する。しかし、彼女にも言いたいことがあった。
「・・・・・この村に越してくるまでは妖魔のことを父からよく聞かされていました。私も英霊に導かれ、選ばれた者としてお二人と共に闘います!こうなることは覚悟しておりました」
「弥生・・・・・・・・」
「・・・・・わかったわ、けど弥生ちゃん?もう後へは戻れないのかもしれないわよ?それでも、この子たちと一緒に何処までも付いていける?」
「・・・・・・はい!」
「そう、じゃあ弥生ちゃんにこれを授けます・・・・・・・・」
すると、おばさんは彼女に風呂敷に包まれた一刀の紅い鞘の刀と丈の短い巫女装束を与えた。
「これは・・・・・・?」
「かつて、戦空士と共に妖魔を倒した巫女が纏う戦闘装束と対魔の刀よ?何れは箒ちゃんに渡そうかと思ったけど、やっぱり、これは弥生ちゃんにあげたほうがいいと思うの」
「でも、私は剣術なんてそれほどやったことはないし・・・・・・私よりも、箒ちゃんのほうが」
「いいのよ?あの子はISの道へ走っていってしまった子なの。本当に悲しいことだわ?「あの人」がいなくなってから箒ちゃんはひたすら強さだけを追い求めて・・・・・・・・・・」
「おば様・・・・・・」
「本当の強さというものは武道の鍛練じゃないわ。ここよ?」
そういっておばさんは胸に手を当てた。
「心・・・・?」
「そう、本当の強さは人を助け、そして正義を貫き、決して折れることのない心こそが本当の強さなの。かわいそうなことに、箒ちゃんは強さで誤った方向へ進んで行ったわ・・・・・・」
「あいつが・・・・・・・」
俺は今一度箒を思い浮かべた。いつも強情っぱりで竹刀を振ることしか頭に無いにないあいつ、県大でも優勝し続けたあいつでさえも、本当は心が貧弱なんじゃあどれほど力が強くと