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剣ノ一声

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第四章 女性の間





俺達が里から抜け出てから五日後のこと、野宿を繰り返し上でようやく目の前にIS学園が見えた。足も疲れて何よりも腹が減ったりのどが渇いた。ちなみに水は節約し続けているので

無駄にがぶ飲みはできない。そんなきつい旅を五日ほど続けて今ここに、ようやく東京が見えてきたのだ。

「ああ・・・・・・・疲れたぜ?」

額の汗をぬぐって俺は下から続く二人のダチを見つめた。俺の後ろには弥生と息を切らす清二。清二は案外頑張り屋なため無理をしてでもやり抜こうとする癖があるためよく気を使って

休憩を多く取る。まぁ、俺もそれのほうが楽でいいや。

「それにしても、ようやく東京か?あそこにIS学園があるんだ。よくここまでたどり着けたよ」

思えば電車賃、その他の移動手段は全て経ち切って大方徒歩のようなものであった。本当にピンチであったのならキッチハイクなどが頼りのみだった。

「はぁ・・・・はぁ・・・・!」

俺の後ろで息を荒くする弥生はやはり、三人の中で紅一点の女の子なゆえに俺や清二と違って体力が半端なく底を尽きかけていた。俺と清二はよく彼女の身を心配する。

「大丈夫かい?水でも飲む?」

清二は自分よりもゼェゼェ息を荒くする弥生の背をさすってやっている。俺も気を利かせて最後の一口である水筒の水を彼女に差し出した。

「無理するなよ?ほら、これでも飲んで息を整えてくれ」

「で、でも・・・・・・私が飲んだらお二人の分が・・・・・・」

「いいって、俺達は東京の町に着いたら飲み物でも買ってすませるから」

「そうだよ、それに結構歩いたし少し休憩しようか?お前もそろそろギブだろ?清二」

「ビンゴ、そうしますか?」

「ご、ごめんね?二人とも・・・・・・・・」

ここ五日間、旅を続けて俺達は次第に親しい仲となり、今ではこうして男女問わず会話を飛ばし合ったりすることもできる。

「気にするなよ?それよりも、まずは一息入れようぜ?」

その後、約十五分ほどの休憩に入った。正直俺も今の体力じゃヘトヘトだ。運動不足もそうだし、何よりも里からここまでの距離は予想以上の半端ない距離だということを思い知らされ

た。里から見渡す小さくわずかな点に見える東京の輝き、しかし、いざと直々に、それも徒歩で向かえば人の足と乗り物の足とでは雲泥の差がこうもあることがわかった。自転車で向かおうと最初

は誰かが上げたのだが、運悪く弥生は自転車をもっておらず、それに自転車に乗れないときた。原付のバイクだって俺と清二しか乗れないし。バスを使って金を払うわけにはいかない。

お互いの所持金は多くても一万以下が限度、それも俺や清二は安バイトのゆえに弥生と違って五千円か四千円だ。東京のコンビニへ寄ったら弥生が通帳から引き出しくれるそうだからそ

の間は俺達の所持金で何とか出来るだけバスを使わずに所持金ぎりぎりでどうにかたどり着けたのだ。これぞ、チームワークといってもいいだろうな?

「では、お水、頂きます・・・・・・・・」

申し訳ない顔で弥生は水筒の中のミネラルウォーターを全て飲みほした。正直、所持金にも食費や自販機で水なども買うことでバス賃以外にも食費などが重なる。

「さて、もうひと頑張りだ。そら、清二も踏ん張れ!」

「ああ、弥生ちゃんも大丈夫かい?」

「ええ、私は何ともございません・・・・・・・・・」

その後は残り数キロを徒歩でどうにか切り抜け、ようやく念願の東京都内へ踏み入れることができた。

「さて、お次は私の番ですね?」

大手企業のお嬢様である彼女は胸を張って銀行から数万を引き出してくれた。勿論ファミレスで今までの飢えを満腹へ凌ぐことができた。

「ありがとう!本当に助かったよ・・・・・・・・・」

ガツガツと肉やどんぶりを頬張る清二に続いてドリンクバーをがぶ飲みする俺を見て見事な食欲だと弥生は苦笑いした。確かに無理もない。道中、弥生が歩けなくなれば俺と清二が後退

後退で彼女を背負い、その逆もあった。俺や清二がくたびれれば誰か二人が一人の腕を担いで運ばなくてはならない。結局俺達三人は御互い運動オンチ、または運動不足であった。

「これで、どうにか飢えが凌げたよ。本当にありがとう!おごってくれて」

「いいんですよ?お二人には道中よくご迷惑をかけたものですから」

「そ、そんなぁ・・・・・俺なんか太っているからよく坂道は二人に担がれたものだよ?」

と、清二は照れ臭そうに、申し訳なさそうに答えた。

「でも、大方おぶってくださったのは清二君ですよ?清二君って女の子にとても優しいんですね?」

「い、嫌だな!やめてくれよ・・・・・・・」

照れ臭そうに清二は顔を下げた。

「一斉君も、私のことを気にかけてくれてとても助かります。一斉君と一緒に居るとまるで女尊男卑だなんて嘘のよう・・・・・・・」

「そんな、俺まで照れちまうよ?」

とにかく食事は楽しく長続きし、俺達は満腹の腹を抱えて次に向かうのはいよいよ目的のIS学園であった。しかし、その学園を先ほど横切ってみてみたものの、学園の周辺は人工島に

よって海に囲まれており、それどころか周辺の海域には海上自衛隊の護衛艦が輪を描いて学園を囲っている。これは世界最大の学園施設だと言えよう。おそらく、軍事施設でもこれほど

の防衛環境はありえないはず。里で神社のおばさんが陰陽道に連絡してIS学園の入校許可を取ってくれるそうだが・・・・・・・・・・果たしてうまくいくだろうか?

「問題は、これからIS学園でどう活動していくかだよ。妖魔が現れたからといってもいつ現れるか、せめてそいつらの気配が察知できるような能力があればな?」

清二が頭を抱えてドリンクのコーラーのストローに口を付ける。すると、真っ先に戦空士へ変身したこの俺がふと心当たりを見つけた。

「そういえば、あの時に何だかすごい胸のざわつきを感じたんだ。あれって、清二が言う察知する能力なのかな?今はそれほど感じないけど?」

当初、髑髏の化け物と対面したとき、俺の胸が不気味にざわめいた。恐らく、その感覚が察知能力なのだろうか?

「まだ、よくわからないですね?私もおば様に力があると言われておりましたが本当にどうなのか未だによくわかりません。それに、この巫女装束、袴がミニスカートみたいで少し恥ず

かしいです・・・・・・」

弥生は背負っているリュックから畳まれた所属を除いた。確かに、あれは何となくコスプレっぽいだろう・・・・・・・・・・だが、俺と清二は少し帝国派の軍オタだからそれほど恥ずかしくはない・・・・・・・・・・・・

「まぁ、行ってみないことにはわからないよ。とりあえずこれから学園へ行ってみようよ?学園にはモノレールで海を渡るようだし」

IS学園は船かモノレール、あるいは飛行機と言った移動手段でないと出向くことはできないようだ。

                                        *

「しかし・・・・・・・・・すげぇスケールだな?モノレールにしても建物のビルにしても?」

「そうですか?私は今まで都会で暮らしてきましたからそれほど驚きはしませんけど?むしろ、田舎に驚きました」
作品名:剣ノ一声 作家名:伊波鷹元