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【ゼロの軌跡】 第1章

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紳士「みなさん、青海について思う存分語り合える楽しいひと時をお楽しみですかな?」


一同「うおーっ!」  

みんなすごい盛り上がりである。


紳士「我々人間たちは何百年もの間空の上で暮らしてきました。しかし、私たちは何か大事なことを忘れていませんか?そう、人間ははるか昔海の上で生活していたということを。そして、海には我々が目にしたことのない光景・生き物が数えきれないほど存在しているということを!今の人間たちは愚かです。なぜ、無限の可能性・無限の輝きをもった青海のことを忘れてしまったのか?しかし、ここにいる私たちは違う!!私たちは青海について様々なことを知っています。みなさん、思いませんか?今こそ青海に旅立つときです!!この目で青海を見てみたくはありませんか?さあ、これから 私とともに青海に旅立とうではありませんか!!!」




一同「・・・・・・・」 



・・・・・パチ、パチ・・・ 


会場のどこから拍手が聞こえ始めてきた。




パチパチ・・・パチパチパチパチパチパチパチ!!


そして、大広間の全員が拍手をし、大喝采になった!


男「行くぜ!俺はその話にのるぜ!」 

女「私もよ。」 

男「おれもおれも」



みんなが紳士の言葉に賛同し、青海に旅立つことに興奮を隠しきれないでいた。




ゼロ「・・・・すげー・・こんなに大勢で青海に行くのか。やべぇわくわくしてきた。あれ??サラは?さっきまでいたのに・・・」



そして、大広間の一同は、紳士に連れられ、港に向かった。ゼロはまだ見ぬ青海に大興奮していたが、サラがいなくなってしまったことだけが心に引っかかっていた・・・・




―空島ヴェスヴェ ドーナッツポートー



紳士に連れられて、大広間にいた人全員が港に集まった。その中にはゼロもいた。

港には巨大な飛行船が一隻あるだけで、とても静かだった。それはどことなく不気味さを覚える静けさだった。


紳士「それでは、みなさん、目の前に見えます飛行船『サントアンヌ号』にお乗りください。あの船に乗り込んだ瞬間から、みなさん の青海への偉大なる冒険がはじまるのです!!」

男「やべー、わくわくしてきた。」 

女「わたしもよ。すごいどきどきするわw」

ゼロ「・・・・サラどこにいったんだ??」 


ゼロはサラがいなくなったことが気にかかっていて、冒険どころではなかった。

ゼロは紳士のもとへ駆け寄って、質問した。

ゼロ「なあ、サラって子知ってっか?さっきの豪邸の子供なんだけどさー。」

紳士「・・・・ああ、サラならもう飛行船に乗ってるよ。さ、君も早く乗りな。そこから夢への冒険が始まるんだ。」

ゼロ「ふーん・・・もう乗ってるのか。はえーな。」 


ゼロは、納得して飛行船に乗り込んだ。



―サントアンヌ号  メインブリッジー



メインブリッジはとても広く、そしてきらびやかであった。1つ奇妙な点といえば、窓がないことぐらいである。だが、そんなこと誰も気にしてはいなかった。

男「すげーな。この船で青海に行くのか。」 

大男「うーん、興奮しすぎて腹減ってきたぞ。」

紳士がメインブリッジに入ってきた。手には紙束をもっていた。

紳士「みなさん、今から我々は同じ旗の下青海を目指す同志です!みんなで力を合わせて、青海にゆきましょう!!」



一同「おーーー!!!」





紳士「ゴホンッ・・・えーでは、みなさん。同志の印に、この紙にサインをしてもらえますか?あまり深い意味はありません。一種の保険みたいなものです。もし、あなた方の命に何かあったときに、あなたたちのご家族に負担がかからぬよう手助けをします。そのための保険です。ですから、まったく怪しくはありません。さあ、サインしてください。」

男「おお、なんて気がきくんだ。これなら、安心して旅に出れる

な。」

みんなは、まったく疑わずサインし始めた。そして、ゼロもサインを終えた。  


ゼロ「しっかし、サラはどこだ??中にいると思ったんだけどな〜〜。」

紳士「うんうん・・・・全員サインし終えましたね。(ニヤリ)」

 紳士は不敵な笑みを浮かべた。

紳士「フッフッ・・・・・ハッハッハッハッハッ!!!」

一同「!!??」

紳士「ハッハッ・・・あまりにもうまく行き過ぎて、久々に大笑いしてしまったよ。いやー、しっかし、サラの言う通り青海なんてバカみたいな幻想に浸ってる奴らをだますのは、クソみたいに簡単だったよ!!」

一同「!!!!??」  

ゼロ「・・今なんて・・・サラの言う通り!??」


すると、サラが現れた。





ゼロ「!!!サラ!!」  


ゼロはサラの名を大声で叫んだ!


サラ「・・・・・・」 

サラはとても冷たい目で、ゼロを見つめた。


ゼロ「・・・・!! おい、サラ。どうしたんだよ!なにがどうなってるのか訳わかんねぇよ!説明してくれよ!!」

サラ「・・・まだわかんないの??だまされたのよ、あんたたち全 員。思った通り、あんたたちは青海のことしか頭にないバカだった のね。フッフッ・・・。単純すぎるのよ。あなたたち、さっき紙に サインしたでしょ?あれは、契約書なの。一生、私ニコ・サラが船 長をつとめるコールドストーン空賊団の駒として働きます、ってい う契約のね。まあ、いいじゃない。青海にはいけないけど、いずれ バベリアに到達して、やがては空賊王のクルーとして有名になれる のよ。ありがたく思いなさい。」

一同「・・・・・・」  みんな、唖然としている。

ゼロ「・・・・・・うそだろ・・・サラ・・・うう・・・・・じゃ

あ、今までの話はなんだったんだよ!!一緒に青海について語り

合ったじゃないかよ!!」

サラ「・・・・・・演技よ。青海なんて信じてるわけないでしょ。いつまでもくだらない幻想にすがってるあんたを見てると虫唾が走るのよ。私があんたに優しくしたのはね、あんたが単純な奴だってすぐわかったのと・・・・あんた『王の資質』があるからよ。」

ゼロ「『王の資質』??」

サラ「ま、あとで説明してあげる。とにかく、状況整理は終わった?今からあんたたちは私の奴隷になるってこと。さ、さっさとバベリア目指して、冒険にでかけましょ。あなたたち好きでしょ?冒険。」

一同「ふざけるなぁっっ!!誰が奴隷になるもんかっ!」 見事な

ハモリである。

一同の反発もむなしく、サントアンヌ号は出航し始めていた。

紳士「さあ、みなさん、早速ですが、銃の扱い方を覚えてもらいましょう。さすがに銃ぐらい使えないと困りますからねー。」

男「いやだよ。こんなやつの奴隷で一生を終えるなんて絶対に・・・」

女「うう・・・・・なんでこんなことになったのかしら・・・」

一同はただ絶望するばかりである。天国から地獄へとはまさにこの

ことである。

サラ「さっ、早く銃の使い方をおぼえなさ・・・」  

謎の声「おっと、こりゃ何のパーティーだい??」

突如、見知らぬ男が現れた。

サラ「だれっ!!?」

謎の男「ん??俺かい?俺は、孤高の空賊、ロンリーチャップリンだ。」

ドンッ!!