伝説のヤンキー
「しんぶんぶ〜 しんぶんぶぅはブー、ブー、ブー、新聞読んでグー、グー、グー、おケツ紙にもなりゃしない、みさえの記事は、そんなもの〜」
「きゃあー しんのすけっ!」
「マリーさん、新聞部に来ませんか。今週号は君の特集をくんで、特に力を入れてボクが書きます。まずはスリーサイズを教えてください」
「なーにやってんのおー 記事なんていっこも書いたことないクセに!カッコつけて」
ぐりぐりぐり!!! みさえはしんのすけの頭にグリコし続けた。
「ふふふ、面白い人ね。みさえさんのお友達?」
「ご、ごめんね、コイツうちの部員なの。ほら、あやまって、自己紹介して」
「はじめまして、野原しんのすけです。15歳です。好きな食べ物はチョコビをしっぶーいお茶で流し込むことです!趣味は死体ごっこで、特技は……」
「あああ、分かった、分かったから!」
みさえが遮る。
「え?みさえさんと同じ苗字?」
「ああ、従弟なの。1年のくせに3年の教室までくるようなヤツです」
「はい、不器用な男と呼ばれております」
「あの、」
マリーは言いづらそうに口を開いた。
「私、もう入るクラブ決めてるんだ。ごめんね」
「ええ!!!」
周囲が声をあげた。
「どこ、どこ!」
「えーっと、うーと……サッカー部」
一瞬、周りは静まった。
「サ、サッカー部かぁ〜」
「分かるぅ。サッカー部員はみんなカッコイイもんね。でもマネージャー候補はキャンセル待ちでも数十人はいるって聞くよ」
「あら、違うわよ」
マリーはくすくす笑い出した。
「マネージャーじゃないわ。サッカー部員になるのよ。ボールを蹴る選手のほうよ」
またまた周囲は黙り込んだ。
「ま、マリーさん。本気?」
「うちはいっぱいクラブあるほうだけど女子サッカー部はまだないのよ。つくるの?」
「ううん、だってサッカー部は、ちゃんとあるじゃない?」
にっこりと太陽のようにマリーは微笑んだ。
「まさか、男子にまじってサッカーするんじゃないでしょう?」
「ええ、そうよ」
「そんなの無理よ」「そうよ、あぶないわ」「誰も認めてくれないよ」「女子サッカーつくればいいじゃん」
口々に周りは、反対したり心配したり……
「みんな、ひどいじゃないか!?僕は誰が何と言おうと、マリーちゃんをおうえんする!マリーちゃん、僕と一緒にワールドカップに出よう!」
「本当、しんのすけくん!」
「マリーさん、コイツの言うことなんて信じちゃダメ!なんでアンタは3年のクラスに溶け込んでるのよ!」
そんなこんなで。
マリーはサッカー部に入部希望を出したが、キャプテン以下、部員全員の反対にあって受理されなかった。