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伝説のヤンキー

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「じゃあ、風間くん、君が犯人だっ!」
「僕は金田一耕介です」
「うーん、うーん、じゃあ、オラが犯人だ」

「いい加減にしなさーいっ!」
 しんのすけとトオルはみさえに頭をどつかれた。



「また事件よ!今度は『乙女会』がヤられたわ」
 マリーは息をきって部室に現れた。

「え?あの『乙女会』? 酢乙女あい(すおとめあい)が主催する、お嬢様限定・富も美貌も地位も手にいれるのよ、が合言葉のあの、乙女会?」

 信じられずにみさえが聞き返す。すかさず部員たちは取材の用意のために立ち上がった。

「ええ。なんでも『実質はレズビアン・クラブだ』とスクープが出たの。それに!新聞部も利用されたのよっ!」

「どういうこと!?」

「新聞部とまったく同じ形式の文章で出回ったのよっ!みさえの……いつもと同じレイアウトで書いてあるの。ほらっ!」
 くしゃくしゃになったB5の紙をマリーはみんなの前に差し出した。

―スクープ!!! 乙女会とは名ばかり! お嬢様たちの秘密の花園!―

 ふたば学園には”乙女会”と呼ばれるお嬢様クラブがある。ティー・セレモニーやテーブルマナーといったことを学ぶステータスクラブとなっているが、実質は会長の酢乙女あいのハレムである。

 気に入った女性たちを入部させ、最初は普通のクラブとして活動に参加させるが、時期をみて自宅に招くのである。

“お泊まり会”と称されるこの会で、会員たちは裸同然の格好で遊び、食べ、豪華なパーティに興ずる。もちろん、みだらな行為がメインで……



ビリッ

 怒りに燃えたみさえは思わずやぶいてしまった。

「ああ、せっかくいいトコだったのにぃ」

「きーーっ!!!! こんなっ、こんな!こんな記事がっ!(……ブルブル……)私が書いたように細工するなんざぁ、いい度胸じゃねーか 許せん!ぜーーったいに許せーん!」
 怒りにブルブル震え仁王立ちしているみさえに、ますみが静かに声をかけた。

「部長。これは我々、新聞部に対する挑戦です。もう絶対に犯人を捕まえなきゃ私の気がおさまりません」

「そうですよ。まずはこれは僕たちの記事じゃない、って記事を今から僕とますみで書きますから、部長としんのすけは乙女会を取材してきてください」
トオルはパソコンを広げた。

 頼りになる部員たちにみさえは泣きそうになった。

「うん。分かった。ありがとう」
と感動的な場面に入るハズだった‥‥が‥

「これはどういう事なのよー!!!!!」

 真っ赤な顔をした酢乙女あいがのり込んできた。

作品名:伝説のヤンキー 作家名:尾崎チホ