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いつか宇宙人とバスケ、テレフォン、インタビュー

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 なーんてこともあったもんで。いや懐かしい。高校生にもなって、おれはいまだにときたま、宇宙のことについて大真面目に考えてるよ。相変わりませず。
「もしもし」
「あんだよ」
「青峰っちに勝てるやつ、地球にまだいたんスね」
 青峰っちが黒子っち(と火神っちも、なんだけど)に負かされたって聞いて、おれはすぐ電話をかけた。おれはまだあの日とおんなじマンションに泊まったり泊まんなかったりしてて、おんなじようにベランダへ出た。
 おもては夜で、ぬるい夜風はあの日みたいにひゅうひゅう吹いてはいないけれど、街明かりは相変わらずきれいだった。おれからは見えても、おれのことは見えない青峰っち。宇宙の法則。
 変わったことといえば、青峰っちともう、前みたいには電話しなくなったこと。
「……喧嘩売ってんのか」
「べつにい」
 返ってきた声がそんなに不機嫌じゃなかったので、ちょっと拍子抜けた。おれは間延びした口調でそんだけ言って、負かしてもらえてよかったね、とひっそり思った。街明かりがちかちか夜空と溶け合ってる。あのへんに、はたして青峰っちはいるんだろうか。
 おれのべつにい、を、青峰っちは挑発と受け取ってくれたらしい。
「次は勝つっつの」
 口調こそがさつだったけれど、電話越しでざらついてたってわかるくらい、優しい、あたたかいトーンだった。まるで、なにひとつ変わってないみたいな。
 ご機嫌なんスね、と空をあおぐ。きらきら星、一等星、織姫と彦星、なんでもいいけど、いえーい青峰っち見てるっスかあ?おれのこと、ちゃんと見えてるっスかあ?
「宇宙は先送りっスねえ」
「はあ?」
「うん、いやこっちの話ー」
 青峰っちに勝てるやつが地球に見つかったんなら、まだ当分は地球を出ないんだろうなあ。複雑。だって、引きとめたのはおれじゃない。おれは小さくため息をついた。
 星なんか越えなくたって、青峰っちは黒子っちと火神っちと、地球できらきら1on2。おれはなにやってるかっていうと、地球で、青峰っちには負けちゃった上に、なんということでしょう、あの日とおんなじベランダで、ひとりで半泣きになってるよ。
「星がきれいっスよ。青峰っち」
 それが、おれの言えるぎりぎりだった。だって、そんな状態で、またおれとも1on1してくださいね、なんて。言えるわけないじゃんか、ねえ。