いつか宇宙人とバスケ、テレフォン、インタビュー
「お、れは、宇宙に行きたいっスねえ」
まずいなあ。思ったけれど、もう止められなかった。一気に記憶とか感情とかがあふれてフラッシュバックして、おれはもう優等生の模範解答を返せない。
これはまずい。イケメンモデルから本格派俳優になりつつある黄瀬涼太21歳は、そんなキャラじゃなかったはずなのに。というか、ロマンチストでおさまってくれるのかこれ、電波だとやばいんだけど。
けれど一方で、色とりどりの椅子は、すこし星みたいできれいだった。ここが、たぶんおれの宇宙の限界なのだ。
「星がさ、きらきら、してるの。あたり一面。そん中で、宇宙人と1on1して、そんで、かっこよーくダンクきめて、そんで……」
インタビュアーの人は労わるような目でおれを見てる。そりゃそうだ、こんな。イケメンモデルが、こんな、突然半泣きになって、宇宙でバスケする話はじめちゃうなんて。下調べにはないんだと思う。
おれだって今ならまだ間に合うんだから、やっぱなし!と言いたい。声を大にして。できるなら。できるなら――できるか!
「そんで、宇宙でも一緒にバスケできたら、嬉しいかな」
誰と、とは聞かれなかった。まぁ、これもうたぶん載らないし、いいよね。
作品名:いつか宇宙人とバスケ、テレフォン、インタビュー 作家名:まひる