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いつか宇宙人とバスケ、テレフォン、インタビュー

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 握った携帯がびりびり震えて目が覚めた。こんな夜中に誰だよ、おれは一瞬スルーしかけて、でも、仕事の電話かもしれないなあと思い返した。昼間のインタビュー。もしかして、黄瀬涼太、終わったとか?
 ねむたい親指に喝を入れて、なんとか通話ボタンを押す。
「あんだよ、寝てんのか」
 ふてくされたみたいな、ざらついた低い声。全身がぴしっと居直る。眠気とか、そんなんもう一瞬でどっか遠くへぶっ飛んだ。
「……あおみねっち?」
「おー」
 なに、こんな時間に。
 言おうとして、時計見て、まだ30分も経ってないってことに気付いた。
 そんで、なんかおかしい。なんかわかんないけど、違和感がある。なんだろう。へんな夢でも見てるみたいな、虫の知らせみたいな、妙な胸騒ぎ。寝ぼけてるんだろうか。
「黄瀬、おまえいま、家だよな」
「?うん」
 そりゃ寝てたっスからねえ。ていうか、青峰っち、そんなこと聞くために電話かけてきたの。って、さすがにそれはないよなあ。じゃあなんで。
 寝起きのあたまでぐるぐる考えようとして、けれどそれは背後で鳴った間の抜けた音に遮られた。ぴんぽん。備品時代のなごり、ちゃんとカメラがついてる、うちの高機能インターフォン。
「え、あ、ごめん、なんか誰か、」
「いや、そのままつないどけ」
「は?」
「いーから。つないどけよ」
「はあ……」
 会話が抜けそうで気づまりだし、だいたいこんな夜更けにくるとかどこのストーカーだよ、そう思ったらとらなくたっていいようなもんなんだけれど。
 おれはまだちょっと寝ぼけてて、働かないあたまでぼやぼや考えたまま、とりあえず、言われた通りカメラを見て――心臓、飛び散るかと思った。
「おっす」
 もしくは、隕石でも降ってきたかって、ねえ。
「……うそ」
「うそじゃねーよ、ばあか」
 インターフォンのカメラと、手にした携帯から、まったくおんなじざらついた音が響いている。おれ、カメラにむかって、ほとんど腰が抜けそうになった。
「え、や、本物、じゃないよね……?」
「本物だっつの」
「なっ、え、なんで、うち、きてんの……」
「関係ねーだろ」
「いや、ここおれんちだから……じゃ、なくて、おれ、あの、くるなら言ってくれないと」
「いーからあげろや」
 凄まれると、おれ、慌ててドア開けちゃう。どうにも本物っぽい青峰っちが、おれの横をずかずか通り抜けてさっさと部屋に入っていく。遠慮とは、とか。考えらんないくらい、おれはちょっと混乱してる。
 ぺたっと座り込みたいのをこらえて、なんとか壁にもたれかかった。廊下をずるずる歩きながら、青峰っちの後ろ姿を見る。何年も見てるから、さすがにわかるよ。まぎれもない本物。
「ていうか、まじ、なんできてんの……」
「理由とかいんのかよ」
「いや、普通にいるでしょ!だいたいおれ、青峰っち、どんだけひさしぶりだと……」
「あーうるせーうるせー、おまえが会いたいっつったんだろうがよ」
「はあ?」
 ことわっとくけど、おれには、テレパシーを発信する能力はない。
「う、うっそだ!おれ、そんなんひとことも、」
「おまえが電話かけてくるときなんて、いっつも同じじゃねえか」
「え、ちょっと待って、ほんとどういうこと……」
「あーあー、わかったわかった。じゃ、会いにきた。おら、こんならわかんだろ」
 なんか文句あんのか。ぎっとにらまれて、なんかおれ、悪くないのにごめんなさいって気持ちになる。
 いやでも、だって、この、おれがこんなに弱ってるタイミングで、ひとの一等プライベートなところに乗り込んでくるって、なにそれ奇跡?流れ星?
「もしかして、隕石とか降る?」
「はあ?つーか、人がせっかくきたのに寝こけてやがるとか、おまえまじなんなんだよ」
「いや、こっちのせりふだし……」
 ほんと、あなたがなんなんですか。星の王子様ですか。お湯を沸かしながら、「開けたまま寝てんじゃねーよ」開けっ放しの窓がするする閉められるのをおれは背中で聞いていた。しゃっとカーテンが引かれて、星はきらきら、もうみえない。