二人と結婚式
本当はたまらなくうれしかった。けれどもそれを口にする勇気は六太にはなかった。何よりも誰よりも幸せを願っている、それだけでは足りないのだと日々人は言うのだ。なんてことだと頭を抱えたくなる。六太は深く息を吐き出して首をかいた。さっきまでの強さが嘘のように表情までもがゆがんでどうしようもなく情けない顔をした日々人がいる。そんな顔をされたらもう六太にはお手上げだった。
「どこへも行かないで。」
反則だ、と六太は眼を覆う。強請るように祈るように呟く日々人を拒絶することなど六太には度台無理な話だった。言葉をなくした六太を有無を言わせず抱きしめて、日々人は泣きそうな顔のまま笑う。
そこでようやく日々人が手を放したから、仕方なく、六太は自由な腕をその背に回すことにした。