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キングダム・オンライン

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ここは第一層のとある町の広場である。
これから第一層ボス攻略会議が行われるので、多くのプレイヤーが集まっている。
そこには、アスナの姿も見かけた。


「みんなよく集まってくれた!僕はこの会議の主催者だ!僕の呼びかけに応えてくれてありがとう!僕の名前は《ディアベル》職業は気分的にナイトやってまーす。」

ディアベルの冗談に笑いが起こる。
この世界には職業制はないのでホントに気分だけしかないのだ。
青髪にがっちりとした鎧を装備しているいわゆるイケメンな感じの人が広場の中央で会議を始めた。
彼の話を聞くと、《迷宮区》いわゆる《ダンジョン》の奥にボスが存在する《ボス部屋》を見つけたらしい。


ボスの特徴は、大きな斧を装備していて取り巻きにニ体側に居るらしい。
取り巻きとはボス戦で出てくるモンスターだ。
しかし、決して弱いわけじゃない。


ボスの攻略に至っては、取り巻き二体を二つの小隊が引き受け残りの小隊でボスを相手にする。
ボスを倒す作戦では、盾を持っているガードの役割のプレイヤーが攻撃を受け止め、攻撃直後のインターバルを狙って攻撃する。


「ここまでの話を聞いて、何か意見や質問などあるかな?」


ここまでの話を聞いてソラも特別気になることはない。
むしろここまでの情報を提供してくれたアルゴに感謝している。
みんなが周りを見渡すと、


「意見ならあるで!」


すると関西弁話す男が突如広場の中央に現れた。


「わいの名前は《キバオウ》!この中にわいらに謝らなあかんやつがおるはずや!」


彼は一体何の事を言っているのか?
ソラは疑問に思っていたのだが、ディアベルは理解したらしく口を開ける。


「それは《βテスター》のことかな?」


「そうや!あいつらは、おいしい狩場やアイテム、強い武器なんかをぎょうさん独り占めにして、一人で強おうなってるんや!それで何人ものプレイヤーが死んでいったんや!ここで持っているレアアイテムと有り金貰わな腹の虫が収まらんわ!」


この世界ではこういう《βテスター》を目の敵にする風潮が広がっている。
しかし、実際はアルゴによってこの世界の情報はβテスターで得た情報を新聞や本にして無料で配布しているらしい。
実際はコルなんかはβテスター数人から貰って作ってるらしい。
この情報はホントにありがたいものだ。
だが、やはりネットゲーマー中には妬み深い人がいるのも事実である。


広場はキバオウの発言にざわつき始めた。
このまま続けば、βテスターを吊るしあげるなんてことになりかねない。


「ちょっと、待てよ!」


ソラはそんな中、いてもたってもいられず広場の中心に飛び出す。


「なんやお前?」


「俺の名前はソラ!情報だったら、アルゴが出してる新聞や本にたくさん載ってたじゃないか!十分すぎるぐらいに!それなのにどうしてそうやって目の敵にするんだよ!ただ、アイテムや金を奪い取ろうとしてるだけなんじゃないの〜?」


「なんやと?!もういっぺんゆうてみい!」


「何度だって言ってやるよ!」


ソラとキバオウのなんとも陳腐な言い争いがはじまり、広場はいっそうざわつきはじめる。
ふと、目に入ったアスナなんかはやれやれといった感じで首をふっていた。


パン!パン!

「はいはい!そこまで!」


手をたたいて二人の間に仲裁に入るディアベル。


「確かに、キバオウさんが文句を言ってしまう気持ちもわかる。俺も一応ゲーマーだからね。だが、このゲームをクリアするためにはβテスターの人たちの戦力は必要不可欠だ。みんな力を合わせずしてこのゲームのクリアはありえない!だから。キバオウさんもわかってほしい。」


ディアベルが言い終わると、キバオウは少しバツが悪くなったのか少し後ろに下がってしまう。



「なんや?わいだけが悪いみたいやないか?わかった、協力して戦ってやるわ!」


「ありがとう!君も、君の発言で救われた人もこの中でたくさんいると思う。勇気をだしてこの場に出てきてくれてありがとう。」


「そんなことないって!あんたの方がスゴいよ!これからのボス攻略、よろしくな!」


これで、作戦会議は終了した。
作戦実行は明日の朝9時から広場に集まってボス部屋までいくらしい。
ソラはクラインと合流しようと辺りを探していると、


「さっきは気持ちのいい発言だったぜ!」


とてもでかい色黒の男が話しかけてきた。


「はっ…はぁー…。」


ソラはいきなりのことで気の抜けた返事しかできずにいた。


「おっとこれは失礼。俺の名前は『エギル』。今度のボス攻略よろしくな、ソラ。」


「お、おう!よろしくな!」


お互い握手をして、ソラは再びクライン探すために歩き始めた。

作品名:キングダム・オンライン 作家名:スバル