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とりあえず片づけをする、ということで
その間にマシューは風呂に入るようにフランシスから指示をされる。
脱衣所まで半ば手を引かれる形で連れて行かれ
呆然とした状態のままびしょびしょに濡れてしまった服を脱ぎ捨て
脱衣籠に投げ入れた。
「ちょ……っ何やってるの!?」
「え……?」
悲鳴のようなフランシスの声にビックリして目を瞬かせる。
見れば、手で顔を覆うように包み、がっくりと項垂れているフランシスの姿。
状況が掴めずにきょとんとしているマシューに向かって
フランシスは搾り出すような声で呻いた。
「ねえ君……それ、誘ってるの……?」
そうじゃないんだったら性質悪すぎるだろ、とマシューに聞こえないように小さく毒づきながら
彼女から目線を外し、頭を抱える。

「はぁ……」
イマイチきょとんとした表情のまま首をかしげるマシューに、フランシスは更に頭をかかえることになる。
女としての自覚が無いのかと問い詰めたい衝動に駆られたけれども
これはこれで美味しい状況なのではないのか、と思い直す。
けれども、コイツはマシューなんだ。マシューは可愛い俺の弟であって
決して不純な気持ちで近づいて汚していい存在じゃないんだ。
これでも本当に天使のような幼少時代からずっと側にいた。
今更マシューに対してどうこうしようなんてしたら、過去に我慢した自分はどうなるのだと
自分自身を叱咤する。
というかどうしてこの子は下着をつけていないんだ……
アレか、アレなのか……!初めからお兄さんを誘うために……!?
そうと分かればここで狼になったとしても誰も咎める人なんていやしない。
勝手に自己完結していざ、と手を広げた所でくるりと振り返った蒼の双眸とかち合った。
気まずい沈黙がしばし流れる。
腕を広げたまま静止する男、それを見上げる金髪の美女(半裸)。
文章にして説明するとたったこれだけだがしかし
これだけでわかる、変態の図。

「…………」
「…………」

痛々しいまでの沈黙が続く。
広げた手は行き場を失い、ただただそのまま広げたままの状態で……
その先には、マシューの小さな身体があり、身を乗り出しているところからして
何をしようとしていたかは明白で。
罵りの言葉でも来るか、と身構えて恐る恐るマシューの方を見れば
呆気に取られたような顔で、魚のように口をパクパクさせる彼女の姿。
次第に耳元まで朱に染まっていく様を見て、
菊の家で見た茹蛸のようだ、と頭の片隅で思った。
作品名:覚えていますか 作家名:黒猫パンダ