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One Year Later 1

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「はぁー、セントラルからは遠いネ。うっかり寝過ごすところだったヨ。あ、大佐サンの部下はハジメマシテ」
「ハボックだ。今回はヨロシクな。うちの大佐がムリ言ったみたいで。」
「全くだヨ。普通、隣国の皇帝にこんなこと命令するカ?思わず、受けちゃったヨ。」
「ちょ、ちょっと待て、リン。お前なんでこんなトコいるんだ。ここ、アメストリスだぞ。」
「そうだよ、シンの皇帝になったんだよね。メイからも手紙が来てたし・・・え、もう皇帝辞めたの!?」
「ヤメないよ!」
「じゃ、クビになったのか?」
「なってナイっ。久しぶりにあったのに失礼だナ。」
「じゃぁ、何でこんなとこいるんだよ?」
「あー、話せば長くなるんだケド・・・・移動しながら話さないカ?」
確かに。俺たち以外誰も乗客が降りない駅で立ち話は目立ち過ぎる。シンの皇帝どうこうという話も周りに筒抜けだ。リンの言葉をきっかけに、ハボック少尉の車に移動した。

「まず、俺は今でもシンの皇帝だから。やめてないし、クビにもなってないから。念のため。」
「で、アメストリスにいる理由は?」
「お嫁さんを捜すためだヨ。」
「「「お嫁さんーー!?」」」
見事にリン以外の3人の声がハモった。ハボック少尉だけじゃなかったのか。彼女探し。
「今、思いっきりバカにしただろう、エド」
「・・・いや、まぁ、その、なんだ・・・なんで自分の国で探さないでわざわざアメストリスまで・・・砂漠を超えてまですることかよとは思ったけど・・・」
「わかってないナ。自分の国じゃ探せないんだヨ。」
「「「?」」」
「え~と、つまり、俺が皇帝になって1年経った。各部族もようやく俺を皇帝と認めて、シンは政治的に安定していル。・・・そしたら、また後継者問題になったんだヨ。」
「後継者って?お前、次の皇帝に譲るほど、まだそんな歳じゃないだろう。」
「エド、皇帝の子はなるべく早く産まれた方がいいんダ。もしものときに備えるためにも、次代の皇帝がしっかりした教育を受けて、国を守れるほど強く賢くなるためにも。」
「あぁ。そうか。」
「そう。それでまた前代の皇帝と同じ問題となったんだヨ。どの部族から嫁を差し出すかってね。50以上ある部族から一人ずつ嫁を出すって話になったんだけど、それじゃ前と変わらない。また俺が歳取って代替わりするときに、異母兄弟同士が部族をかけて争うことにナル。それは・・・正直、避けたい。兄弟同士で争うのも、幼い時から部族を背負うのも。」
リンはちょっと遠くを見た。糸目でどこ見てるかわからないけど、確か小さい頃から暗殺者にずっと狙われているって聞いたことがある。そんな過去を思い出しているのかもしれない。
「だけど、同じヤオ家からお嫁さんをもらうとなると、皇位をヤオ家が独占するってことになって、他の部族からの反発が厳しい。かといって、他の部族1つを選べば、選ばれなかった部族からの不満が出る。・・・安定していると言ってもとても危うい均衡なんだヨネ。それで八方塞がりになって・・・しょうがないから神頼みしてみたんダ。」
「神頼み?」
「そう、シンの皇帝には昔から仕える占者がいるんだヨ。俺が小さい頃から婆さんだった前皇帝に仕えていた占者が、まだ婆さんのままいるんダ。不老ではないケド、もしかしたら不死かもっていう占者が。この婆さんの占い、もの凄く当たるんで、皇宮から門外不出で前皇帝のときには半幽閉状態だったんだヨ。もちろん、今は違うケド。」
「はぁ、占いねぇ。」
「バカにするなよ。本当に干ばつの年とか大雪の年とか地震まで当てて、すごい影響力があるんダ。で、この占者に国の将来のことを占ってもらったんだヨ。そしたら、『西の国、皇帝の縁深き国に、玉座の隣に立つ者がおる』っていう占いが出た。もう、これしかないと思ったネ。アメストリスの者がお嫁さんなら部族同士の不満はないし、衝突も回避できる。占者は偉大だ。善は急げというわけで、早速、俺はお嫁さん探しにアメストリスに来たわけダ。」
「わかった。なんか皇帝っていろいろ大変なんだな。でも、アメストリスって言っても広いだろう。どこいるんだよ、そのお嫁さん。・・・少なくともこんな田舎にいるのか?」
「そこなんだよ、エド・・・なんでこんなトコロに俺が来たかというと、アノ大佐のせいなんだ。」
「大佐って、なんで皇帝のお前が大佐ごときの命令に従ってるんだ?」
「あー、それが・・・今回、国を長く留守にするわけでもないし、お嫁さん探しだし、ランファンにはシンにいてもらって、一大事があったら俺に連絡するようって言って、一人でアメストリスに来たんだ。皇帝が行くってなったら警護とか、親善会議とか大事になるだろう。そしたらお嫁さん探しする時間がない。だから皇帝じゃなくリン・ヤオとして・・・早い話が密入国して、人が集まっているセントラルに着いたんだケド・・・また行き倒れたんだな、コレが。そしたら美人のホークアイ中尉がたまたま通りかかって、食事を奢ってくれて、無表情で冷たい感じがする人だけど、温かい人だったんだな、もしかしてお嫁さん候補かもって思ってたら・・・」
直後、車が大きく揺れた。ハボック少尉が動揺したのだ。
「中尉を嫁さんにっ!?お前、なかなか大胆なことを考えるヤツだったんだな。」
「ダッテ、何事にも動じない、これは皇后になるにふさわしい素質じゃないカ」
「・・・うん、その点だけは有り余るほどの素質があるが・・・」
確かに動揺しない素質だけは誰も否定しないだろう。かと言って、それだけで皇后が務まるとは・・・はっきり言って、中尉にお嫁さんという言葉も結びつかないし、皇后、つまりブラッドレイ婦人みたいな立場に中尉が・・・有り得ない。
「で、食事を食べ終わった後に話をしてみようと思ったら、大佐が出てきてネ。久しぶりだな、って笑顔で挨拶交わして握手しようとした手に手錠をかけるんだヨ。密入国の疑いで逮捕するって。この間、命懸けで戦った戦友にヒドイじゃないかって抗議したら、ソレはソレ、コレはコレだって、全然話にならなくって、シンの皇帝ともあろう者が何しにアメストリスに来たんだって尋問までするんだヨ。だけどお嫁さん探しだって言っても信じてくれなくって、ホントに牢屋に入れられて・・・参ったヨ。」
「まぁ、大佐だからな。」
「そうだな、あの大佐だしな。」
「やるかもね、大佐だもん。」
「・・・すごくよくわかったよ。皇帝だろうが何だろうが、大佐サンはいつもこれくらいの無茶をするんだナ。」
黙って深く頷くハボック、エド、アルの3人分の肯定に、リンは深くため息をついた。
「俺としても早くお嫁さんを探さないといけないし、そんなに国を留守にもできない。牢屋に入れられている時間はないから、どうにかしようと思ってたら、大佐がまた嘘くさい笑顔で近づいてきてネ、『確か錬丹術は使えないが、気は読めたな、ちょっと頼まれてくれないか、牢からは釈放しよう』ってことで、今回の調査に俺も駆り出されることになったワケ、ね、長い話でショウ」
作品名:One Year Later 1 作家名:海人