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One Year Later 1

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「あぁ、質量保存の法則から外れている・・・もしこの土砂が錬成されたものだとしたらな。」
このトンネルだった場所に土砂で穴を塞ぐとしたら、この土砂はどこから出てきた?周りの穴からは少なくともえぐれた場所は見えない。・・・質量保存の法則から外れた錬成なんて・・・本物か偽物かはわからないが賢者の石が関わっているとしか思えない。
「少尉、さっき通った横穴は少尉が掘ったんだよな?」
「あぁ、調査しやすいように、俺がコツコツとだな」
「調査しやすいようにってことは、このトンネル、簡単に外に出られないのか?」
「あぁ、ま、ここで行き止まりになってるから、戻るしかないわけだけども、ここから、そうだな5キロくらい戻ったところの、ものすっごい急斜面の山に出口が一つあったくらいだ。」
「・・・そこに誰か侵入した形跡は?」
「なかった。蜘蛛の巣が張ってたから、しばらく人の出入りはなかったと思う。」
「そうか・・・」
全く錬成された跡が見えない土砂、リンが感じる龍気、少なくとも最寄りの出入り口から人の侵入した気配がないトンネル・・・
「上だな。」
「「上?」」
リンとハボック少尉の声が重なる。だが、アルは深く頷いた。
「僕もそう思う。これはトンネル内部からじゃなくって、トンネルの上の地上からの錬成なんじゃないかって。」
「だな、じゃ少尉、上を案内してくれ。・・・こんな暗い穴なんて長くいたくねぇよ。」

ハボック少尉が案内してくれたのは、山の中腹の開けた平原だった。草が風に揺れて・・・下のトンネルとはうってかわってのどかな野原だ。
「ここが、塞がってたトンネルの上だけんども・・・な、何もないだろう。」
確かに、窪んでもいなければ、下に土砂が流れ込んで崩れたような場所もない。やっぱり質量保存の法則から外れている。錬成したものじゃないのか・・・?見渡す限り単なる野原をそれでも険しい目で見る。アルも何かを探している。
「リン、どうだ?」
「ココの方が龍気を感じる。・・・トンネルの塞がっている箇所から、より強く感じるヨ」
「わかった。少尉、リン、なんでもいい。不自然な箇所を探せ。」
「不自然な箇所って・・・?」
俺の説明をアルが丁寧に補足する。
「例えば、円とか、あと・・・メイは確か剣を投げて地面に穴を開けて錬丹術を発動してたから、円のように連続して空いた穴とかを探してください。」
「「了解」」
しばらく4人で野原の地面ばかり見てウロウロする。錬成陣・・・見つかって欲しいような欲しくないような。これで見つかったなら、大佐の懸念は当たったことになる。しかも龍気を生じさせるなんて・・・並大抵な錬金術師じゃないってことだ。
何かわからないけども自然にトンネルが塞がっていた方が話は大事にならないんじゃ・・・
そんな消極的な考えで探していたら、やはりというかなんというか、見つけたくないものが見つかった。
「あったぞ。」
他の3人を呼ぶ。すぐに皆集まった。俺の足元には直径2メートルくらいの円形に倒れた草、そして8箇所、地面が見える穴・・・
「・・・錬成陣だね。」
「あぁ、・・・草が邪魔でどんな錬成陣かはわからないが、これでハッキリした。あの土砂は錬成されたものだ。」
「ヒュ~、大佐の予感、ビンゴだ」
軽く口笛を吹きながら言う少尉に、同意する。
「あぁ、全く当たって欲しくない予感ほど当たるもんだ。少尉、この場所以外のトンネルが壊れていた箇所ってわかるか?」
「え~っと・・・地図は・・・っと、ココとココだ。今いる場所を含めて3ケ所確認できている。」
「全部ココより北側なんだな、ってことは次はこのあたりか?」
「北から順番どおり壊していったんならココから南の・・そうだろうな。え~っと、隣駅のアークバリーらへんだな。」
「じゃ、少尉は大佐に報告しがてら、そっちに向かってくれ。錬成陣の上で、なるべく人目につかないところ、そこで誰かが錬成陣を壊している。現場を押さえることができたら言うことない。」
「だな。で、大将たちはどうするんだ?」
「俺たちは、ちょっとこの村で聞き込みをするよ。この錬成陣の様子だと、最近、少なくとも1週間も経っていないみたいだ。何か手がかりがあるかもしれない。」
倒れている草は枯れてもいない。誰かが最近、この錬成陣でトンネルを壊した。ここに来るには村を通るハズだ。

少尉の車で山を降りて村まで送ってもらう。そのまま少尉は隣駅へ、俺たちは聞き込みに残った。
「さてと、3人一緒に聞き込みしてもしゃぁないし、ここは別れてそれぞれ聞き込みするか。」
「だね、じゃ、僕はこっち・・駅周辺を聞いてみる。」
「じゃ俺は・・・」
「リンは牧場らへんを頼むな。」
「・・・ナゼ?」
「食堂入る気マンマンだったろ?食事するんじゃなくて情報集めてこい、お前。」
「・・・わかったヨ。」
「じゃ、俺はここいらを聞いて回る。そうだな・・・1時間後にあの食堂で待ち合わそう。情報を集めて、何も収穫なかったら俺たちも少尉のところに行こう。」
「「了解」」

俺は、多分アーカルの村で一番賑わっている場所に来た。小さい酒屋やら食堂やらあるにはあるが、通りには人がいない。ま、昼間に出歩いている人が少ないのはリゼンブールでも一緒だが・・・店の中に入って聞き込みするしかないか。
とりあえず待ち合わせ場所に指定した食堂兼宿屋になっている店にまず入ってみた。
昼の時間をとうに過ぎて、夕食にはまだ早い中途半端な時間だったから、客はいないかもしれない、だが店の人はいるだろうと予想して入ったが、店には客が一人だけいた。カウンターで結構な料理の皿を傍らにおいている。・・・スゴイ食欲だな、オイ。
お店の女将さんもその客と話していて、入ってきた俺には気付かないみたいだ。
「ナギ、ようやく起きてきたと思ったら。相変わらず凄い食欲だねぇ。」
「女将さんの料理が美味しいからだよ。やー、食べた食べた。これ食べないと次の村に行けないからね。」
「おや、もう行くのかい。」
「うん、昨日で大分薬草取れたし。お客さんも待っているしね。」
「そうだねぇ、ナギの薬はよく効くから。」
「ありがとう、あ、これ頼まれていた分。」
「助かるよ、この薬のおかげで冬がとても楽になって・・・」
「あんまりムリしないでね・・・って?」
背を向けていたハズのお客の方が俺に気づいた。ナギって呼ばれていた客は、短い黒髪だったが顔はよくわからない。前髪が片目を覆う感じで、ほとんど顔が見えないからだ。ただかろうじて見える片目は栗色で、淡い色のせいか鋭い印象を受けた。
「お客さんだよ、女将さん。」
「あら、ホントだ。ゴメンなさい。気づかなくて・・・」
「誰が気付かないほど豆粒どチビかぁーーー!!」
ついうっかりいつもの調子で叫んでしまった。・・・しまった、今はフォローしてくれるアルはいないし、俺はこの店に聞き込みにきたんだっけ。
明らかに不審者を見る顔つきの二人に、ゴホンと咳をしてごまかす。
「あー、そうじゃなくって、悪い、ちょっと聞きたいことあるんだ。」
「背の高くなる薬はあいにく持ってないよ。」
「誰もそんなこと言ってねぇ!!」
「あれ、欲しくないの?」
作品名:One Year Later 1 作家名:海人