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One Year Later 1

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・・・背が高くなる薬・・・欲しくないわけはない。それさえあればアルに抜かれずにすむし、大佐より背が高くなるかも・・・握りこぶしを震わせて真剣に考え込む俺に・・・クスクスと笑い声が聞こえた。
「ゴメン、ゴメン、あまりに真剣に悩んでるから。だから背が高くなる薬はないんだ、悪いね。」
「なんだい、ナギのお客さんかい、変わった子だね。」
「いや、私も初対面だけど。・・・で、聞きたいコトって何?薬のことなら結構知ってるけど。」
「そんなこと聞きたいんじゃねぇっ・・・と、こっちこそ悪い。いきなり叫んで。俺はエドワード・エルリック、ちょっとあっちの山のことで聞きたいことがあるんだ。」
「私はナギ、薬師だよ。で、あっちの山って・・・牧場の奥にある山のことかい?」
「そう、そこ。・・・そこで・・・何か変わったことなかったか?」
「「はぁ?」」
ナギも女将さんも首を傾げる。あ~、どう聞けばいいかそういえば考えてなかった。あの山で誰かが地下にあるトンネルを壊しているんですが知りませんかって聞けるわけねぇし、錬金術師が何かしたのを見たことありませんかと聞くわけにも・・・う~ん。
「え~と、だから・・・ドーンとした音がしたとか、ピカっと光ったりしたとか。」
「私は気づかなかったけど、ナギは知らないかい?あそこで薬草取ってたんだろう?」
「私も知らない。いたっていつもの山だったし、天気も良くって目的の薬草も見つかったし。特に変わったこともなかったよ。」
「そうか・・・じゃぁさ、怪しいヤツ見なかったか?」
「「怪しいヤツ?」」
「そう、怪しいヤツ」
「例えばどんな?男、女?いくつ位なんだ?」
ナギが最もなことを聞いてきたが、そんなの俺が知りたい。
「・・・ワラカナイ。」
「で。なんでソイツを探してるんだ?ソイツが何か悪さをしたのか?」
「・・・いろいろ。」
言えない情報しかない中、聞き込みは意外と大変だ。
「いろいろねぇ・・・本当に聞く気があるのか?」
「あるんだっ!あ~、っとだから詳しくは言えねぇケド・・・そうだっ、ヨソ者、最近旅人とか、とにかく見慣れない怪しいヤツ見なかったか?」
女将さんもナギも顔を合わせる。・・・いないのか。
「見たけど。」
ナギが意外なことを言ってきた。やった。
「えっ、本当に!?どんなヤツだった?」
「あ~、だから、お前。」
「はっ?」
「最近見たヨソ者、お前しかいない。」
そう言ってナギは俺を指差した。
「あのなぁっ、俺以外、怪しいヨソ者見・な・かっ・た・かっ!!」
「う~ん、いないなぁ」
「そうだねぇ、最近常連さんとナギ位だよね、お客さんは。って、やっぱりヨソ者って言ったらアンタしかいないよ。坊や。」
「・・・子供扱いすんじゃねぇよ。・・・?ナギは常連じゃないのか?」
「私は一時期だけの期間限定の常連だな。旅して回っているから。」
「旅を?」
「うん、薬草を取りながら、お客さんのところを回っているんだ。そうだな、それでいくと私もヨソ者かな。」
「ナギはヨソ者なんかじゃないよ。もうこの村に来るのも4回目かね、今じゃナギの薬が欠かせなくって。来るのを待っている村人もたくさんいるよ。」
「ありがとう、女将さん。」
「そうか・・・そういえば薬草とってるって言ってたな。あの山で、誰か出会わなかったか?」
「だから、誰にだよ。男も女もわからないんじゃ、答えようがないだろう?」
「あ~、っと・・・例えば錬金術師とか。」
「錬金術師?」
「そう、錬金術師。」
「って、どんな格好してるんだ?」
「えっ!?」
「だから、なんか制服でもあるのか?軍服みたいな。」
「・・・ないと思う。」
「一目見て、錬金術師だってわかる特徴は?」
「・・・ない、国家錬金術師なら銀時計を持っているけど・・・一般の錬金術師に特に共通する特徴はないな。」
「で、何だって?」
「・・・悪かったよ、答えられないこと聞いて。」
「エドワードだっけ?素直なのはいいことだが、もうちょっと情報を整理してから人に尋ねた方がいい。それじゃ、誰も何も答えられないよ。
女将さん、この子にジュース。私のオゴリで。」
「子供扱いすんなっ!!」
「まぁまぁ、ちょっと一息入れて、落ち着いてから行動した方がいい。人の好意は素直に受けるものだよ。特に旅の間はね。」
悔しいが正論だ。反論出来ない。女将さんも笑いながら俺にジュースを出してくれた。
複雑な気分でそれを飲む。確かに頭に血が上ってたら人から話を聞くことは出来ない。
今回、ナギはよく答えてくれた方だ。なにせ、最初っから叫んで不審がられたし。
「じゃ、女将さん、また来年。」
「あいよ、必ず来ておくれよ。困るからね」
「わかってるって。ありがとう。」
そう言って、ナギは席を立った。意外と背が高い。薬師だと言っていたが山で薬草を取るからだろうか、鍛えられた体をしていた。年齢は多分ハボック少尉と大佐の間くらいか。くっそ、大人の貫禄というか、背が高いところとか、なんかムカツク。

カウンターで振り返りつつナギを見送る。
ドアを開けるナギ。
そのとき、それは起こった。

「あぶないっ!!」

その声は、とても聞き覚えのある声で。

バチバチっ

突然、目に入った光は、錬成で起こる光

馬のいななく声と、馬車の車輪が軋む音、いろんな音が外からして、そしてドアを開けて外に出ようとしたナギがゆっくりと倒れていった。

慌ててカウンターから立って、店を出る。
店の入口ではナギが倒れていて、そして店の前には不自然な、というか手の形に盛り上がった壁があった。その奥に興奮気味の馬がいて、つながった馬車から大量の荷物が落ちていた。ちょうど手の形に錬成した壁で馬が止まった形だ。
それよりもさっきの声は・・・

「アルっ!!」

店から少し離れたところで、アルが倒れていた。さっきの錬成はアルがやったものだろう。手の形の壁とか、得意だし。それにしてもなんで気を失って倒れているんだっ!?。
倒れているナギやらうるさい馬は完全無視して、アルに近寄る。

「おいっ、アルっ!!アルってば、目ぇ覚ませよ、アルっ!!」
軽く頬を叩いても、全く目を覚まさない。肩を掴んで無理やり起こす。
「アル、アルフォンスっ!!」

「あるある、うるさいっ!!全く、何があるって・・・」
ブツブツ言いながら、アルが顔をしかめつつ、目をやっと開けた。
「うるさいって、お前なぁ!!心配したのにそんな言い方・・・」
「・・・・」
「アル?」
「・・・ウソだろ、おい。あそこに倒れているのって・・・じゃ、この体・・・」
「どうした、アル?」

「ナユ家のっ!!」

そこにリンの大きな声が重なった。

「うわっ。糸目・・・」
「リン?」
アルが何か呟いたが、リンのただならぬ様子に追求することは出来なかった。リンは、倒れているナギの方に猛然と突っ込んでいく。

「なんでっ、あんたっ生きてたのかっ!!」
「おい、リン、ちょっとそんなに詰め寄ったら死ぬぞ、もうちょっと緩めろ、腕。」
慌ててリンを抑える。まだ気を失っている人の首を絞めこむのはマズイだろう。
「このくらいでコイツが死ぬもんかっ!!離せ、エド。俺はコイツに聞きたいことが山ほどあ・・・」
「う~ん・・・あれ、兄さん?」
作品名:One Year Later 1 作家名:海人