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One Year Later 2

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ちょうど倒れていた大佐も身じろぎして、体を起こして・・・一瞬驚いた顔でこっちを見た。そしておもむろに体を見回して一言

「今度は大佐になっちゃったみたいだ・・・兄さん。」

大佐じゃ絶対有り得ないセリフを言ってきた。
思わず全身に鳥肌が立つ。悪寒が背筋を爆走する。ま、まさか大佐の顔と声で「兄さん」なんて言われることになるとは・・・・夢だ。悪夢だ。現実じゃないっ!!
激しい違和感に、現実拒否を実行する。

「鋼の。固まってないで、状況を説明してくれないか。」
「・・・・・・・その顔と声で『鋼の』言うな。大体、なんで俺に聞くんだよっ!?」
「こういう騒動の原因は大抵、鋼のに決まっている。」
「酷すぎないか、お前っ!?」

うぅ、中身がアルじゃないってわかっていても、エラく傷つく。純粋な俺の弟を返せっ
なんでアルがこんなこと言うんだ。

「大佐・・・あの、兄さんが原因じゃありません。」
「・・・自分の体と会話するのは、不思議な感じがするものだな。」

「・・・・・・・」
もう、本当に現実拒否したい。どうなってんだ、コレ。なんで丁寧で低姿勢な大佐がいて、アルが皮肉げなんだよ。見たくないよ、このツーショット。

そんな現実を打ち破ったのはリンだ。
「どこに行くんだ、ナユ家の?」

いつの間にかすぐ近くでリンがナギの首根っこを捕まえている。ナギは、まさに車に乗り込もうとしていた。
「久しいな、糸目。」
「糸目って言うナッ!!やっっぱりお前、ナーグ・ナユ!!今までどこに行っていたっ!?お前が戻らないからナユ家は・・・ナユ一族は滅んだんだぞ!!」
「・・・そうか。・・・じゃぁ、私はこの車返さないといけないから。」
「ナーグっ!!」
「私はナギだ。間違えるな。ナーグ・ナユなんてどこにもいない。」
そう言って、本当に車に乗り込もうとする。
「ちょ、ちょっと待てっ!!お前、この状況でどこ行くんだよ。」
「だから、車を返しに。」
「アルと大佐はどうなってるんだっ!?」
「・・・私は元に戻ったしな。」
「酷くないか?酷すぎるだろうっ!!自分だけ戻ればいいのか!?アルはどうなる、なんとかしてくれっ!!」
「そこの大佐の自業自得だ。あのとき、私は制止したハズだ。それを錬成陣に錬成反応をぶつけてどうする。発動中の錬成陣には手を出さないこと。錬金術の基本中の基本だ。・・・アルには気の毒だが、まぁ、そのまま頑張れ。」
「頑張れるかーーーっ!!元に戻せ、お願いだから。」
「ムリ、あの術疲れるし、ここの龍気は使い果たしたし。」
「ムリ言うなっ!諦めるなっ!頼む、こんなのをそのまま残すなっ!!」
必死にナギを引き止める。元に戻せる方法を知っているのはナギだけだ。事実、ナギは戻っているし。
「兄さん、落ち着いて。」
「その顔と声で兄さん言うな、もっと、こう、大佐らしくしろっ!!頼むから。」
思わずナギから手を離す。力が全身から抜けて悪寒が・・・うぅ。
「大佐らしくって・・・どうするのさ?」
「だから・・・こう、無駄に威張って人を見下してだなぁ」
「鋼の・・・キミは私をなんだと・・・」
「だから、その顔と声で、『鋼の』なんて言うなぁっ!!『兄さん』って呼べ!」
「言えるかっ!!」
「あー、車返してきていいか?」
「ダメだっ。お前も、もうちょっと緊張感持てよ!?」
うぅ、なんだこの疲労感。精神的ダメージがハンパないぞ。おまけに皆自分のことばっか。誰か助けてくれ・・・誰か・・・そうだ、ホークアイ中尉がいたじゃないか。この精神的にダメージを与える二人組(ゴメン、アル)は、中尉に任そう。

車の方に目を向けると、中尉は目を覚ましていた・・・そして、固まっていた。
・・・すげぇ、何事にも動じない中尉でもやっぱ固まるんだな。
いや、感心している場合じゃなかった。
「中尉、お願いだから、その車で大佐とアルを乗せてひとまず・・・」
「できないわ。」
「はっ!?」
「ごめんなさい、エドワードくん。さっきからあの大佐を見ていると・・・」
・・・なんだ?
「大佐じゃないって思うの。」
うん、俺もそう思うよ。だって、中身はアルだから。
「エンヴィが化けてたときがあったでしょう?だから大佐じゃない大佐を見ると、・・・思わず撃ちたくなるのよね。」
うわー、銃構えた。ちょっと、その銃口、大佐(中身はアル)にピッタリ合ってるんですけど。
「わーーっ、タンマっ!!あれ、中身アルだから。体は大佐だからっ!!」
「ゴメンなさい。なんだかわからないけど、ゴメンなさい。だから銃は下ろしてください。」
「中尉っ!!落ち着き給え、当たったら私の体がケガをするっ!!」
「だから、お前ら少し黙ってろよっ!!周りに及ぼす影響を考えろっ!!性格が反対すぎるんだよっ!!」
大佐の体でペコペコ謝るアルに、命令口調のアルな大佐・・・もう、本当に・・・ホムンクルスと戦ってた方がマジでマシだ。
中尉が引き金に指をかける。その気持ち凄くわかるけど、ちょっと待てっ!!
「リンっ、中尉を止めろっ!!」
「ダメ、手が離せない。ナギが逃げル。」
「逃げるな、ナギ!!」
「あー、だって私には関係な」
「大佐はともかく、アルを見捨てるなっ!!女将さんや村の人にあることないこと吹き込むぞっ!!」
「どんな脅し文句だよ・・・う~ん・・・ま、命の恩人の息子だから、とりあえず考えとく。」
「考えるな、助けろ。マジで。」
「だって、この車、借り物なんだよ。」
「その車なら今日は使う予定はないので、急いで返さなくていいそうだ。宿の女将さんから伝言だ。」
冷静な口調でアル(中身は大佐)が言う。
「そうなの?・・・じゃ、もう少し、付き合うよ。」
ナギがやっと車から降りた。はぁ、まったく。
「リン・・・中尉頼む。」
「わかっタ。」
俺たちが乗ってきた車にリンが向かう。相変わらずピッタリと大佐(中身はアル)に向けられている銃身を手をかけておろしてくれる。これでやっと一息つける。
「ありがとう、兄さん、リンさん。」
「・・・アル、お願いだから、その声と体で、兄さん言うな。」
「わかった。」
「・・・大佐も、『鋼の』って言うな。兄さん言わなくていいから。せめて名前で呼べ。」
「了解した。」

「・・・まったく・・・なんでこんなことになるんだよぉーーーっ」

朝日が高くのぼって、のどかな野原で・・・俺は力いっぱい叫んだ。
誰かのせいにしてしまいたい気分でいっぱいだ、チクショーーっ


とりあえず、ナギがどうしても車を返すというので、アーカルの村に戻った。
あと、思わず大佐を撃ってしまいそうなホークアイ中尉とは駅で別れて、大佐が不在のため、仕事が溜まっているであろうセントラルに帰ってもらった。
代わりに隣駅のアークバレーにいるハボック少尉を呼び戻してもらう。
ナギはリンが捕まえてくれるからいいとして、俺一人でこんな精神的爆弾を2つも抱えられない。
なるべく大佐とアルを見ないようにして少尉を待つ。早く来てくれないかな、少尉。
その間、事情を聞かなきゃいけない相手から詳しく事情を聞くとするか。

「ナギ・・・お前だったんだな、国土錬成陣を壊してたの。何で言わなかった?」
作品名:One Year Later 2 作家名:海人