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One Year Later 2

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「僕です。説明されましたけど、そのとき、に・・エドたちいなかったから・・・」
「そうだっけ?ま、というわけだから、もうちょっと休ませて・・・」
「夜明けまで・・・まだ大分あるじゃないか。」
「我慢しろ。・・・というわけで、もう少し休む・・・」

「そろそろ、事情を詳しく聞かせてくれないカ?」
「糸目・・・しつこいな。」
「糸目言うなっ!!しつこくもないっ。これでも言い出すまで待ってた方だゾ」
「そういえば、しばらく静かだったな。」
「アルと大佐の事情を優先してたからな。だが、今なら時間がある。どうしてアメストリスにいるのか、なぜ行方をくらました?そのせいでナユ一族は滅んだんだぞ!?」
「・・・聞くが、滅んだのはナユ家だけか?他の部族は?」
「?滅んだのはナユ一族だけだ。」
「そうか・・・じゃぁ、それが最良の結果だ。」
薄く笑って答えたナギにリンがブチ切れた。ナギに掴みかかって思いっきり殴り飛ばした。吹っ飛んだナギに追いついて問い詰める。
「どういうことだ!?自分の一族が滅んで、それが最良!?昔っから何考えているかわからないヤツだったが、本気でワカラナイ。なぜ、平気でいられるっ!?」
ナギはリンの攻撃に無抵抗だった。冷めた目でリンを見ている。
「別に、糸目に説明する義理は・・・」
そこまで言いかけて、言葉を呑む。
なぜなら、大佐姿のアルが思いっきりリンを殴り飛ばしたからだ。

「おい、アル・・・」
「リンのばかっ!!」
「口出しするな、アルっ、これはシンの・・・」
「平気な顔をしている人が、本当に平気なわけじゃないっ!!
そんなこともわからないで、何が皇帝だっ!!自分の家族が殺されて、平気な人なんていないよっ!!ナギさんだって・・・・ナギさんだって・・・・」

父さんとナギさんが似ている理由がわかった。
二人とも故郷がないんだ。そして故郷にいる大切な人を亡くしてしまった・・・自分のせいで。・・・だから二人ともあんなに寂しそうに笑うんだ。

「アル・・・なんで、アルが泣くんだ?」
「ナギさんが泣かないからでしょう。」

ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、アルがナギを見ている。

なんだか、どこかで聞いた会話をして・・・そうか、俺が、家を燃やしたときと同じだ。
あのとき、ウインリィも泣いていた。そして、俺らが泣かないからって言ってたっけ。
――あの時、俺は平気な顔をしていた。少なくとも自分ではそういう顔をしたつもりだ。
平気な顔をしている人が、本当に平気なわけじゃない・・・アルの言葉が自分の身にもふりかかる。
確かに、平気じゃなかった。銀時計にその日を刻むほどに。
もしかしたら、アルも泣いていたのかもしれない。あのときは鎧だったから涙は出なかったけど。俺がしたことは大事な人を泣かせてまでする必要があったことだろうか。
「逃げたな、エドワード」・・・ホーエンハイムの声が蘇る。
――そんなつもりじゃなかった。
だけど、本当に少しも考えなかったかと言われると自信がない。
あの地下室には二度と立ち入りたくない気持ちがどこかにあった。
俺の勝手で家を焼いて・・・泣いたのかな、ウインリィもアルも。

困ったように笑って、ナギが大佐姿のアルの頭をポンポンと叩く。
まるで子供の頭を撫でるみたいに。
「まぁ、その、・・・ありがとう。だが、あんまり泣くと周りが固まったまま動かないぞ。」

「ゴ、ゴメンなさい。」

素直だ。ぼろぼろ溢れる涙を腕で慌てて擦っている姿は、その仕草も何もかもが幼くて・・・大佐の体でしないで欲しい。
さすがに大佐が大泣きする姿は想像出来なかったのか、ハボック少尉ですら固まっている。

吹き飛ばされたリンが、複雑な表情で、・・・でも今度は殴りかかったりせずに、冷静にナギにもう一度聞いてきた。
「・・・なんで最良なんだ?」

ナギは一瞬困ったような顔をして・・・深く息を吐くと、ちょっと長くなるぞと前置きして、説明してくれた。
「皇帝・・・前皇帝は、不老不死に興味があった。ちょうどそのとき、魂の離れた私の体を皇帝が見たんだ。息もしていない、明らかに死んだ体が、魂が戻った途端に、動き出す。ナユ族は不老不死のことを知っているのではないかと疑われた。
事実、不老不死ではないが、それに似た禁忌をナユ族は知っていたんだ。
人の命を糧に、錬丹術を極める方法を。それで人を活性化する錬丹術を行えば、確かに不老不死に近い状態ができるだろう。だが、糧が人の命、それも複数の命なだけに一族の長以外にはその術は知られていなかった。
長は・・・私の祖父は知らないと答えたんだが、皇帝は諦めなかった。
私が行方をくらましていなかったら、人質としていただろう。
長も私が人質に取られたら禁忌を皇帝に話すかもしれない。そうすれば多くのシンの民が犠牲になる。それこそ、この国で起こったことがシンでも起こる。複数の部族が、皇帝の野心のために簡単に消える。
かといって、皇帝を亡きものにすれば、シンはあっという間に内乱になる。
同じように複数の部族が、それに相当する民が戦争で亡くなる。
一番いいのは、皇帝を説得して不老不死を諦めさせることだが・・・既に妄執にとりつかれてて全く話を聞いては下さらなかった。・・・私を化物と呼び、死して復活する秘密を教えろと・・・説得どころか、危うく実験動物になるところだったよ。
・・・だが、ナユ族が滅びれば、一族だけの犠牲で済む。事実、一族だけの犠牲で済んだ。・・・私は命を賭して禁忌を守った一族を誇りに思うよ。だから最良の結果だと言っているんだ。」

「・・・そうカ・・・・済まなかった。先ほどの非礼は詫びる。」
「いや・・・ちょうど殴られたかったから、詫びる必要はないよ。」

頭をガリガリと掻いて、ナギはそっぽを向く。
俺も人のことは言えないが、ナギも相当、素直じゃない。

「ところでエラく簡単に吹き飛ばされたな。ランファンやフー爺さんはどうした?いつもなら、二人とも駆けつけて、アルの・・・今は大佐のか、体を切り刻んでそうだが?」
「ランファンはシンにいる。いざというときの伝令に留守を任せてきた。・・・フーは死んだ。」
「そうか・・・惜しい者ほど先に逝く。」
「まったくダ・・・」

なんだかしんみりしてしまった。

こんなときにどうかと思うが、俺の質問にはまだ答えが返ってきていない。
「で、ついでに教えてくれ、ナギ。どうして、アルと魂が入れ替わったときに姿を消したんだ?俺とリンを眠らせて、なぜアルだけ連れて行った?」
「簡単だよ、糸目に見つかると、いろいろ面倒な質問があるかと思ってね。できれば会うことは避けたかったんだ。・・・まぁ、もう全部答えたんだけど。
あと、眠らせてアルだけ連れてったのは結果論だな。
ああいうとき、糸目は卑しいから絶対に料理にがっつくと踏んでいた。糸目だけ食べたら糸目だけ寝るし、エドワードも食べたら、糸目とエドワードが寝る。
アルは、私の体がさっき食べたばかりだから、料理に手をつけない、つまり絶対に眠らないってわかってたしな。」

なるほど。・・・さっきの説明といい、ナギはいろんなことの先を見る。
大佐っぽい一面もあるな。
作品名:One Year Later 2 作家名:海人