魔導騎士ショウ
「いい心構えだ…」
ロード・カリスも構えた。
「くそ…」
僕はもがき続けた。
何度も何度も、体内にあるリンカーコアを意識し、バウンドを外そうとしたが無理だった。
「お兄ちゃん」
妹の友恵が声を掛けてくる。
「友恵、カリスを止めるんだ!これじゃあ…なのはが!」
「お兄ちゃんがデバイスを渡せばいいんだよ…そしたら誰も傷つかなくて済む…」
この瞬間、妹友恵の表情が悲しそうになる。
「友恵…」
「シュート!」
僕らの会話とはよそに、なのはがピンク色の魔力弾をカリスに打ち込む
「ふん!」
気合いで魔力弾をはじく。
「っ!」
その光景になのはは驚いた。
「今度はこっちの番だ!」
と勢いよく、なのはに突撃し、殴り飛ばした。
「きゃあ!」
と悲鳴をあげ、飛ばされる。
「なのは!」
僕はとっさに彼女の名前を呼んだ。
『マスター』
ウイングスターが僕に語りかける。
『私を彼らに渡して下さい』
「な、何を!」
『そうすれば、彼女もあなたも助かります』
「でも、そうすれば君が!」
『私は、マスターを守るためにいるのです』
「ウイングスター…」
すると、ウイングスターは勝手に機動し、僕の身体から離れた。
「ご主人想いのいいデバイスね」
友恵がウイングスターの行動に関心ともとれる言葉を発する。
「ダメだよ…あきらめちゃ…」
なのはが空中より現れる。
「レイジングハート…」
『all right』
なのはの足下に大きな魔法陣が展開される。
「!」
カリスを含め、僕らは唾を飲む
「全力…全開…」
「カリス!」
友恵が叫ぶとカリスが防御体制をとる。
「スターライトブレーカーァァァァァ!」
膨大な収束砲が放たれた。
カリスの防御壁と激しくぶつかり合う。
なのはの表情が苦しそうだ。
おかしい…いつものなのはなら、防御ごと突き破るのに…
僕はまさかと、さっきのユーノ先生の言葉を思い出す。
ゆりかご事件でなのはは…
突然なのはのスターライトブレーカーに威力がなくなり、カリスの防御を破る前に消滅した。
「なのは!」
そのまま崩れ去るように地面に落ちた。
その瞬間ドクンっと胸奥に熱いものを感じた。
ユーノの研究室
「そ、そんなぁ!」
ユーノは立ち上がり、大声をあげた。
「ユーノ先生どちらに?」
助手が彼に問いかけた。
「六課に行ってきます。後は頼みます。」
そういい研究室を跡にする。
「頼む、間に合ってくれ…ウイングスターは…ロスト…ロギアだ…」
機動六課
「なのはちゃんとの連絡が途切れたのは数分前や、ロード・カリスと交戦中の可能性は否定できひん。フェイトちゃん!」
はやては状況を説明し、フェイトに指揮を委ねた。
「うん、というわけでフォワードのみんなは私と一緒になのはたちの救援に向かうから。」
「はい!」
と勢いよく返事をし、ヘリポートに向かい出撃した。
ミッドチルダ都市外れ
ドクンっと何回も胸に響く。
「さぁ、早くデバイスを渡しなさい。」
妹が僕に近づいてきた。
「なのは…を守るって言ったのに…僕は…僕はぁぁぁぁ!」
僕の叫び声とともに僕の身体から膨大な魔力を放出させる。
「な、何ぃ?」
カリスは驚きを隠せないようだ。
『awake mode』
ウイングスターの声とともにバウンドを外し、バリアジャケットを纏う。
「な、何て魔力…」
友恵は僕に対して恐怖の表情を見せる。
しかし今の僕は頭の中が空になっていた。
「うぉぉぉぉ!」
かなりの勢いでカリスとぶっ飛ばした。
「くっ!」
飛ばされたのに対して、カリスは体勢を整える。
「ロード・カリスゥゥゥゥゥゥ!」
相手が立ち直す前に再び蹴りを入れる。
「ぐはっ!」
再び勢いよく飛ばされる。
「何なのよ!」
友恵は砲撃体勢に入る。
「邪魔…するな!」
『ディバインバスター』
直ぐに友恵にデバイスを向けていつもの倍以上の直射砲を友恵に対して打つ。
「きゃぁぁぁ!」
友恵は数十メートル吹き飛び、倒れ込んだ。
身体が意外と軽く、能力全体が上がっていたようだった。
カリスが友恵に駆け寄り僕の方を睨む
「友恵様!貴様…っ!」
カリスがよそ見をしてた間に自然の魔力の力を集める。
カリスはそれに対してヤバいと思ったのか体制を切り替えた。
「サイクロン…ブラスターァァァァァ!」
大きな嵐ともいえる渦がカリスと友恵に向かい放った。
「ぐわぁぁぁ!」
周りの木々などが飛ばされ、地形が変形する。
もちろんのこと二人にも直撃したのであった。
災害が起こったように、周りの景色が変わった。
「く…」
「カリス、大丈夫?」
ボロボロのカリスを連れて友恵は別の場所へワープした。
その際友恵の目が、どこか、悲しそうな目をしていたが僕はきづかなかった。
「はぁ…はぁ…」
魔力をほとんど使い果たした僕は我にかえった。
意識朦朧とした中で
辺りを見渡した。
「僕が…やったのか…」
遠くの方から警備機関のサイレンが聞こえる。そしてそのまま倒れ込むのであった。
???
「く…」
カリスが友恵とともに倒れ込む。
「カリス様、友恵様」
騎士集団が二人に駆け寄った。
「私は大丈夫…カリスを」
カリスは騎士たちに背負われカプセルに入れられ治療を開始する。
「カリス様…」
ルート一人、寂しそうな表情をする。
「友恵様、一体何が!」
ドレインたちを始め、全員が友恵のことを心配する。
「今は…一人にして…」
そう呟き、友恵はそれ以上話さなかった。
「お兄ちゃんの…バカ…」
そう恋しく呼んだ、「お兄ちゃん」という言葉はいつもの妹としての言葉だった。
しかし友恵の心情の変化に気づいたものは騎士たちを始め誰も気づかなかった。
大きすぎる力は災いを呼ぶと言うのはもしかしたら、こういうことかも知れないと僕は今回のことで分かってしまったのであった。
第10話 決断
自分の部隊を持ちたいと願い、そして機動六課を立ち上げた。
それでやっと周りに認められ大きな一歩を踏み出した。
だけど、みんなが頑張ってるのに対して私は何もしてへん気がする。
今度は私がみんなに恩返しをする番やね。
魔導騎士ショウ始まります。
Byはやて
全国ネットでニュースが流れ出す。
「おはようございます。ミッドニュースのお時間です。今日は昨日に引き続き、街外れで起きた事件の詳細についてです。」
スタジオ画面からライブ画面に切り替わる。
ライブ画面には昨日僕が戦った現場が映されていた。
管理局員が捜査を行っていた。
その瞬間テレビの画面が消えた。
画面をボタン一つで閉じる黒髪の真面目そうな男性。
機動六課の後継人クロノ・ハラオウンだ。
ちなみにフェイトの兄だ。
彼とは中学時代に面識がある
その隣に優雅そうな金髪の女性が座っている。
名前はカリム・グラシア、彼女も後継人だ。
そして向かいにははやてが座っている。