魔導騎士ショウ
「ユーノ君、ショウ君、私、はやてちゃんに報告してくるね」
そういい、なのはは小走りで部屋から出て行く。
「………」
「………」
沈黙が続く。
スクライアー先生には聞きたいけど
「あ、あのスクライアー先生…」
「ユーノでいいよ」
彼はニッコリと笑う。
改めて僕は聞き直した。
「ユーノ先生はなのはのこと…」
「僕じゃ…ダメなんだ…」
ユーノ先生は今している作業を中断した。
ユーノ先生は首を横に振りながら
「僕じゃ…なのはを守ることは出来ない。なのはにはもっと強くて彼女を守れるぐらいの男じゃないとダメなんだ。」
「え…」
てっきり付き合ってると思ったので少しびっくりした。
「なのはは顔には見せないんだけど、本当は無茶ばかりしている。だからこそ彼女を守れるだけの器を持った人じゃないと…」
それから僕はユーノ先生に色々な話を聞かされた。
なのはがゆりかご事件の時に行った無茶な行動でなのは自身の体が弱っていることなどを
そうかなのはは強いんじゃない。
確かにそうだけど、本当は一人で全てを抱えていたんだ。
それに気づけなかった自分に悔しかった。
なのはが好きだと言うだけなら子供じみた考えと同じじゃないか。
「なのはを頼んだよ」
ユーノ先生は僕に自分の願いを託してきたのかもしれない。
「彼女の無茶を止めれるかどうかわからないですけど、全力全開でやってみます」
全力全開…なのはの口癖。
それを聞いてユーノ先生は何だか嬉しそうだった。
「ごめんごめん、連絡終わったよ」
なのはが帰ってきたので話を戻した。
機動六課本部
「なのはから?」
フェイトが連絡を終えたはやてに問いかけた。
「うん。そうやぁ、ショウ君の推測が正しいかどうかを検討しにいってるんや」
「確かユーノとだよね?」
二人は廊下を歩き始め、会話を続けた。
「でも…ショウ、大丈夫かな?」
「さぁ…ショウ君もああ見えて、ガンコやからなぁ〜」
ユーノの仕事場
「じゃあショウ君帰ろっか?」
「あ、うん」
「じゃあユーノ君、解析お願いね?」
そういいユーノに手をふった。
僕も彼に頭を下げたのであった。
あ、もうこんな時間だ」
なのはは時計を見た。
時刻は午後4時を回っていた。
「ごめんね。せっかくの休みだったのに」
僕はなのはに謝罪の言葉を入れる。
「にゃはは、別に構わないよ。特にこれといった用事はなかったからね。」
なのはは何だか無邪気な笑顔を僕に見せた。
「いや、ほら、娘のヴィヴィオのことだよ」
「あの子はあれでしっかりしてるからね〜」
そういい、なのはは僕の前にたつ、
「そういえばヴィヴィオがパパと遊びたいって〜」
なのはが僕をからかうようにいった。
いやパパって
あえてツッコミたかったが言わなかった。
「そっか、じゃあ、落ち着いたらみんなで遊びに行こう。」
そう僕はなのはに笑顔を向ける。
「うん、そうだね」
少しはにかみながら笑顔を向けるなのはだった。
この表情のいつもと微妙な違いに気づかない僕だった。
お兄ちゃん
「え…?」
「どうしたの?」
僕は辺りを見渡した。
なのはは不思議そうに僕の行動を見る。
「ショウ君?」
「なのは、さっきの聞こえなかった?」
「さっきの?」
お兄ちゃん…助けて…
「っ!やっぱりだ!友恵が僕を呼んでる。」
僕は声の聞こえる方に走り出す。
「あ、ちょっとショウ君!」
なのはも僕の後を追った。
「はぁ…はぁ…」
全速力で走る僕。やはりここは身体的な差なのか、後ろのなのはが見えなくなっていた。
「友恵…友恵!」
僕は必死に妹の名を呼ぶ。
その瞬間、バウンドが僕にかかる。
「なっ!」
僕はそのまま転倒した。
「っ…」
僕が倒れ込むと一人の人影が近づいてきた。
「ロード・カリス!」
「いかにも…」
「な、何で、友恵は!」
「久しぶり、お兄ちゃん」
聞き覚えのある声に振り向くと友恵自身だった。
バリアジャケットを装着していたがすぐにわかった。
「友恵様」
ロード・カリスが敬意を示す。
「友恵…」
「お兄ちゃん…学校で習わなかった?偉い人には…様をつけるって!」
友恵は僕の頭を踏みつけた。
「っ!」
顔は妹のままだが、性格はあまりにも変わっていた。
「カリス曰わく、私はこの世界を一つにし、治めるものらしいわ。」
「そんなことして…何になるって…言うんだ…友恵…バカなことは止めろ…」
友恵は僕から足を離し
「私、バカは嫌い。カリス。早くデバイス奪って帰ろ。」
「はっ、しかし友恵様、処分は…」
「デバイス奪えばただの人間に過ぎないからほっとけばいいよ。いいから早くしなさい」
そういい、カリスは僕に触れようとした瞬間、ピンク色のバウンドがカリスと友恵にかかった。
「!」
「管理局、戦技教導官高町一尉です。あなたたちを逮捕します。」
この時僕たちの運命が大きく変わった時だったかもしれない。
第9話 強すぎた想いと力
小さい頃はお兄ちゃんにベッタリで、大好きで、私はお兄ちゃんがいればそれで良かった。
私の居場所はお兄ちゃんって
けど今は違う。お兄ちゃんの場所があるように私も自分の場所が出来た。
だから私はお兄ちゃんを…
魔導騎士ショウ始まります。
By友恵
「………」
僕は言葉がでなかった。
いつも「守る」とか言いながら「守られている」ばかりの現実に嫌になっていた。
「久しぶりですなのはさん」
と友恵は彼女に話しかける
顔は笑顔だが、声のトーンは低い
するとなのはは
「友恵ちゃん…」
どこか残念そうな顔をした。
「今ならまだ間に合うよ、武装を解除して」
なのはは友恵に言葉をかけた。
あくまでも話し合いの解決をする。
それが僕達、機動六課のモットーだ。
しかし
「ふふ、」
と友恵は冷静に笑う。
その冷静な笑いは周りの状況を予知したかのようにすぐに行動に表れた。
「っ!」
凄い勢いでなのはは蹴り飛ばされた。
蹴り飛ばしたのはロード・カリスだった。
なのははギリギリの所で防御したらしく、ダメージを受けずにすんだらしい。
「油断してるからですよ。なのはさん」
余裕の表情で話しながらなのはのバウンドを意図も簡単に解く友恵。
「なのは!くそ…」
と彼女の名を呼びながらもがく。
しかしバウンドを解くことはできなかった。
「それは特殊なバウンドでお兄ちゃんみたいな初心魔導師には解けないよ?」
からかうように僕に言葉を掛けてくる。
それでも僕はもがき続けた。
「急所を外したか…」
ロード・カリスはなのはの方をみてつぶやく。
「はぁ…はぁ…ショウ君…」
「なのは!僕のことはもういい!君だけでも逃げるんだ!」
僕はなのはに怒鳴りつけるように言う。
彼女にこれ以上無理をして欲しくない。
出来れば逃げて欲しかった…しかし
「レイジングハート!」
なのははロード・カリスに向かい、レイジングハートを構えた。
「なのは!」