魔導騎士ショウ
反射的に僕は、言われた通りそれを持って逃げ出した。
父さんは息絶え、その場に倒れる。
「逃がさん…」
男は僕を追っかけてくる。
僕は必死に逃げる途中、何かにつまづきこけてしまった。
「いってて…っ!」
つまづいたのは物ではなく母さん自身だった。
息はなく冷たかった。
母さんまでもが、すでに手遅れの状態だった。
僕は涙目になる。
何で…何が起きているんだ…
「魔導書は手に入れた。後はデバイスだけ…」
男がそう言った。
するとその直後妹が自分の部屋に出てきてしまった。
「お兄ちゃん…どうしたの?」
男は僕の妹を見て
「見つけた…女王の資格を持つものを…」
一瞬だった。
まばたき一回。
妹は男に気絶させられる。
「後は邪魔者のお前だけだ。」
ここで終わりなのか…
突然石化した剣が光り出す
『マスター』
「え?」
英語でなんだか喋りかけられているが何故か理解できるのです。
『念じるのです』
僕は言われたとおりにする。
すると剣の石化が解け、僕の姿も変わる。
まるで白き騎士のように。
「な、魔導騎士だと!」
「何だ…これ?」
『あなたのようなマスターに出会えることをお待ちしておりました』
「え?どういうこと?」
『戦うのです』
「えぇ?」
男は僕に突っ込んでくる。
「わぁ!」
無意識に手が前にでて壁のようなものができる。
『上出来です。』
何だ?体が覚えてる?何で?
そのままシールドで謎の男を飛ばす。
「今だ」
喋る剣がいきなり銃になる。
『アクセルシュート』
その声のあとに僕も言う
「アクセルシュート!」
魔力弾がその男を襲う。
土煙からでてきた男はほぼ無傷だった。
「まあいい。そのデバイスはまだお前に預けてやる…魔導書も女王の素質を持つものもこちらが握った。」
いつの間にか妹が抱きかかえられている。
「え…待てよ…待てよ!」
僕の叫びもむなしく妹とともに男は消えて行った。
「うぁあああ!」
明け方の空に僕の叫び声が轟く。
第2話 知らない世界
始まりは偶然で…
とても悲しくて…
逃げ出したくなるものだった…
けど、そんな僕を救ってくれた人達がいる。
だから僕は…
魔導騎士ショウ始まります。
Byショウ
「管理外惑星での魔力反応あり」
オペレーターがキーボードを叩きながら指揮官の指示を仰ぐ。
「地球にもまだ元気な子が居ってんなぁ〜ほんならランスター執務官補佐に現場指揮と取り調べをさせるようお願いします。」
関西弁口調で命令する少女。
わかりましたと答えるスタッフ。
「では行ってきます」
敬礼をしてオレンジ色のロングヘアーの少女が現場へと向かった。
「しかしまぁ…まさかこの子が魔導騎士に、ましてやSクラスに入るなんて…」
地球
僕は夜明けに家の中で座っていた。
何でこんなことに…
父さん、母さん、友恵…
目に熱いもつを感じた。
小さな音が聞こえる。
あの男が来たのか?
僕はあわてて構えた。
「あなたが市原翔ね?」
オレンジ色のロングヘアーの少女は僕に訪ねる。
「は…い?」
「危険魔法使用の容疑であなたを拘束、取り調べます。」
「え?」
そのまま数人の男に囲まれ、僕は捕獲される。
「な、何なんだよ!ちょっと待てよ!」
そのまま魔法陣の上にたちどこかへ瞬間移動?した。
「離せ!離せよ!あいつが悪いんだよ!」
もがくが話一つ聞いてくれなかった。
というかこいつら誰だ?
個室のようなとこに放り込まれ取り調べが始まった。
「あなた達は一体?」
「時空管理局のものです。あなたにいくつか質問します。正直に答えるように」
「時空管理局…?」
「先ずあなたはこのデバイスをどう入手したの?」
「デバイス?そんな名前なのか?父さんが遺跡から見つけてきて…」
「それでどうしてバリアジャケット羽織って戦ってたの?」
知らない単語が次々とでてくる。
だけどだいたいは理解できる。
前後から読み取れるから
「あの額に傷がある男が…父さんと母さんを殺して…妹を…さらって行った…」
いつの間にか涙を流していた。
「やっぱりロード・カリスか…このデバイスは預かります。」
「え…ちょっと」
そのまま少女は部屋を出た。
「報告は以上です」
敬礼をし、指揮官に報告をする。
「わかりました。もとの配置にもどってええよ。」
関西弁口調の少女が立ち上がり大きな窓を見つめる。
「えらいことになってしもたなぁ…」
時間が経っていく。
ある程度の状況は説明された。
僕らを襲ったのは凶悪指名手配犯だったり、魔法のこと。
そして魔法の軍隊のことなど。
知らない現実がここにはいっぱいあった。
どうやら僕は記憶を消されるらしい。
「はぁ…」
あれから結構時間はたっていた。
ガチャっと扉が開く音がする。
もうその人に視線を送る気力もなかったので、視線を地面に伏せていた。
「はぁ…」
もう一度ため息をついた。
「つらかったよね?」
同情するセリフ。
しかも聞き覚えがあった。
「え?」
ゆっくりと視線をその人の足から見る。
青色の靴。
白いニーソックス。
青と白の軍服。
茶色い長い髪。
「あ…」
笑顔を僕に向ける。
この笑顔僕は知っている。
「な、なのは…!」
「久しぶり。ショウ君」
ニコッと僕に再び笑顔を向けた。
再会と称すべきなのか。
「どうして!?教師になったんじゃ…」
「うーん、半分当たってるかな〜」
「半分?」
「この仕事、フェイトちゃんやはやてちゃんも一緒だよ?」
「あの二人も」
僕は目を丸くする。
「にゃはは、びっくりしちゃったかな?」
「びっくりしたよ。そりゃ」
少し苦笑いで返す。
するとなのはの表情が真剣になり
「つらかったよね?」
と、再び話題が戻る。
黙って僕は頷いた。
「でも大丈夫だよ…私たちが必ず捕まえるから…だからショウ君は安心して元の生活に戻っていいよ」
元の生活って、あるのか?僕に。
なのはともまた会えなくなるのか…
記憶も消されて
なのはは僕に笑顔を向ける。
この笑顔を見ると自然と落ち着いてくる。
その直後突然警報がなる。
ドアを勢いよく開けて、先ほどの少女がはいってくる。
「なのはさん!ガジェットが!」
「わかった。ごめんねショウ君。じゃあね…」
サヨナラの言葉に何かが引っかかった。
本当に終わりなのか…
「でも、どうしてガジェットが…」
空を飛び、現場へと向かっていたフェイトと話すなのは。
なのはの問いにフェイトが答える
「おそらくロード・カリス…」
なのはがやっぱりそうだよねという表情を出す。
するとフェイトが地上に向かっているガジェットについてなのはに問いかけた。
「地上の方はティアナたちに任せて大丈夫だよね?」
「うん。今のあの子たちなら大丈夫だよ。」
指令室