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白の祓魔師

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      †
 翌日は朝から不安定は天候だった。
雷雨が訪れたと思えば晴天になったり、突風が吹きつけたと思えば穏やかになったりと、バチカンからのヘリの飛行が危ぶまれる気象状況だった。

「無事に到着するのかな」
アムロはシチリア島のヘリポートで、紺色の祭服を着てカミーユと共に迎えの中型ヘリを待っていた。
「管制官もこんな気象状況では悩むだろうな。・・・ああ、どうやら無事に到着するようだよ」
カミーユの視線の先に、白地に金色と青・赤のラインが入ったジェットヘリがこちらへ向かってくるのが識別出来た。
「カミーユさんは、バチカンの専属ヘリに乗った事があるんですか?」
「ああ。同じイタリア国内だからね。バチカンからの召喚はアムロに比べたら頻回だから」
「大変なんですね」
「アムロも。だろ?」
「僕は地元だけですから・・・」
「俺はバチカン経由での仕事依頼だってだけだよ。さぁ、乗った乗った」
ブレイドが巻き上げる風に押され気味のアムロは、カミーユに支えられながらヘリに乗り込んだ。
「シートベルトをしっかりと装着しておいて下さい。こちらに来る間も、かなり乱気流に巻き込まれましたから」
パイロットの言葉に、二人は表情を強張らせた。
「これもあいつらの仕業ですかね」
「多分そうだろうね。無事に本部へ到着出来るよう、神に祈ろう」
二人は小さな声でそう言い合うと、祓魔の聖句と結界発動の言葉を口の中で小さく唱えた。
瞬間、ヘリの周囲に白銀と青い光が放射し、ヘリは穏やかに離陸した。
 復路は乱気流に巻き込まれる事も無く、ヘリは最短時間でバチカン本部へと到着した。
途中、機体へと突っ込んでくる蝙蝠や鴉の集団はあったが、直前で二人が張った結界に阻まれて四散していた。

「奴らにとって、今回の四色の祓魔師認証は、本当に鼻持ちなら無い事柄なんだな」
カミーユはヘリポートからサン・ピエトロ寺院へと向かいながらぽつりと呟いた。
「そもそも、四色の祓魔師って何なんです? 司祭様達のキャソックやストラで四色がありましたけど、学校にいた時に聞いた覚えが無いんですけど」
アムロは小さな声でカミーユに問いかけた。
すると、カミーユは少しだけ呆れたような表情をアムロに向けてきた。
「アムロって、ほんとに雑学的な事を耳に入れていないんだな。ま、それだけ真っ直ぐって事なんだろうけど・・・」
「すみません。世間知らずで・・・」
「いや。構わないさ。四色の祓魔師とは、キリスト教発祥の前から言われている、世界を構成する四大元素の色なんだよ。空気・火・土・水の色だって。だけど、キリスト教でそれを信じているって公言出来ないだろ? だから一般には知らされていないんだ」
「あいつが言ってました。ここ百年、四色の祓魔師は歯抜け状態だって」
「君の悪魔が? ・・・・・・そうなんだよ。火である赤の祓魔師は30代のジョニー・ライデン様。土である黒の祓魔師は70代のデギン・ザビ様。今いるのはそのお二人だけだ」
「で? 後の色は?」
「白と青。デギン様が黒を継いだ折には、青の祓魔師が存在していたそうだけど、数年で悪魔との戦いの最中に命を落とされたらしい。その後、赤のジョニー様が承認されたそうだけどね」
「そうなんだ・・・。で? 今回、その二色の祓魔師が現れたって言う事なんですか?」
「・・・・・・・・・」
「あの・・・・・・。カミーユさん??」
「君の自覚の薄さには常々気が付いていたつもりだったけど、これ程とはねぇ〜」
「あ・・・あのぉ〜。何でそんなに呆れた様な顔で僕を見るんです?」
「青の祓魔師は、多分、俺。そして、白の祓魔師は、きっと君なんだよ。アムロ」
「・・・・・・・・・・・・はい??」

「白の祓魔師は、聖人アムロ・レイ。貴方だ」
向かう先からの声に、アムロはカミーユへと向けていた顔を前方へと動かした。
緋色のローブを纏った枢機卿達を背後に随え、純白のキャソックにばら色と、純白の地に金糸の刺繍が施されたストラを首からかけた教皇がそこにいた。
「「猊下」」
カミーユとアムロは慌てて膝を折ろうとしたが、それを教皇が止めた。
「私に膝を折る事はない。貴方達は私と、このカトリック総本山並びにカトリック教徒達を守って下さる戦士であられるのだから。どちらかと言えば、私達が膝を折らねばならぬ立場だ」
ゆったりとアムロ達の許へと歩いてきた教皇は、左右にカミーユとアムロの手を取り、そのまま大聖堂へと歩みを進める。その後を枢機卿と司祭達が列をなしてついてきた。そして、大聖堂の聖職者専用入り口から教皇専用スペースへと進むうち、礼拝堂にある鐘が、撞く者もいないのに小さく鳴り出した。
それは、教皇専用スペースに四色の祓魔師が揃った時高らかに鳴り響き、同時に世界中の教会の鐘が自然と鳴り出した。

「聖人アムロ・レイ。貴方が生まれた折にも同様に鐘が鳴り響いたのですよ。神の祝福の証です。四色の祓魔師が百年ぶりに揃いました」
作品名:白の祓魔師 作家名:まお