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白の祓魔師

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『そうはさせぬ』
教皇の歓喜を帯びた声を遮るように、冷たく断言するような声が聖堂内に流れた。
聖堂内に集う聖職者の吐く息が白く凍り、足元から闇が湧き上がってきて、ゆらゆらとしながら形を成していく。

あるものは蛇に
あるものは蠍に
蛾に
蝙蝠に
そして、ヒト型の淫魔に

形を成した物は、すぐさま聖職者へとその毒を撒き散らし、襲い掛かった。
「いかん!!」
デギン・ザビが老体に鞭打つようにして水の鉾で祓魔をしだすと、遅れてはならじとジョニー・ライデンも焔の術を発動する。
「いくぞ! アムロ!!」
「はいっ!」
カミーユとアムロも祓魔の技を発動させる。
カミーユは青い風の太刀で、アムロは白い光の矢でそれぞれ戦いを開始する。
聖職者たちも聖水と印を結んで祓魔をはかるが、多勢に無勢。闇は次から次へと足元から発生してくる。
「猊下はここにおいで下さい!」
アムロはそう叫ぶと、教皇の胸元に下がるロザリオに祓魔の力を注入してから、一息で階下へとその身を躍らせた。
途端に闇が大きくざわめき、勢いを増した。蠕く闇は黒い蛆虫と成り、聖職者の耳から脳内へと入り込もうとし始めた。
「マゴットか!」
小さな形の魔に対し、祓魔師たちの技は聖職者への直撃を避けんが為に制限されがちとなる。
「おのれ! 悪魔どもめ〜」
デギン・ザビの腹立たしげな声が聞こえる。
と同時に、アムロの脳内に別の声が聞こえてきた。

『私のものに手を出すなと言ったはずだ。ベルゼ!』
『何を酔狂な事を言う。アスタロト。貴様、あの小僧に骨抜きにされたか? 今叩かずにいたら、我々の驚異となる事など知っていようが。今一度、消滅の手前まで送り込んでくれようか』
『例え悪魔たちの皇帝とされる貴様でも、私のものに傷を付けようとするなら容赦せん』
『ならば滅してしまうが良い』
その声と共に、圧倒的な闇の力が聖堂の上空に出現したのを感じる。

「させるかぁ〜〜!!」
アムロの中に、飛行機を落とし、更にはシャアを滅ぼそうとする悪魔に対する憤怒の念が沸きあがった。
アムロの全身が白銀色に輝きだし、その身体が宙へと浮き上がる。そして、見る間に頭上に光の塊が生まれ、巨大化していく。それは回転しながら無数の光の矢を放ち、取り付こうとしていた魔を消滅させ、溢れる光は床に漂っていた瘴気を一掃しながら一気に聖堂上空へと突き抜けていった。

『滅せよ! ベルゼブブ!! この聖なる刃! ミカエルの剱の前に!!』

光の塊は、察知して防御しようとしたベルゼブブの身体を下から真っ二つに裂くように突き抜けた。そして、すぐさま降下して胴体を剥ぐ様に真横に一閃する。
『おのれ!白の祓魔師めっ!! ルシフェル様に次ぐ吾に傷を負わすとは!!』
『まさに四つに切られては、流石の皇帝も反撃出来んだろう? ここは速やかに魔界へ戻られるのが寛容かと思うが、如何かな』
『ここは一旦退いてやる。だが、ただで終わると思うなっ!』
ベルゼブブの怒りの声と共に、凝縮していた闇の力が一気にアムロ目掛けて急降下してきた。
『させぬわ!!』
シャアは身を翻すと一瞬でアムロの背後に現れ、痩身を胸の中に抱き寄せた。
闇の塊が、白く輝く塊となった二人の身体に激突し、その勢いで二人は聖堂の床に落ちる形となったが、闇の塊は小さな光となって砕け散り、薄い花弁となって降り注いだ。
硫黄臭が漂っていた聖堂内に、涼やかな花の香りが満ちてくる。
それは、アムロとシャアを中心に溢れ出していた。

『無事か? アムロ』
己を抱きしめる背後の男から、案ずる声がかけられる。
「それを言うならあんたの方だと思うけど?」
アムロは胸の前にある腕に己の手を添える。身体に回された腕には、包帯のような白い布が巻きつけられていた。
振り向くと、首から下のあらゆる所にそれは巻きつけられていたが、今の戦いでほつれたのか、緩やかな風を受けてたなびいている。
その様は、悪魔のはずなのに容姿からして天使と見紛う姿だった。
作品名:白の祓魔師 作家名:まお