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大佐、逮捕される。

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「でかした。そうだ、彼は告発する気だったんだ。だから私を飲みに誘った。
別れ際、彼に言ったんだ。ハクロ将軍の下では何かと窮屈だろう、私の下に来ないかと。
そしたら彼は、自分がまずやってみなければならないことがあるのでと断られた。
何をするのか聞いたが、笑って答えてはくれなかったんだが
―――彼はハクロ将軍を告発する気だった。自分が考えた、新たな情報系統の組織を使って。
・・・それを将軍が嗅ぎつけたのなら、彼が殺された理由が分かる。」
「大佐には、その告発については何も言ってなかったのか。」
「会ったばかりの私には言えんだろう。信用出来るかわからんからな。
だが、やることが終わったら必ず訪ねる。これは、連絡先だと、その場で自宅の住所と連絡先を書いたメモをコッカー中佐から貰った。それで私は、彼が必ず自分の部下になると踏んでいたのだが・・・。」
「そうか。手がかりなしか。」
それさえ分かれば、ハクロ将軍の犯行を裏付けることが出来るのに。
「鋼の、今何時だ?」
「なんだよ、突然・・・2時をまわったばっかだ。」
「よし、戻る前に少し寄るところがある。」
「どこ行くんだよ。」
「とりあえず花屋だな。」
「・・・花屋?」
疑問符だらけの俺を引き連れて、本当に大佐は花屋に入って、小さな花束を買った。

―――――
花束を持った軍服姿のアル(中身は大佐)が、次に向かったのは、軍司令部。
大佐の部屋に戻るのかと思ったが、いつもとは違う建物の棟に向かう。
たどり着いたのは、・・・ハクロ将軍の部屋じゃねぇか。

いきなり踏み込むのか。証拠もない状態で、性格悪い将軍が口を割るとは思えないんだけど。
っていうか、花束、どうするんだ。・・・口説くとか・・・ないよな。

コン コン

「失礼します。」
「誰だ、君たちは。」
当然、不審がられた。
部屋を覗くと・・・ハクロ将軍は留守で、部下の人たちが3人ほどいた。
その中に妙に小奇麗な机が一つ・・・花が活けてあった。
「突然申し訳ありません。自分は、アルフォンス・ロス軍曹です。西部の国境警備隊のときにコッカー中佐のお世話になった者です。・・・コッカー中佐の知らせを聞いて、せめてお花をと思って参りました。」
「いや、すまない。知らない顔だったんで。そうか、国境警備隊のときの知り合いか。ありがとう。花を受け取ろう。」
警戒していた空気が一気に溶けた。花を受け取った真面目そうな人は、同僚の突然の死を悲しんでいるのが見てわかった。
「あの・・・すみません。コッカー中佐の写真をいただけませんでしょうか?」
「あげたいのは山々なんだが・・・すまんが中佐の荷物は今朝全てハクロ将軍が預かってしまってね。」
「ハクロ将軍が?」
「あぁ、ご家族に送りたいとおっしゃって。今朝我々が来た時には中佐の荷物はなかった。だから写真がないんだ。・・・ハクロ将軍に確認するにも、今会議中で、荷物がどこにあるかわからんのだ。」
「いえ、・・・もらうことが出来ればと思っただけですので。会議中の将軍に問合せるようなことではありません。これで失礼します。」

恐縮したように深く礼をして、ハクロ将軍の部屋を出る。
・・・やっぱ大佐って嘘がうまい。アルフォンス・ロス軍曹って誰だ?西部の国境警備隊にそんなヤツいるのか?っていうか、アルらしい態度、やればできるんじゃないか。傍から見たら遠慮深い軍曹に見えたぞ、おい。
俺の呆れた視線を受けて、大佐がジロリと睨んだ。
「なにかね?」
部屋を出た途端、なんでその口調と態度に戻るんだ。
「いや・・・た・・・アルフォンス・ロス軍曹って凄いな~と思っただけだ。」
アルの姿の大佐が片眉を上げる。
「君が皮肉を言うとは珍しいな。」
「・・・本心だよ。よく、次から次へとデマカセが言えるもんだなって感心してたんだ。」
「仕方ないだろう。キミは『アル』とこの姿を呼んでいるし、エルリックの姓はもしかしたら知られている恐れがある。キミは、一部有名なんだよ、鋼の錬金術師殿。それで咄嗟に偽名を使ったわけだ。」
「さいで。・・・残念だったな、ハクロ将軍が留守で。直接聞き出す気だったんだろ。」
「不在なのは知っている。この時間は軍の定例会議だ。」
「じゃ、何で将軍の部屋に行ったんだよ。」
「コッカー中佐が何を調べていたのか、私物を見て分からないかと思ったんだが。」
「私物は将軍が押さえた後か。空振りだったな。」
「いや、そうでもない。」
「?」
「コッカー中佐の私物をハクロ将軍が預かった。これが何を意味するか分かるか?」
「家族に送るってのは・・・ありえないんだよな。」
「あぁ、大体、今朝死体が発見されたのに、朝来たら私物がなかったなどと・・・不自然すぎるだろう。死体発見時には既に私物がなかったんだ。第一発見者のハクロ将軍がそのまま自宅の現場の指揮をとっていることを考えても、コッカー中佐の私物はハクロ将軍が夜のうちに手に入れている可能性が高い。」
「どういうことだ?」
「つまり、コッカー中佐はハクロ将軍の何らかの不正の証拠を入手した。それをハクロ将軍が探しているということだ。・・・自宅の現場の指揮は、証拠隠滅と探し物――2つの目的がある。中々抜け目がないな、さすが将軍。」
セリフと口調が完璧に正反対だ。吐き捨てるように言うなよ。
「・・・ってことは、コッカー中佐はハクロ将軍の不正の証拠を持っていて、その隠し場所を殺されても吐かなかった。それでハクロ将軍が懸命に探しているってことか?」
「そういうことだ。部屋に戻るぞ。他に情報があれば・・・ハクロ将軍を追い詰めることが出来るかもしれん。」

―――――
大佐の部屋に戻ると、既にハボック少尉ら全員集まっていた。
大佐がこれまでのことを簡単に説明する。
ハクロ将軍が犯人だと聞いても誰も驚かなかった。むしろ、納得している感じがする。
よっぽど、東部で一緒だったときにロクでもない上司だったに違いない。

「で、何かコッカー中佐のことでわかったか?」
「はい、コッカー中佐ですが、同僚、部下ともに人望があります。悪い噂は聞きません。
ただ、ちょっと人の噂というか、なんというか、情報通過ぎるきらいはあったようです。
誰それが別れたとか、付き合っているとか、中佐に聞けば分かるという評判でした。」
ブレダ少尉の報告に、やっぱり、ちょっとヒューズ中佐に似ている人だったんだなって思った。
「・・・他には?」
「最近は、軍法会議所でよく見かけられています。目撃情報多数。何を調べているのか聞いた人もいましたが、笑って答えは返ってこなかったとのことです。・・・ただ、よく目撃された場所は、軍の予算関係の資料がある棚の近くでした。」
「さすがだな、中尉・・・ってことは横領か。」
「その可能性は高いかと。」
「いかにもハクロ将軍のしそうなことだ。だが、彼なら証拠を残すようなこともしないだろう。・・・一体、コッカー中佐はどんな証拠を握ったんだか・・・」
「あー、あと報告っていうか、お知らせが。」
「なんだ、ハボック」
「大佐の差し入れに行ったんですが。」
「アル、元気だったか?」
勢いこんで尋ねた。いきなり牢屋で一人で、どうしているのか気になってたんだ。
作品名:大佐、逮捕される。 作家名:海人