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MuV-LuV 一羽の鴉

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 そんな俺の気持ちを理解してくれたのか、社はこれ以上何も言おうとはせず、大人しく黙っていてくれた。

「脳の改造ね…結構悲惨な人生送ってんのね、あんた」

「それ程でも」

「褒めてるわけじゃないわよ。まぁその御蔭でML型抗重力装置を使えるかもしれないんだから、悪い事ばっかじゃないんじゃない?」

 本当にズバズバと言ってくれる人だな…普通の人間なら此処で切れるような話だぞこれ。

 と言っても香月のような態度をとってくれた方が俺も助かる。寧ろ同情される方が俺にとっては気に食わない。社のようにその時の映像や俺の心を読み取れるのなら別として、その場を見てすらいない人間に同情されるのは気に食わない。

「そうかもしれないな。それで、どうするつもりだ?」

「別に、あたしわどうもしないわ。ML機関をACに積むか積まないかはあんたが決めることよ」

「…そうか。なら積んでくれ。ML型抗重力装置。制御してやろうじゃないか。それで皆が死なずに済むなら」

 此処で自分の命惜しさに積まずにこの先後悔するぐらいなら…命を掛けて力を手に入れる事を望もうじゃないか。

 新しい俺の居場所を守るためにも、あいつらを死なせないためにも、だ。

「あんたも変わったわね」

 そこで香月が何やら小さく呟いたが、俺に聞こえる事はなかった。

「っま、あんたがそう言うと思ってACには既に積んであるわ」

 今香月が言った言葉に自分の耳を疑う。

 此奴は俺の許可もなしにACにML型抗重力装置を積んだのか?死ぬか死なないかの選択すらさせてくれないのか?

 この香月の選択には流石に頭に来たので、香月の方に視線を向ける。

「な、なによ。あんたも賛同したんだから結果オーライじゃない!そう!結果オーライよ!」

 反省しているのか反省していないのか…どちらとも取れない香月の反応に頭が痛くなりそうだ。

「シルバさん…頑張ってください」

 香月の周りにいる人間で唯一の良心と言ったら社だけだ…。否、この横浜基地で俺の心を癒してくれるのは社だけだろう。

 自分だって大変な仕事があるだろうに…こうして俺の心配をしてくれる。なんて良い子なんだ。

 それに比べて香月と来たら…はぁ。

「じゃACの話はこれで終わりね。次にあんたがこの前言ってきた追加武装の話だけど…」

 俺がこの世界に来て、戦術機と言うものに乗り、色々と足りないと思える武装が幾つかあった。

 何より俺が一番欲しているのは広範囲爆撃だろう。言わばバズーカ砲のようなものだ。

 と言ってもバズーカとなればそのサイズは大きくなってくる。すると当然戦術機の機動性は大きく失われてしまう。大量のBETAに囲まれ、バズーカで道を切り開く事が出来てもBETAに追い付かれてしまっては意味がない。

 そこで考えたのが手投げ爆弾、つまりは手榴弾だ。

 威力はバズーカよりも落ちてしまうものの、小型サイズにすることにより、複数所持できるようになり、どのポジションでも機体に装備する事が可能だろう。

 大量のBETAを相手にするのに突撃砲は悪くないんだが…やはり火力不足に陥る場合が多い。

 そういった場面の時に活躍するのが制圧支援の奴らなんだが、圧倒的多数に囲まれた場合はいないも同然だ。それはシミュレーターで何回も経験しているので分かっている。

 つまり今回俺が香月に持ち込んだ話は、どのポジションでも持てる広範囲爆撃武装。ってことになる。

 ちなみに従来の手榴弾では流石に使いづらいために、起爆剤を仕込んでもらうように言ってある。簡単に言えば任意のタイミングで爆破出来る手榴弾だな。

「主榴弾に関しては問題なしね。悪くもないわ。で、次の肩部武装だけど…これは難しいわね」

 肩部武装とは名前の通り、ACにもついている肩の部分の武装だ。

 厳密には肩に付いているのではなく、背中のメインブースターの横に付いているのだが…。

「肩部武装に関しては既に従来のものもあるし…あれに続けてACの肩部武装までつけたら、どえらい重装部隊になっちゃうわよ」

 うむ…確かにそうだな。

 しかし…重装部隊か。そういえばこの世界にそれに当たる部隊はない気がする。確かにBETAとの戦闘で機動性は命の綱とも言えるが…そう言う部隊があるのもいいんじゃないか?

 その場にとどまる事を前提とした…そうだな、拠点防衛部隊とでもしておこう。

 機動性を全て無くし、火力に優れた戦術機。これはいいかもしれない。

「それだ香月!重装部隊。その設計を頼めないか?」

「はぁ?あんた何言ってんのよ。重装部隊なんてBETAの餌になるだけよ?」

「簡単な話だ。BETAの餌になるような部隊はBETAの餌にならない所に置けばいい。違うか?」

「…つまり防衛用に使う専門部隊って事?」

「ああ。機動性を削ぐのだから当然前線には出れないだろうが…重装戦術機は防衛には持ってこいだろう?さしづめ動く砲台って所だ」

 今思えばこの世界には専門部隊がない。

 ポジションは攻撃、防御どちらにも使えるように想定されているために、それぞれの武装も重たいもの、つまり高火力のものが積まれていない。

 一応ミサイルと言ったものは制圧支援に積まれているが…そんなものあってないような物だ。

 だからこその移動の概念を薄くした重装部隊の出番だ。

 武装は全て高火力兵器を積み、面制圧だけを優先とした戦術機。当然面制圧の場合撃ち漏らしが出てくるが、そこは機動性に特化した戦術機の出番だ。

 此方に全身してくるBETAの大群を重装部隊の高火力で減衰させ、数が薄くなった所を機動型戦術機が叩く。

 シンプルな戦いかもしれないが…案外有効かもしれない。

「悪くないかもしれないわね…でも重量の問題はどうするの?高火力兵器を積むとなったら下半身強化しないと機体が潰れるわよ?」

 それは当然の疑問でもある。

 だがその問題は既にクリアしている。

 機動性を削ぎ、高火力を重視とする下半身パーツと言えば…四脚だろう。この概念は前の世界にあったためすぐに考える事が出来た。

 四脚でなくともタンクでいいと言われれば良いのだが…タンクの場合旋回が難しくなる。あれは前進、後退の速度が優れた下半身だからな。

 それに比べ四脚は前進、後退には劣るものの、バランス的な二次元起動を取ることが出来る。

 場合によっては前線に出ることも可能だろう。

「四脚って言うのは分かるか?二本足の変わりに四本足で上半身を支えるんだが…」

 しかし四脚の概念がないこの世界では、それを実現するのは難しいかもしれない。

「何となく想像は出来るけど…流石に時間が掛かるわね。実装するにしてもまずはシミュレーションで戦果を上げないといけないし」

 そう簡単にはいかない、か。

「もし四脚を考えてくれるのなら並行してサブ射撃の概念も考えておいて欲しい」

「サブ射撃って?」
作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン