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MuV-LuV 一羽の鴉

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 俺の事を心配してくれたのは相変わらずの涼宮中尉。優しい事だ。

「叩かれた所がヒリヒリするが…特に問題はない」

 と言うか何故俺は叩かれた?俺に悪い所はあったのか?

 確かに約束を破ったのは俺だが…俺の方に飛びつき転んだのは速瀬の方が悪いだろうに。

 当然その事を口はしないが、心の中でそう思ってしまう。

「騒がしてすまない皆。席に戻ってくれ」

 一体何事かと他の衛子も周りに群がってきていたが、俺の合図で皆席に戻っていく。

 少佐の権限は強い。

「取り敢えず俺達も席に座ろう。白銀も座れ」

「あ、はい」

 取り敢えずこのまま立ちっぱなしも嫌なので、PXに予め置いてある椅子の上に腰を下ろす。

 隣の方に視線を向ければ、俺と同じように被害を受けた麻倉と柏木が頭の後ろをさすっていた。

 お前たちもか。と思わず同情の念を送ってしまう。

「シルバ少佐。すいませんでした」

 そう謝ってきたのは宗像だ。

 恐らく暴れていた速瀬を止めなかったからこうなってしまった、とでも思っているのだろう。

 根本的な原因は俺にあると言うのに。

「いや、構わない。そもそも速瀬がああなったのも俺が悪いだろ?だから気にするな」

「分かりました。それでそちらの方は?」

 宗像がそう言う事によって皆の視線は当然白銀の方へと集まる。

 俺も当然白銀の方へと視線を向けるが、そこで白銀との視線が交わった。

 恐らくどう自分の事を説明すればいいか迷っているのだろう。

 そういう事なら俺が説明するべきだろう。

「本日を持って横浜基地に着任した白銀少佐だ。皆とは直接的な関わりはないと思うが…俺と一緒にいる時が結構あるから皆も顔を合わせるだろう。挨拶しておけ」

「「「はい!」」」

 俺の隣にいた少年が少佐だと知った瞬間、皆瞬時に立ち上がり、敬礼をする。

「え、えっと。そう言うのはいらないんで…」

 突然敬礼された白銀は戸惑い、俺に助けを求めるような視線を向ける。

 …敬礼される事に慣れてないと言う事はそこまで上の立場ではなかったのだろう。

「俺と同じように白銀には敬礼しなくていい。分かったな?」

 本来上官に敬礼をしないのは有り得ない事なのだが、俺を含め白銀はそう言う事も異常なのだろう。

 …単純に慣れてないだけなのだが。

 俺の言葉に宗像を含めた特殊任務部隊のメンバーは戸惑いの色を隠せていないが、やがて慣れてるだろう。

「ほら、白銀も戸惑ってるだろう?座れ」

 戸惑いの色を隠せずとも俺の言葉で再び腰を下ろしてくれた。

「こいつが少佐になったのはつい最近でな。今までは敬礼をしてた側の人間だからな。そういう事になれてないんだ。勘弁してやってくれ」

 咄嗟に思いついた言い訳に特殊任務部隊にメンバーはどうにか納得してくれる。

 白銀も俺の方を見て小さく頭を下げてくれた。

「そう言えば伊隅はどうした?」

 このメンバーで伊隅がいないのは珍しいので隣に座っていた座っていた麻倉に質問する。

「確か家族に手紙を書くって言ってましたね」

 ああ…そういう事か。

 俺も詳しくは聞いていないが、伊隅には姉妹がおり、全員が衛子だった気がする。あってるかどうかは分からないが。

 それで当然家族は戦場に出ている伊隅を心配する訳で、伊隅は定期的に手紙を送っているんだっけな。

「そうか。お前らはこの後シミュレーター訓練だろう?」

「はい」

「それじゃあその時は白銀も一緒にやってもらう事にするか」

「「「っえ!!」」」

 俺の言葉に白銀を含めた全員が驚く。

 折角シミュレーター訓練があるんだ。白銀の腕を図るには丁度良いチャンスだろう。

「此奴は今まで前線に出ていたからな。強いぞ?」

 俺の挑発ともとれる言葉に特殊任務部隊の人間は目を細め、そして白銀の方へと視線を向ける。

 俺が強いと認めたのだから、皆も白銀の実力は本物だと理解したのだと思う。

 白銀の実力を知らないでいったために嘘なのだが、オリジナルハイブを制圧したと言った以上、その腕は本物の筈だ。

「シルバ少佐!」

「ん?なんだ築地?」

「白銀少佐に勝つことが出来たら…その…個人訓練をして下さい!!」

「「「!!」」」

 築地の言葉に皆驚きの顔をするが、その中でも強く反応を示したのは遥、茜、高原、麻倉の四人。

 当の本人である白銀は至って普通であり、余裕が感じられる。

 …ほう。築地に負ける要素はないと思っているのか?

 いいだろう。その考えを打ち消してやろうじゃないか。

「ああ、構わん。白銀に勝てた奴は特別に個人訓練を行ってやる。シミュレーターでも格闘訓練でも、だ」

 此処は白銀を出汁にして皆のやる気を高めてもらおうか。

 個人訓練が勝った褒美ってのは可笑しいかもしれないが…まぁ実際俺がそういう事により皆やる気を出してくれている。

 って言うか遥…お前は戦術機に乗らないだろう。

 遥の気合の篭った眼を見てそう思ってしまうが、遥のやる気を削ぐのも嫌なので黙っておこう。

「ならシルバ少佐。俺が皆に勝ったら…俺と戦ってくれませんか?」

「「「ッ!!」」」

 白銀の宣戦布告ともとれるその言葉に特殊任務部隊のメンバーの顔は更に強ばる。

 条件には条件を…か。

「いいだろう。だがこいつらは弱くないぞ?そう簡単に勝てるか?」

「分かりませんが…こう見えて俺、戦術機の操縦には自身があるんで」

 それもそうだろう。この世界を二度もループしているんだ。

 元が下手でも多少は強くなれる。

「よし、それじゃあ早速格納庫の方に向かおうか」

 今皆のやる気は絶好調だ。このタイミングを逃すのは勿体無いだろう。

「お前たちは先に向かって準備しておいてくれ。俺は速瀬を連れ戻してくるから」

「「「了解!」」」

「白銀もな。スーツに関しては…悪いが香月の方に一回行って来てくれないか?」

「分かりました」

 そういう事で本日の午後は特殊任務部隊VS白銀となった。

 白銀の実力が見れると言う事で俺も結構楽しみにしている。楽しみにしているのだが…。

 これから速瀬を連れ戻すことを考えると…はぁ。

 ため息が零れるのも仕方がないと思うんだ。

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「速瀬、いるか?シルバだ」

 白銀と速瀬を除いた特殊任務部隊のメンバーが格納庫に言っている頃、俺は速瀬を連れ戻すために速瀬の部屋の前まで来ていた。

 しかし、扉をノックしても速瀬からの返事はない。

 いないのか?

 なら何処に行ったんだ。と思うが、取り敢えずは中い入っているかどうかだけ確認しておいた方がいいだろう。

「入るぞ」

 一応断りを入れておいてから、部屋の扉を開く。

 当然中にはいないものだと思っていたが…部屋のベッドの上に速瀬はいた。

 ベッドの枕の上に顔を埋めている。寝ているのかどうかは分からない。

「おい、速瀬」

 勝手に部屋に入ったので速瀬に何か言われるだろう、と思いながらもベッドで顔を埋めている速瀬の隣まで近付く。

「…」
作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン