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ゆらのと

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腕の中で桂の身体から力が抜けるのを感じた。
胸にもたれかかってくる。
その感触と温もりに、胸に急激にこみあげてくるものがあって、それが脳天まで駆けあがり、思わず眼をつむった。
「ずっと、会いたかった、ずっと、会って、こうしたかった……!」
感情が激しく大きく揺れて、それに突き動かされて、胸にある想いを吐き出す。
別れてから、よくわかった。
もう元にはもどれないということ。
失えば、心が切り裂かれるように痛むということ。
腕の力をゆるめる。
そして、ほんの少しだけ離れた。
桂の顔を見る。
その眼は伏せられている。
けれど、その頬は強張ってはいない。
頬に触れる。
桂はさっきと同じで、されるがままになっている。
手を頬から顔の横へとやり、長い漆黒の髪を指ですく。
真っ直ぐで少し堅さのある髪が、手のひらの上でしっとりとなじむ。
俺の。
大切な。
もの。
そう思った。
桂が眼を細めている。
心地良いのだろうか。
もしそうだったら、いい。
手を髪からその羽織のほうにやる。
羽織の襟を軽くつかんだ。
すると、桂の頬がわずかに堅くなった。
だが、桂はなにも言わない。
その代わりのように、深く息をした。
張っていた肩が下がった。
それを見てから、羽織を脱がせる。
桂はうながされるままに袖から腕を抜いた。
羽織が畳へと落ちる。
今度は、桂の帯のほうに手をやった。
帯を解き、それをまた畳へと落とす。
次に、きものを脱がせた。
その下にあった長襦袢のほうに手をやる。
長襦袢の襟をつかんで、ぐいと押し開く。
白い肩があらわれた。
一瞬、手を止めた。
けれども、すぐに手を動かし、長襦袢の襟を下方に引っ張る。
やがて、長襦袢が桂の足下に落ちた。
部屋の中とはいえ、空気は冷たい。
ついさっきまできものの下で温められていた肌は、きものを失って、冷たい空気にさらされ、少し緊張しているように見える。
手を伸ばす。
肌に触れ、その身体を腕に抱いた。
それから、布団のほうに行く。
布団に腰をおろした。
桂の裸の両腕をしっかりと押さえこむようにつかんだ。
そのうつむいていた顔があげられる。
その眼差しが向けられる。
唇が動く。
「銀時」
名を呼んだ。
その口がなにか続きを言うまえに、接近し、くちづける。
俺の。
ものだ。
そう思うと、なにかが完全に外れたようになり、狂おしいほどに求める気持ちが強くなる。
まるで発火したみたいに、身体も、頭も、熱い。
桂が布団に身を横たえた。
その身体を見おろす。
どんなものよりも、だれよりも、愛しい。
強く、そう思った。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio