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ゆらのと

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桂は眼を細めた。
なにかを考えているような表情になる。
その唇は動かない。
だから、こちらが口を開くことにする。
「まえから言おうと思ってたことだが、あんなことがあって、機会を逃しちまってたが」
あんなこととは、脅迫状が送られてきた事件だ。
あれがなければそろそろ言うつもりでいたことを、桂の気持ちが良いほうに変化してそれが安定するのを見計らって言うつもりでいたことを、言う。
「先のこと、考えてほしい」
長いあいだずっと片想いだった。
無茶な選択を迫って関係が変わったあとも、桂にこちらと同じ想いがない以上は、それは変わらなかった。
でも、今は違う。
そう確信している。
見おろした先には、よくきたえられて引き締まり均整のとれた綺麗な身体がある。
何度も、数えきれないほど、自分を受け入れてきた身体だ。
身体だけじゃない。
その心も、受け入れてくれている。
そばにいて、そう感じる。
だいたい、今、桂はここにいる。
それが、その証拠だ。
腕をつかんで引っ張ってきたが、桂はその手を振り払おうとはしなかった。
抵抗しなかったし、抗議すらしなかった。
別れろと脅され、それでも別れずにいたら万事屋を爆破された。
その結果として別れたのだから、桂の中に自分に対してあるのが今も同情や友情のままなら、あの事件を理由に、断固として拒否しただろう。
そうしなかったのは、それができなかったからではないのか。
一緒にいたいと、望む気持ちがあるからではないのか。
自分と同じように。
「今はしょうがねェとしても、この先、いつか、一緒に暮らすことを考えてほしい」
いつか、というのが、いつになるかわからない。
あの事件を解決することができても、桂が指名手配犯の攘夷志士であることには変わらないので、難しいだろう。
それでも。
「どっちかの家に通うんじゃなくて、同じ家をお互いの帰るところにしてェ」
言っておきたい。
「死ぬまで、だ」
初めてのときに、一生大切にすると、告げた。
それは、先のことを思ってのことだ。
あの時点から、いや、もっとずっとまえから、そうしたいと望んでいた。
ともに暮らすことを望んでいる。
松陽は、師であり、そして、兄であり、父だった。
新八と神楽は、万事屋の従業員であり、そして、弟や妹であり、子供だ。
そして、桂は。
伴侶だ。
この先、一生、ともにある相手だ。
そういう存在になってくれることを、ずっと願ってきた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio