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ゆらのと

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男たちは銀時と眼が合っても、声が出ない様子で、なにも答えなかった。
すっかり怯えているらしい。
無理もない。
相手は銀時なのだから。
白装束で、銀色の髪をなびかせ、戦場を駆ける姿はまるで白い夜叉のようだということで、銀時は白夜叉の異名を持つ。
その強さゆえに味方からは武神とまで讃えられる。
それを喜びはしないが、しかし、味方である攘夷志士たちからそこまで信頼されるようになるまでは時間がかった。
桂とふたりで脱藩し、攘夷軍に入ろうとしたが、真っ先に行った軍からは断られた。
この国の者としてはありえない色の髪を持つ銀時が、天人と見分けがつかないからだという。
天人には頭が獣だとか明らかにこの国の者とは見た目の違う種族もいるが、この国の者とは髪の色しか違わない種族もいるのだ。
その後、受け入れてくれる攘夷軍もあったが、やはり信用しきれないらしく、聞こえよがしに天人ではないのかと言う者もいて、衝突し、結局、軍を出ることになったこともある。
そんなふうに、しばらく、桂とともに各地の攘夷軍を転々としてた時期があった。
信頼されるようになったのは、だれよりも多く敵を倒し、だれよりも多く味方の命を護ってきたからこそだ。
それを可能にした銀時の強さを、軍の者たちはよく知っている。
味方にすればこの上なく頼もしく、敵にまわせばこの上なく恐ろしい。
五人は固唾をのんで、銀時の動きを見ている。
「言っとくが」
銀時が沈黙を破った。
「桂に手ェ出したら、殺す」
断言した。
その身体から漂うのは、強烈な殺気。
五人は震えあがった。
全員が戦場をいくつも経験している猛者であるにもかかわらず。
「わかったな」
そう銀時に念を押されて、返事しなければまずいと思ったらしく、五人はうなずいた。
銀時は踏みつけていた腕の上から足をどける。
そして。
「失せろ。そのツラ、二度と俺に見せるんじゃねェ」
語気鋭く言い放った。
五人は直後は凍りついたように動かなかった。
しかし、やがて、あわてた様子で立ちあがる。
銀時ににらみつけられ、皆、逃げるように去っていった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio