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ゆらのと

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お咲の顔がいっそう陰った。
だが、うつむかず、眼もそらさない。
「私がとらわれていた人身売買組織を、銀さんはつぶしてくれた。それで、私は本当に助かったし、すごく感謝してる。それは、きっと、私と同じようにあの組織にとらわれていた人たちも一緒だと思う。だけど、そればかりじゃない。銀さんがあの組織をつぶしたことを快く思っていないものもいる」
銀時の眼を真っ直ぐに見て、お咲は話す。
「あの人身売買組織は国内だけで取引をしていたんじゃなくて、宇宙規模で取引をしていたの」
そういえば、と銀時は思い出す。
あのとき、助けてもらってなかったら、私は今頃どこか遠くの星に売り飛ばされていたわ。
以前に、お咲はそう言っていた。
「宇宙規模で取引をするためには、国内の組織だけじゃなくて、宇宙規模の組織と関わりを持つことになる。あの人身売買組織は、宇宙海賊と取引をしていて、その宇宙海賊は取引先をつぶされたことに腹をたてているらしいわ」
お咲は眉根を寄せた。
その表情が重々しいものになる。
「だから、あの人身売買組織をつぶした侍に報復しようとしてるらしいって、聞いた」
それで、その宇宙海賊が万事屋を爆破した。
たしかに筋は通る。
だが、お咲はあの脅迫状の存在を知らない。
単に報復したいだけなら、あんな脅迫状を送りつけるような回りくどいことはしないだろう。
しかし。
人身売買組織、そして、宇宙海賊。
その結びつきに、なにか引っかかるものがある。
「……なァ」
銀時は聞く。
「その宇宙海賊って、なんていう名だ」
「名前」
お咲の眼が泳いだ。
すぐに、思い出した表情になり、眼を銀時のほうにもどす。
「ああ、ゲンヤ、っていう名前らしいけど」
玄夜。
即座に、漢字が頭に浮かんだ。
銀時は眼を見張る。
記憶にあった。
坂本がたまたま手に入れた、人を買い求めるための冊子、桂が写真入りの金額つきで商品のように載せられていた冊子。
忘れようもない。
あれは、宇宙海賊玄夜のものだ。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio